Q&A

除染に関するQ&A

宅地の除染方法について 大型構造物の除染方法について 農地の除染方法について 道路の除染方法について 森林の除染方法について 除去物の管理について その他

宅地の除染方法について

Q1: 住居と庭には,どの部位に多く放射性物質はくっついているのですか。

A1: 宅地の表面汚染密度については,「雨どい下・雨だれ部」>「屋根・雨どい」>「庭・たたき」>「壁」の順に低くなっており,家屋を構成する素材の違いにより若干の変化は見られるものの,概ね同じ傾向でした。これは,事故により大気中に放出された放射性セシウムが土埃等に吸着し,事故後の降雨によりこれらの土埃等が洗い流され,雨どい部,雨どい下,雨だれ部等に集まって堆積したことによると考えられます。また,屋根の瓦については,土埃等に吸着された放射性セシウムが瓦や瓦の隙間に付着・残留しているため,表面汚染密度が高くなっていると考えられます。宅地における放射性物質の付着・残留状況については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】宅地における放射性物質の付着・残留状況

Q2: 屋根を除染するのに効果的な方法は何ですか。

A2: モデル実証事業の実績では,「拭き取り」及び「ブラシ掛け」が高評価となりました。剥離剤塗布による除染効果が他の方法よりも低減率が高い結果となりましたが,本作業に用いた剥離剤では養生に1~3日程度を要し,剥ぎ取り完了まで足場の撤去ができないなどの作業性のデメリットが大きいです。また,高圧水洗浄については,ブラシ掛けと同程度の除染効果が期待できる結果となりましたが,洗浄水と共に飛散する土埃等の飛散防止・回収等の作業が必要となりました。屋根の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】宅地の除染方法の特徴の比較

Q3: 雨樋を除染するのに効果的な方法は何ですか。

A3: モデル実証事業の実績では,「拭き取り」が高評価となりました。本事業では雨樋の除染方法として「拭き取り」及び「高圧水洗浄」の2種を実施しました。低減率においては,各手法とも低減率60%前後であり,大きな差はありませんでした。ただし,高圧水洗浄については,洗浄水と共に飛散する土埃等の飛散防止・回収等の作業が必要となりました。このため,拭き取りの方が総合的に良い方法であると考えます。 雨樋の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】宅地の除染方法の特徴の比較

Q4: 壁を除染するのに効果的な方法は何ですか。

A4: モデル実証事業の実績では,「ブラッシング(ブラシ掛け)」が高評価となりました。本事業では壁面の除染方法として「高圧水洗浄」,「ブラッシング」,「拭き取り」の3種を実施しました。壁面の素材別の低減率を計測した結果を図4-1(※)に示します。拭き取りについては,表面が土壁や木製の場合はほとんど除染効果が得られず,トタン等の金属やガラスについても顕著な効果は見られませんでした。高圧水洗浄については,洗浄水と共に飛散する土埃等の飛散防止・回収,水処理等の作業が必要となりました。ブラッシングについては,高圧水洗浄と同等の除染効果が得られ,水処理等の対策も必要なく,最も適用性の高い方法であると考えます。

壁面除染における除染効果 図4-1 壁面除染における除染効果(低減率(%))

※水洗い(川俣町で実施,低減率:約20%)については,1例のみであるため,図4-1中には示していない。

Q5: コンクリートたたき部の除染で,効果的な方法は何ですか(ブラッシングや高圧水洗浄で効果が見られず空間線量率が高い場合)。

A5: モデル実証事業の実績では,「ショットブラスト(スチール(鉄球))」が高評価となりました。本事業ではコンクリートたたき部の除染方法として「剥離剤」,「ブラッシング」,「高圧水洗浄」,「ブラッシング+高圧水洗浄」,「ショットブラスト(サンド)」,「集塵サンダー」,「超高圧水洗浄」,「ショットブラスト(スチール(鉄球))」の8種を実施しました(図5-1)。

コンクリート(たたき)における除染効果
図5-1 コンクリート(たたき)における除染効果(低減率(%))
Q6: 屋根の除染に高圧水洗浄を用いる際,留意点はありますか。

A6: 屋根の除染に高圧水洗浄を用いる場合,事前に,屋根の状況(除染に伴う破損や変色等の可能性がないか)を確認するとともに,水の流出等に伴う汚染の拡大を防止するための措置を講ずる必要があります。 経年劣化や震災の影響等により,家屋が破損しやすくなっている場合があります。高圧水洗浄によって破損・変色することがないか,施工前に屋根の状態(素材,構造含む)を十分に確認する必要があります。また,水の流出等によって周囲に汚染が拡大する可能性があるため,排水を回収する措置などが必要です。実施にあたっては,一部試験的に除染を行い,破損等の可能性がないことや,除染効果があることを確認した上で,屋根全体を除染します。

Q7: 庭の中で除染を優先すべき部位はどこですか。

A7: 相対的に線量の高い庭土・芝生や雨垂れ部を除染するのが効果的でしょう。特に雨垂れ部の土壌・砕石,庭木周りの腐植土・落葉は放射線量が高いので優先すべきでしょう。本事業においては,庭木剪定は顕著な除染効果が得られませんでした。庭木剪定の優先度は低いと考えます。

Q8: 庭の除染として,庭の木を自分で剪定しようとしていますが,何か注意点はありますか。

A8: 庭木を枯死させない程度に剪定する見極めが必要になるため,造園業者や樹木医の助力が必要になります。

Q9: 庭土を剥ぎ取って除染しようと思いますが,どのくらいの厚さを剥ぎ取ればいいのですか

A9: モデル実証事業では,大部分の放射性セシウムは地表面から5㎝までの深さに留まっていることが確認されました。この5㎝は剥ぎ取り厚さの目安になりますが,剥ぎ取り前に対象エリアの深さ方向の汚染状況を測定して,剥ぎ取り厚さを検討するようにして下さい。

【詳細・参考情報】庭土における放射性物質の深度分布状況

Q10: 庭の隅の砕石で覆われた雨だれ部がホットスポットになっています。どんな対策が有効ですか。

A10: 砕石についても土壌と同様に深さ方向の汚染状況に応じて除去する必要があります。ただし,除去したものが砕石でなく玉砂利の場合,この玉砂利を洗浄することにより玉砂利の再利用が可能になる場合があります。

【詳細・参考情報】
砕石洗浄による宅地庭部の除染方法

Q11: 庭を覆う玉砂利を分級および洗浄すると,どのくらい線量率は低減するのでしょうか。

A11: モデル実証事業の実績では63~95%の低減率でした。 この結果は,表面が比較的平滑な玉砂利と砂の混じったものを洗浄+分級したものです。表面の粗い砕石(砂を含まず)に適用した場合の結果は,バケツにおける攪拌・洗浄では低減率は約15%であり,ポットミキサーによる30~60分の洗浄で低減率約60%(砕石と同量の水を加えた場合と無水の場合の差はなし)となりました。

Q12: 除染計画を練っているところです。建物の屋根,壁及び敷地の地面のうち,優先的に除染すべきなのはどこですか。

A12: 空間線量率への寄与の大きい比較的高い濃度で汚染された場所を優先的に除染すると効果的です。ただし,水を用いた除染を行う場合は,高所から低所へ,すなわち屋根→雨樋→外壁→側溝等の順で実施する必要があります。宅地における放射性物質の付着・残留状況については下記を参照下さい。

宅地における除染前のモニタリング結果(飯舘村)
図1-1 宅地における除染前のモニタリング結果(飯舘村)

【詳細・参考情報】宅地における放射性物質の付着・残留状況

Q13: 屋内はどのように除染すればよいか?

A13: 基本的には屋内の汚染は少なく,屋内で測定される放射線量のほとんどは屋外の放射性セシウムの影響と考えられます。人の出入りなどに伴って放射性セシウムが屋内に持ち込まれた可能性が考えられる場合などは,年に一度の大掃除と同じような方法で,家中を隅々まで丁寧に除染してください。屋内の除染方法および留意点を以下に示します。

  1. 除染の手順は,高い位置から低い位置へ/奥から手前へ をイメージし,拭き取りは一方向にするなど,一度除染した所を再度汚さないように除染作業を行ってください。
  2. 面に付着している汚れ・堆積している埃には,放射性物質が含まれている可能性がありますので,それらを舞い上げないように(叩いたり吹き飛ばしたりしないで),濡れた紙タオル(キムタオルなど)などで拭き取ってください。この際,紙タオルの拭き取り面が汚れた状態で使い続けると汚染を広げることになる可能性がありますので,一拭きごとに新しい面を使ったり,こまめに新しいものに取り換えてください。
  3. 一般的な清掃方法として掃除機・化学雑巾・粘着シートを用いる場合がありますが,埃に含まれる放射性物質が飛散する恐れがありますので,除染方法として用いる場合はご注意ください。 特に掃除機の排気が放射性物質を室内にまき散らしたりする恐れがありますので,高性能フィルター(ULPA:0.15μmのホコリの99.9995%を捕塵可能)付きの物を使用するか,本体を屋外に出して使用してください。
  4. 除染に用いる道具は,紙タオル(商品名:キムタオルなど)・ナイロン不織布(商品名:スコッチブライトなど)・ブラシ・束子(たわし)など一般家庭にあるもので充分です。
  5. 使用する洗剤は,住宅用洗剤(商品名:マイペットなど)や台所用洗剤(商品名:マジックリン),研磨剤入り洗剤(商品名:クリームクレンザーなど)など。また,トイレや風呂といった部屋専用のもなど用途に合わせて選んでください。
  6. 除染前後の屋内の放射線量に大きな変化が認められない場合は,屋外の放射性セシウムが大きく影響している可能性などが考えられます。

屋内の除染方法については下記資料も参照下さい。また,除染で発生したゴミ等の廃棄方法については,自治体によって異なりますので,自治体にご相談下さい。

【詳細・参考情報】放射性物質に関する説明と清掃マニュアル(第1版)(福島県広野町作成)

Q14: 砂利敷の敷地を除染したいが撤去土壌を極力抑制できる除染方法はないか?

A14: 除去土壌を抑制できる除染方法としては,天地返し,または砂利の洗浄が挙げられます。具体的な方法,コスト等については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
天地返しの除染技術評価
天地返しによる除染の具体的な流れ
砕石洗浄による宅地庭部の除染の技術評価
砕石洗浄による宅地庭部の除染方法
砕石洗浄による宅地庭部の除染の具体的な流れ

Q15: 玉砂利の除染方法を教えて欲しい。

A15: 玉砂利を集め,玉砂利に付着している落ち葉やコケを除去します。そして集めた玉砂利を高圧水洗浄機で洗浄しながら篩で分級します。洗浄に使った水は集水して水処理設備で処理してから放流します。
詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
砕石洗浄による宅地庭部の除染方法

Q16: エアコンの室外機の除染方法を教えて欲しい。

A16: 室外機の表面にコケ等が付着している場合は厚手の紙タオルによる拭き取りやたわし等によるブラッシングで除去して下さい。 また,室内機のエアフィルターの交換等は社団法人日本空気清浄協会の「放射性物質で汚染されたエアフィルターの取り扱い指針」を参考にしてください。

【詳細・参考情報】社団法人日本空気清浄協会 放射性物質で汚染されたエアフィルターの取り扱い指針

Q17: 家屋の屋根を除染する際の空間線量率等の測定点はどのように設定するのか?

A17: 測定点としては,除染対象となる建物等の工作物の生活空間における平均的な空間線量率を把握するためのものと,除染対象の汚染の程度を確認するためのものを設定します。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】除染等の措置に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q18: インターロッキング舗装の除染方法,留意点等を教えてほしい。

A18: 除染モデル実証事業において,高圧水洗浄(10MPa程度)によるインターロッキングの除染を評価したところ,低減率は30~80%でした。施工上の留意点としては,目土にセシウムが付着している場合は,まず目土を金べら等で掻き出す必要があります。また,事前に試験エリアを設け,圧力および走行回数を除染効果の関係を把握し,本施工における除染方法を決定することが重要です。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】高圧水洗浄によるインターロッキングの除染の技術評価

Q19: 急峻な法面の除染方法,留意点等を教えてほしい。

A19: 人力で下草を刈り,熊手,レーキを使って落葉と一緒に下に?き落とします。最下段で人力でフレコンパックに詰込み,トラッククレーンで除染箇所の一時集積所まで運搬します。そしてその後表土を剥ぎ取ります。法枠,植栽土のうが施されている場所では,土のう袋または保護ネットを傷めないように注意を払わなければなりません。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
法面における草刈りの除染技術評価
法面の草刈り作業の具体的な流れ
剥ぎ取りによる法面の除染方法

Q20: スレート屋根の除染方法,留意点等を教えてほしい。

A20: ブラシ掛けやふき取りなどの方法が有効であると考えらえます。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
除染モデル実証事業概要 宅地
ブラッシングによる建物の屋根の除染方法
拭き取りによる建物の屋根の除染方法
家屋屋根の汚染状況及び拭取り方式等による除染効果

Q21: 家屋の土の庭等を除染する際の除染方法と留意点を教えてほしい。

A21: 土の庭等の場合,天地返し,表土の削り取りまたは土壌による被覆といった除染方法があります。表土の削り取りを行う際は,除去土壌の発生量が過大にならないように,予め剥ぎ取り深さと除染効果の関係を把握し,必要剥ぎ取り深さを決定することが重要です。詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
庭等の除染(除染関係ガイドライン(第2版))
表土剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の技術評価
表土剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の具体的な流れ

Q22: U字溝やコンクリートたたきのクラック部分の線量が高く,高圧水洗浄では除染効果が得られないが,どのようにしたら良いか。

A22: クラック部からコンクリート製U字溝やたたきの裏側に放射性セシウムが浸透していると,いくらコンクリート表面を除染しても線量を下げることはできません。その場合はU字溝やたたきを除去し,さらにGMサーベイメータ等でクラック周囲の土壌等が汚染していないか確認します。汚染している場合は土壌も除去してください。

【詳細・参考情報】
平成23年度福島第一原子力発電所事故に係る福島県除染ガイドライン作成調査業務報告書

Q23: 藁葺き・木羽葺き屋根の除染方法を教えて欲しい。

A23: 藁葺き・木羽葺き屋根の汚染状況・除染方法に関する情報が得られていない状況にあります。屋根の事前測定により特定した汚染箇所から少量の試料を採取し,試験的にスチーム洗浄等を用いた除染を行い,効果が得られるかを確認してください。この結果をもとに,除染と葺き替えのいずれが合理的か検討することになると考えます。

Q24: 排水枡の除染を行ったが,枡に接合している塩ビ管周辺の線量率が高い。どのように対処したらよいか?

A24: わずかな隙間から雨水が浸入して排水枡の外側(裏側)の土壌が汚染されているものと考えられます。排水升を撤去してから表面汚染密度を測定しながら汚染土壌を撤去し,再度集水桝を設置してください。

Q25: 一般家屋の庭に敷き詰めてあるウッドチップの除染方法を教えて欲しい。

A25: 試験的にスチーム洗浄等を用いた除染を行い,効果が得られるかを確認してください。この結果をもとに,除染と入れ替えのいずれが合理的か検討することになると考えます。下記についても参照ください。

【詳細・参考情報】
ウッドチップ(バーク)の入替え費用は財政措置対象となるか。(環境省除染情報サイト除染関係Q&A)

Q26: 建物の遮へい効果はどの程度か?

A26: 遮へい効果は,建物を構成する材質やその厚さによって違ってくるので,厳密には建物ごとに複雑な計算して求めなければなりません。国際原子力機関(IAEA)の報告書「放射線緊急事態時の評価および対応のための一般的手順」に示される木造家屋の代表的な値は0.4ですが,その範囲は0.2~0.5となっており,0.4という値は一例に過ぎません。遮へい計算をせずに個別建物の遮へい効果を評価する場合は,安全サイドの値を適用することを推奨します。なお,モデル実証事業で遮へい効果を調査した事例では,木造建屋で約70%,鉄筋コンクリート建屋で約90%となりました。

【詳細・参考情報】
屋外除染に伴う屋内空間線量率の低減効果

大型構造物の除染方法について

Q1: 学校の屋上の床面を除染したいと思っています。床面には防水材が塗布されています。有効な除染方法は何ですか。

A1: モデル実証事業の実績では,高圧水洗浄が最も効果的でした。なお,高圧水洗浄に加えてブラッシングも併せて行ってみましたが,効果はほとんど変わりませんでした。除染方法別の低減率を表1-1に示します(表には,表面材質がコンクリート・モルタル及びアスファルトに対する除染方法の結果も含みます)。

表1-1 屋上除染における除染効果(低減率(%))
材質 種別 適用技術 低減率
防水塗装・防水シート 洗浄 高圧水洗浄 33~93%*1
高圧水洗浄+デッキブラシ 14~54%
高圧水洗浄+ポリッシャー 13~81%
コンクリート・モルタル 洗浄 高圧水洗浄 28~77%
高圧水洗浄+デッキブラシ 46~66%
高圧水洗浄+ポリッシャー 34~58%
アスファルト 洗浄 高圧水洗浄 50~67%
*1 大熊町の例
Q2: コンクリートのたたき部を高圧水洗浄で除染しようと思います。高圧水洗浄に加えてブラッシング等何か併用した方がよいですか。

A2: 本事業では,高圧水洗浄の際に洗剤を使用したり,ブラッシングを併用したりしましたが,高圧水洗浄単独で除染したときと比べて顕著な効果はみられませんでした。

除染方法毎の除去率を比較したグラフを図2-1に示します(このグラフには,高圧水洗浄ではない集塵サンダーによる実施結果も含まれています)。

図2-1
Q3: インターロッキング部の除染を予定しています。効果的に行うにはどのようにすべきですか。

A3: 回収型高圧洗浄機を用いると表面だけでなくインターロッキングの溝の苔や土砂等を除去することができます。洗浄水及び洗浄水に含まれる放射性セシウムを含んだ苔や土砂等を回収できることから,通常の高圧洗浄よりも効率的に除染することができます。

【詳細・参考情報】
高圧水洗浄によるインターロッキングの除染の具体的な流れ
高圧水洗浄によるインターロッキングの除染の技術評価

Q4: 建物の外壁の除染は何がよいですか。

A4: 様々な材質の外壁面に対して,「高圧水洗浄」,「ウエス等による拭き取り」,「ブラッシング」による除染を試みましたが,いずれの方法でも効果に差異はほとんどありませんでした。二次汚染することのない 「拭き取り」を推奨します。ただし,「拭き取り」については,土壁や木製の壁については除染効果が期待できません。 様々な材質に対する高圧水洗浄もしくは水洗浄+拭き取りによる除染効果の比較を図4-1に示します。

除染効果の比較
図4-1 除染効果の比較
Q5: グラウンドでオススメの除染方法は何ですか。

A5: モデル実証事業ではいくつかの方法でグラウンドに対する除染を試みましたが,何れの方法も高い低減効果がありました。天地返しは除去物(廃棄物)が全く発生しないことから最も合理的であるといえます。ただし,天地返しは,排水層が施工されているグラウンドでは排水の機能を壊してしまう可能性があるため実施は適当ではありません。 本事業で実施したグラウンドの除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
グラウンドの除染方法の特徴の比較

Q6: グラウンドを表土剥ぎ取りで除染したいと思います。どうすれば効果的ですか。

A6: グラウンドの面積は比較的広いですから,施工スピードの速い路面切削機がよいでしょう。路面切削機は,表土が凍結していても施工できるという利点があります。

ただし,路面切削機は自重が大きいため柔らかい土壌では走行に支障をきたすこと,また,地表面に凹凸がある場合に凹部を剥ぎ取り残すことがあるため,剥ぎ取りを行う前に振動ローラーで地表面を締固める必要があります。
また,路面切削機は大型であるため,敷地境界等の狭隘部での施工が困難です。こういったエリアではバックホウや人力で剥ぎ取りを行う必要があります。 本事業で実施したグラウンドの表土剥ぎ取りの除染方法の詳細を以下に示します。

  • 人力
    グラウンド周辺部の仕上げ,境界部等の重機での表土剥ぎ取りが困難な箇所,テニスコートフェンス,遊具や樹木の周辺等は,人力により剥ぎ取りました。きめ細やか,丁寧な剥ぎ取りが可能ではありますが,作業能率が悪いことと,それにより作業時間が長くなり,作業員の被ばくリスクが他の方法に比べて高いことが課題となります。
  • バックホウ(剥ぎ取り)
    平爪のバックホウによって剥ぎ取りを行いました。剥ぎ取り厚さや精度はモーターグレーダーや人力よりも劣りますが,モーターグレーダーの入れない狭い場所では人力よりも効率的ですが,剥ぎ取りが厚くなることにより除去物量が多くなる傾向があります(図6-1)。
  • バックホウ(天地返し)
    砂や砂利による排水層を土壌中に施工していない空地や未舗装駐車場等において,施工範囲の半区画について,土壌中のセシウムの90%以上を含むと考えられる表層10cm程度を平爪のバックホウで剥ぎ取り,残りの半区画のビニールシート上に仮置きしました。下層土を20 cm程度剥ぎ取り,表土とは別の場所に仮置きしました。表土を埋戻し後,下層土を埋め戻します。残りの半区画について同じ作業を繰り返しました(図6-2)。
  • モーターグレーダー+スイーパー+バックホウ
    平らで広いグラウンドに適用でき,表面の凹凸がある場合は,事前に振動ローラー等による地ならしを行った後にモーターグレーダーとスイーパーを併用することで剥ぎ取りの精度が高くなります。掻き取った表土を溢散させず,取り残しを防ぐために,すべて丁寧にバックホウで除去することが重要です(図6-3)。
  • 路面切削機
    広い面積を効率よく剥ぎ取ることが可能ではありますが,重機幅が大きいのでグラウンド境界部の剥ぎ取りには不向きです。場所によっては硬軟にばらつきが有り,実際の切削深さにもばらつきが生じたことから,土壌表面が柔らかい場合は剥ぎ取りを確実に行うために,事前に振動ローラー等によって,他の箇所と同様な硬さとなるように締め固めたのちに剥ぎ取りを行いました。また,均一に凍結したグラウンドにおいてモーターグレーダーの適用が困難な場合でも,路面切削機を使用することで,効率的に凍結した表土を切削除去することが可能でした(図6-4)。
  • スイーパー
    乗用型のスイーパーにより,グラウンド表面の土砂を掻きとるように剥ぎ取りを行いました。グラウンド表面が固い場合は,剥ぎ取り厚さが薄くなり施工性が悪くなりました(図6-5)。
  • 改造型ハンマーナイフモア+スイーパー
    スイーパーのみでは,剥ぎ取り効率が悪いため,改造型のハンマーナイフモア(草刈り機の軸をずらすことにより表土のぼぐしを行えるよう改造したもの)により,事前にグラウンド表面をほぐし,その後スイーパーにより掻き取りを行いました。一度に剥ぎ取る事のできる厚さは1cm程度であり,目標剥ぎ取り厚さとなるまで複数回走行する必要があります。今回のモデル実証事業では3回走行を行いました。薄く剥ぎ取りができ,除去物の発生量を抑制することができますが,施工スピードが遅いため,大面積への適用は適さないと考えます(図6-6)。
図6-1 バックホウ実施状況
図6-2 天地返し実施状況
図6-3 グレーダー+スイーパー実施状況
図6-4 路面切削機実施状況
図6-5 スイーパー実施状況
図6-6 改造型ハンマーナイフ+スイーパー実施状況

本事業で実施した,グラウンドの剥ぎ取りによる放射線の低減率の比較を表6-1に示します。

表6-1 グラウンド除染における除染効果(低減率(%))
対象 種別 適用技術 施工条件
(剥取厚)
低減率
剥ぎ取り 人力 2cm 56%
バックホウ 2cm
5cm
6cm
82%
71~83%
76~83%
モーターグレーダー+スイーパー+バックホウ 3cm 90%
路面切削機 2cm
3cm
78%
92%
スイーパー 1~2cm 16~71%
改造型ハンマーナイフモア+スイーパー 2.8cm 93%
Q7: グラウンドの表土を剥ぎ取ろうと思います。何㎝剥ぎ取るのが適当ですか?

A7: モデル実証事業では,大部分の放射性セシウムは地表面から5㎝までの深さに留まっていることが確認されました。この5㎝は剥ぎ取り厚さの目安になりますが,剥ぎ取り前に対象エリアの深さ方向の汚染状況を測定して,剥ぎ取り厚さを検討するようにして下さい。

【詳細・参考情報】
グラウンドにおける放射性物質の付着・残留状況

Q8: 芝生の除染を予定しています。どのくらいの深さまで剥ぎ取れば良いですか。

A8: ターフストリッパーによる芝及び表土の3㎝深さの除去では,線量率の低減率は45%,バックホウによる芝及び表土の5~10㎝深さの除去では,線量率の低減率は60~90%でした(図8-1および図8-2,表8-1)。 ターフストリッパーは,剥ぎ取り厚さを一定に調整できる利点を有するものの,剥ぎ取り表面が軟弱な場合や小石混じりの場合には十分な性能が発揮されないことがありました。また,樹木等の支障物のある箇所や狭隘な箇所においては施工が不可能でした。

機械の汎用性を勘案すると,広大な面に対する芝の剥ぎ取りに際しては,バックホウによる剥ぎ取りが主たる除染方法となることが考えられます。また,サッチ層までの剥ぎ取りでは除染効果が低かった事例があったことから,芝および表土のどの程度の深さまで放射性セシウムが浸透しているか確認しつつ剥ぎ取りを行うことが効率的です。

図8-1 ターフストリッパー実施状況
図8-2 バックホウ実施状況
表8-1 ターフストリッパー及びバックホウの除染効果の比較例
Q9: 人工芝のテニスコートの除染を予定しています。放射性セシウムはどのくらいの深さまで浸透しているのでしょうか。

A9: モデル実証事業の実績では,10mmの深さまでに放射性セシウムは80~90%蓄積されていました。10㎜というのは,いわゆる目砂と呼ばれる充填材層の深度です。本事業では,充填材層の厚さは約19㎜ありました。

Q10: テニス場となる砂入り人工芝コートを除染したいと思いますが,人工芝を損傷させたくありません。何か良い方法はありませんか。

A10: モデル実証事業ではレノマチック(充填材吸引機)を用いて人工芝に撒かれている充填材の吸引を試みました。吸引だけでなく,汚染されていない新しい充填材を散布することも,線量率低減に寄与することが分かりました。レノマチックは,除去する厚さを細かく設定することができ,また,除去作業と同時に除去物の回収も可能でありたいへん有用です。

【詳細・参考情報】
レノマチックを用いた人工芝地の除染方法
レノマチックを用いた人工芝地の除染の具体的な流れ
レノマチックを用いた人工芝地の除染の技術評価

Q11: 公園の鉄棒やうんていの除染を予定しています。除染モデル実証事業ではどんな実績がありますか。

A11: モデル実証事業における遊具の除染の実績については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
遊具の除染方法
遊具の除染の効果例

Q12: 学校の裏山の法面を除染したいと考えています。法面にはコンクリートによるフレーム構造(法枠)が施工されていて,フレーム内には土嚢が充填されています。どのようにすればよいですか。

A12: 法面におけるフレーム(法枠)内の土嚢撤去については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
法面における法枠内植生土のう撤去による除染方法
法面における法枠内植生土のう撤去による除染の具体的な流れ
法面における法枠内植生土のう撤去による除染の技術評価

Q13: 学校の屋外プールの除染を予定しています。プールで線量が高いのはどの部位ですか?また,プールではどんな除染方法を試した実績がありますか。

A13: モデル実証事業の実績では,プール槽に比べてプールサイドの方が相対的に放射線量は高い傾向がありました。高圧水洗浄によるプールの除染効果例については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
高圧水洗浄によるプールの除染効果例

Q14: グラウンドの土を除染する方法を教えて欲しい。

A14: 表土を削り取る場合には,除去土壌等の発生が過度に多くならないように,削り取る厚さを薄くする必要があります。除染に先立ち,小さい面積について,表面線量率または表面汚染密度を測定しながら表土を1~2cm程度ずつ削り取り,削り取るべき厚さを決定してください。また,削り取る深さによっては排水層(砂利等を施工した層)を破壊する場合もありますので,排水層の有無,深度についても確認してください。詳細は下記資料やページを参照下さい。

【詳細・参考情報】
除染等の措置に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q15: 学校や公園に設置されている遊具の除染はどのように行えば良いか?

A15: 鉄棒,雲梯,ジャングルジムなどの金属製遊具については,主に金属部の錆びている箇所に放射性セシウムが付着しているため,錆を落とすことで除染効果が得られます。木製や樹脂製の遊具についても,汚れ部に放射性セシウムが付着していることが多く,汚れを落とすことである程度の除染効果が得られます。ただし,木質部などに放射性セシウムが浸透し,これらの方法では十分な除染効果が得られない場合は交換が必要となります。遊具等の除染については下記ページも参照下さい。

【詳細・参考情報】
学校遊具の除染の手引き(福島研究開発部門)
除染作業について(動画②遊具編)(福島研究開発部門)
除染作業について(基礎データ)(福島研究開発部門)
柵・塀,ベンチや遊具等の除染 (除染関係ガイドライン(第2版))

Q16: どのような物に対してスチーム洗浄が有効であると考えられるか?

A16: 除染モデル実証事業ではスチーム洗浄により鉄,プラスチック及び木製の遊具の除染を試みました。その結果,鉄製の遊具については除染効果が認められませんでしたが,プラスチック及び木製の遊具については60%程度の低減率が得られております。放射性セシウムがどのような箇所に付着しているか(表面の汚れに付着,または木質部等へ浸透など)によって除染効果は異なると考えられます。熱湯を用いて試験的に除染することで効果が得られそうかある程度把握できる可能性があります。

【詳細・参考情報】
遊具の除染方法
柵・塀,ベンチや遊具等の除染 (除染関係ガイドライン(第2版))

Q17: ウッドデッキや木製のベンチなどの除染方法,留意点等を教えてほしい。

A17: 除染モデル実証事業では拭き取り及びスチーム洗浄による木製の遊具の除染を試みました。ふき取りでは顕著な除染効果が得られませんでしたが,スチーム洗浄を適用することで低減率が60%を超えるような事例がみられました。

【詳細・参考情報】
遊具の除染方法
柵・塀,ベンチや遊具等の除染 (除染関係ガイドライン(第2版))

Q18: プールの底面に一部表面線量率の高い箇所(約3μSv/h)があるが,使用に問題はないと考えて良いか?

A18: 水の1/10価層(放射線の量が10分の1になる厚さ)は,30cmなので,水の深さ30cmで0.3μSv/h(表面の10分の1),90cmで0.003μSv/h(表面の1000分の1)となり,問題ないと思われます。

Q19: 子供が除染されていない公園の遊具や砂場で遊んだが影響はないか?

A19: まず遊具についてですが,身体に付着しやすい成分はすでに雨水等で洗い流され,遊具に残っている成分は遊具に固着しているものと考えられます。このため,少し触れた程度で身体に付着するものではないと考えられます。砂場については,遊んだ際に衣類や手などに砂と一緒に放射性セシウムが身体に付く可能性はあります。しかしその量は無視できる程度の量でしかありません。仮に空間線量率が0.5μSv/hのエリアで採取した砂を大さじ一杯(15g)誤飲したとします(この量を子供が飲み込むことはまずありえない想定です。)。たとえその量を誤飲したとしても内部被ばく量は0.001mSvにも達しません。この量はカリウムやラドンのような自然放射線による線量よりもはるかに小さい値です。したがって人体に影響が出るレベルではないということができます。
類似のQ&Aについては下記を参照ください。

【詳細・参考情報】専門家が答える暮らしの放射線Q&A(日本保健物理学会)

Q20: 人工芝の除染方法と留意点を教えてほしい。

A20: 除染モデル実証事業では,レノマチック(充填材吸引機)を用いて人工芝に撒かれている充填材(ゴム,目砂)を除去する方法を試みました。
詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
人工芝の充填材の除去(除染関係ガイドライン(第2版))
平成24年度 第1回福島県除染技術実証事業実施結果 報告書

Q21: 遊具のザイルロープを除染しても表面汚染密度が下がらない。良い除染情報はないか?

A21: ロープの材質・表面構造にもよりますが,放射性セシウムがロープの内部まで浸透していると,表面を拭き取り等の方法で除染しても表面汚染密度が下がらないケースが見られます。その場合は交換してください。

Q22: 人工芝に目砂を敷き増しすることにより遮へい効果は期待できるか?

A22: 目砂(目土)の厚さは非常に薄く,遮へい効果は期待できません。人工芝についてはレノマチック(充填材吸引機)を用いた除染が実証されています。
下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
人工芝の充填材の除去(除染関係ガイドライン(第2版))
平成24年度 第1回福島県除染技術実証事業実施結果 報告書
レノマチックを用いた人工芝地の除染方法

Q23: FRP製の遊具の除染方法について教えて欲しい。

A23: モデル実証事業では,スチーム洗浄によりプラスチック製の遊具の除染を試みました。その結果,プラスチック製の遊具については60%程度の低減率が得られております。放射性セシウムがどのような箇所に付着しているか(表面の汚れに付着,または劣化部等へ浸透など)によって除染効果は異なると考えられます。熱湯を用いて試験的に除染することで効果が得られそうかある程度把握できる可能性があります。

【詳細・参考情報】
遊具の除染方法
柵・塀,ベンチや遊具等の除染(除染関係ガイドライン(第2版))

農地の除染方法について

Q1: 農地を除染したいのですが,どんな方法がありますか。

A1: モデル実証事業では「表土剥ぎ取り」,「反転耕」,「天地返し」,「撹拌耕」等の方法で農地の除染を試みました。各除染方法については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
農地の除染方法

Q2: 除染対象農地の耕盤は深い位置にあります。どの除染方法が適していますか。

A2: 土壌中の放射性セシウムの濃度にもよりますが,反転耕もしくは天地返しが適していると考えます。農地における除染方法選定の考え方については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
農地における除染方法の選定フロー

Q3: 農地表土を剥ぎ取ろうと思うのですが,どのくらいの深さを剥ぎ取ればいいのですか。

A3: モデル実証事業では,大部分の放射性セシウムは地表面から5㎝までの深さに留まっていることが確認されました。この5㎝は剥ぎ取り厚さの目安になりますが,剥ぎ取り前に対象エリアの深さ方向の汚染状況を測定して,剥ぎ取り厚さを検討するようにして下さい。

【詳細・参考情報】
農地における放射性物質の付着・残留状況

Q4: 天地返しとはなんですか。

A4: 天地返しとは,表層土及び下層土を一時的に撤去した後,下方に表層土を,上方に下層土を埋め戻す方法です。作業手順を図4-1に示します。

天地返し作業手順
図4-1 天地返し作業手順

【詳細・参考情報】
天地返しによる農地の除染方法

Q5: 反転耕と撹拌耕の違いは何ですか。

A5: 両者は使用する重機の外観や見かけの作業状況はよく似ていますが,前者は上層と下層を入れ替えるのに対し,後者は上下層を混ぜ合わせるという違いがあります。
反転耕と撹拌耕の特徴を以下に述べます。

反転耕:トラクターに牽引されたプラウにより,放射性セシウムで汚染された表層付近の土壌(表層土)と下層にある土壌(下層土)を反転させます(図5-1)。 撹拌耕:耕運機により,ある深さまでの土壌を均一になるように混合します(図5-2)。

モデル実証事業の結果では,低減効果は,本事業においては「反転耕>撹拌耕」でした。

プラウによる反転耕, 耕運機による撹拌耕
Q6: 反転耕もしくは天地返しで除染したいと考えていますが,どちらがおすすめでしょうか。

A6: モデル実証事業の結果では,低減率,コスト評価,施工スピードについて,反転耕が優位となりました。農地の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
農地の除染方法の特徴の比較

Q7: 薄層表土剥ぎ取り機(ハンマーナイフモア)での除染方法において注意点は何かありますか。

A7: 当該重機による一回の剥ぎ取り可能厚さは薄い(1㎝以下)ため,剥ぎ取りの厚さと除染効果の関係を事前に把握しておく必要があります。また,凹凸部においては,重機の構造上剥ぎ取り残しが発生してしまうため,その部分は人力で剥ぎ取らなければなりません。

Q8: 最も安価な農地の除染方法はなんですか。

A8: モデル実証事業では,反転耕による除染が最も安価となる結果となりました。ただし,除染方法の選定にあたっては,その他の項目を十分に検討する必要があります。
農地の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
農地の除染方法の特徴の比較

Q9: 固化材を用いた表土の剥ぎ取りの具体的な作業手順を教えてください。

A9: 固化材を用いた表土の剥ぎ取りの具体的な作業手順等の詳細については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
表土固化剤を用いての表土剥ぎ取りによる農地の除染の具体的な流れ
表土固化剤を用いての表土剥ぎ取りによる農地の除染の技術評価

Q10: 農地の除染に関して留意点としてはどのようなものがありますか。

A10: 農地の除染における留意点については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
農地除染における留意点

Q11: 水田の効果的な除染方法を教えて欲しい。

A11: 水田の除染技術については,農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)等が報告しております。詳しくは下記ページを参照下さい。

【詳細・参考情報】
既耕作水田における水による土壌攪拌・除去技術の除染効果(農研機構)
耕起した放射能汚染水田を除染するための水による土壌攪拌・除去技術(農研機構)
放射性セシウムの「水による土壌撹拌・除去技術」の除染効果の実証試験結果(農研機構)

Q12: 作土層が薄くて反転耕や深耕による除染が困難な農地に効果的な除染方法はあるか?

A12: 土のカリウム濃度が高いほど,放射性セシウムが作物に吸収される量が少なくなるという研究事例(日本土壌肥料学会)があります。作土層が薄い場合はカリウム肥料の散布など,肥培管理が有効であると考えられます。

道路の除染方法について

Q1: そもそも,道路は除染する必要があるのでしょうか。放射性セシウムは,ほとんど土に付着すると聞きました。

A1: モデル実証事業においては,舗装道路は農地などの土面に比べて表面線量率及び空間線量率が低い傾向が認められました。実際の路面の汚染状況に応じて除染計画を検討してください。
舗装道路は農地などの土面に比べて表面線量率及び空間線量率が低い傾向が認められたのは,舗装面の表面に付着した放射性物質が,事故以降の降雨等により取り除かれたことによるものと考えています。
舗装面及び未舗装面の表面線量率と空間線量率の関係を図1-1に示します。

舗装面及び土面の表面線量率と空間線量率(川俣町の例)
図1-1 舗装面及び土面の表面線量率と空間線量率(川俣町の例)
Q2: 舗装道路の路面の除染方法にはどんなものがありますか?

A2: モデル実証事業では,排水性舗装機能回復車による洗浄,超高圧水洗浄機による切削,ブラストによる切削等を行いました。舗装道路の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法の特徴の比較

Q3: 最も除染効果(低減率大)のある道路の除染方法は何ですか?

A3: モデル実証事業では,TS切削機による除染が最も低減率の大きい結果となりました。ただし,除染方法の選定にあたっては,その他の項目を十分に検討する必要があります。
舗装道路の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法の特徴の比較

Q4: 最も安価な道路の除染方法は何ですか?

A4: モデル実証事業では,排水性舗装機能回復車による除染が最も安価となる結果となりました。ただし,除染方法の選定にあたっては,その他の項目を十分に検討する必要があります。
舗装道路の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法の特徴の比較

Q5: もっとも施工スピードの早い道路の除染方法は何ですか?

A5: モデル実証事業では,路面清掃車による除染が最も早い結果となりました。ただし,除染方法の選定にあたっては,その他の項目を十分に検討する必要があります。
舗装道路の除染方法の特徴の比較については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法の特徴の比較

Q6: 排水性舗装機能回復車とはなんですか?

A6: 排水性舗装機能回復車(図6-1)は,高圧水洗浄とキャビテーションジェット(強弱の脈動を与えるような水流)により,土砂等で目詰まりした路面の排水用の隙間から土砂等を除去し,ブロワー及び真空吸引により回収できる機能を有する車です。

排水性舗装機能回復車による洗浄
図6-1 排水性舗装機能回復車による洗浄

【詳細・参考情報】
排水性舗装機能回復車による道路の除染方法
排水性舗装機能回復車の具体的な流れ
排水性舗装機能回復車による道路除染の技術評価

Q7: 震災の影響により,陥没やひび割れのような激しい損傷が路面に多数見れらます。どんな除染方法が適していますか。

A7: 舗装面が歪曲している場合,排水性舗装機能回復車や切削機などでは,洗浄水や投射材を舗装面に対して均等に打ち付けることができないため除染効果が極端に低下することがあります。そのため,モデル実証事業ではバックホウによってアスファルト舗装面の剥ぎ取りを行いました。アスファルト舗装面を剥ぎ取った箇所については,新たにアスファルト舗装を施工し直しました。なお,剥ぎ取りを行わずに現状路面上にアスファルト舗装で被覆することも検討の余地があります。

Q8: TS切削機を選定して道路を除染しようと考えています。詳細に経費算出したいので,歩掛の内訳を教えてください。

A8: モデル実証事業における歩掛例については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
TS切削機による道路除染の歩掛例

Q9: TS切削機を選定して道路を除染しようと考えています。具体的な作業手順を教えてください。

A9: TS切削機による除染の作業手順等については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
TS切削機による道路の除染方法の詳細
TS切削機による道路除染の具体的な流れ
TS切削機による道路除染の技術評価

Q10: 切削機により路面を除染しようと考えていますが,どのくらいの深さまで切削すればいいのでしょうか。

A10: モデル実証事業では,密粒な材質からなるアスファルト舗装面の場合は表面から深度約3mm程度,多孔質な材質からなるアスファルト舗装面(排水性舗装面)の場合は表面から深度約5mm程度までに大部分の放射性物質が留まっていることが分かりました。これが目安になると考えますが,実際に適用する際は,部分的に切削を行い十分な効果が得られるかを確認する必要があります。

【詳細・参考情報】
道路における放射性物質の深度分布状況

Q11: 路面を切削すると,路面高が低くなるため,雨水が側溝へ流れなくなるのではないですか?

A11: 路面高が低くなることにより道路の機能が損なわれる場合は,アスファルトを施工することにより路面高を補填し,機能を回復します。一般的に,このようなアスファルト舗装補修をオーバーレイといいます。切削後の舗装面の補修については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
機能回復措置 切削後の舗装面

Q12: 道路の除染に関して留意点としてはどのようなものがありますか。

A12: 道路の除染における留意点については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
道路除染における留意点

Q13: 道路の除染では,1時間あたり,どの程度の距離を除染できるか?

A13: 除染できる単位時間あたりの距離については,汚染状況や除染方法や道路の幅等によって異なります。モデル実証事業における除染方法の比較結果については下記ページを参照下さい。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法の特徴の比較

Q14: コンクリート舗装部の除染方法と留意点等を教えてほしい。

A14: ブラシがけ,高圧水洗浄,超高圧水洗浄(最高約200 MPa),ショットブラスト,切削などが適用可能です。舗装道路に対し表面の削り取り(超高圧水洗浄,ショットブラスト)や切削等の薄層切削は効果が高いのですが,切削厚さを可能な限り薄くすることにより発生除去物量を抑制するとともに,高い除染効果を達成する方法を選択することが重要です。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法の特徴の比較
スチールブラストの投射密度による除染効果試験

Q15: アスファルトに遮へい効果はあるか?

A15: 舗装用アスファルトは,コンクリートと比重が同程度(約2.5g/cm3)であることから,同等の遮蔽率が得られるものと考えられます。

Q16: 排水性舗装や透水性舗装の除染方法と留意点を教えてほしい。

A16: モデル実証事業においてアスファルト舗装における放射性セシウムの深度分布を調査したところ,排水性舗装や透水性舗装などの多孔質アスファルトは,一般的な密粒度アスファルトよりも放射性セシウムが深く浸透している傾向が認められました。多孔質アスファルトの除染方法としては,排水性舗装機能回復車による洗浄があります。留意点としては,轍(わだち)が大きい道路や地震等の影響で歪曲・損耗した路面では,高圧洗浄部分と路面の間隔が開いて洗浄に用いた水の回収率が低下するため,除染効果が低くなるといったことがあります。詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
道路における放射性物質の深度分布状況
排水性舗装機能回復車による道路の除染効果例
排水性舗装機能回復車による道路除染の技術評価

Q17: アスファルト面にホットスポットがある。その上にアスファルトを4cm積層すると線量率をどの程度低下させることができるか?

A17: 放射性セシウムが放出するγ線は約4cmのアスファルトを積層することにより50%程度まで低減できます。しかし,汚染箇所の確認や汚染物の除去をしてからアスファルトを積層することを勧めます。具体的には,まずアスファルト面のホットスポットをモニタリングで確認し,グラインダ等で汚染部分を削り取ってから必要厚さのアスファルトを積層するのが良いと考えられます。

【詳細・参考情報】
道路の除染方法

森林の除染方法について

Q1: 森林を除染しようと思いますが,どんな方法がありますか。また,お金がないので最も効果の高いものだけ行いたいのですが,どの方法が良いでしょうか。

A1: モデル実証事業では(1)落葉・腐植土層除去,(2)落葉・腐植土・表土の除去,(3)樹幹洗浄,(4)枝打ちといった方法を実施いたしました。総合的に効果が最も高かったものは(1)落葉・腐植土層除去でした。放射性セシウムは樹木上部に少なく,そのほとんどが地面に落ちていることが多いから,樹木下部の除染が効果的です。(3)樹幹洗浄については,林野庁の調査結果によれば,そもそも樹木全体に占める樹幹の放射性セシウムの付着割合は数%と小さく,除染による空間線量率低減の効果は限定的となります。森林の除染方法の特徴比較,林野庁の調査結果については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
森林の除染方法の特徴の比較
森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(林野庁)

Q2: 竹林の除染を考えています。何かアドバイスはありますか。

A2: 竹林については,樹間が狭く,施工性の観点から間伐を実施しないと地表に対する除染ができない場合があります。モデル実証事業では,10%程度の間伐を行いました。また,落葉等をバキューム車を用いて吸引搬送すると効率的です。バキューム車を用いた吸引搬送の詳細については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
落葉・腐植土層除去による森林の除染の具体的な流れ
落葉・腐植土層除去による森林の除染の技術評価

Q3: 常緑樹(アカマツなど)の森林の除染を予定しています。どんな除染をすればいいですか。

A3: 常緑樹は,事故時点に葉を付けていたため,落葉樹と比べより多くの放射性セシウムが枝葉に付着する傾向がありました。常緑樹の葉は3~4年程度かけて生え変わるため,この期間は落葉等の除去を繰り返す必要がある場合があります。林野庁の調査によると,葉など地上部に蓄積している放射性セシウムの割合は2011 年には全体の 18~44%を占めていましたが,2013 年には 2~9%まで低下しています。このため,枝打ちや伐採といった樹木の地上部を対象した除染による空間線量率低減の効果は限定的になると考えられます。

A3: 常緑樹は,事故時点に葉を付けていたため,落葉樹と比べより多くの放射性セシウムが枝葉に付着する傾向がありました。常緑樹の葉は3~4年程度かけて生え変わるため,この期間は落葉等の除去を繰り返す必要がある場合があります。林野庁の調査によると,葉など地上部に蓄積している放射性セシウムの割合は2011 年には全体の 18~44%を占めていましたが,2013 年には 2~9%まで低下しています。このため,枝打ちや伐採といった樹木の地上部を対象した除染による空間線量率低減の効果は限定的になると考えられます。

【詳細・参考情報】
落葉・腐植土層除去による森林の除染の具体的な流れ
落葉・腐植土層除去による森林の除染の技術評価
森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(林野庁)

Q4: 腐植土層除去を省略し,落葉除去のみ行おうと思います。効果はありますか。

A4: 本事業の実績では,落葉除去のみの線量率の低減は最大でも40%に留まりました。一方,落葉・腐植土・表土の除去を行った際の線量率の低減は最大で90%と非常に効果的であることが分かりました。落葉だけでなく,腐植土・表土の除去も行うことを推奨します。

Q5: 落葉・腐植土層除去を行おうと思います。コストはどのくらいになりますか。

A5: モデル実証事業の実績では,平地においては1㎡あたり530円でした。傾斜地では,1㎡あたり760円です。

【詳細・参考情報】
森林の除染方法の特徴の比較

Q6: 落葉・腐植土層除去を行おうと考えていますが,木と木の間隔が狭いため重機の乗入れができません。人力で行う場合の歩掛はどのくらいになりますか。

A6: モデル実証事業における落葉・腐植土層除去の歩掛例については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
落葉・腐植土層除去による森林の除染の歩掛例

Q7: 森林の除染はどの程度実施されるのか?

A7: 森林の除染では,落葉や腐植土の除去,枝葉の除去等を行います。ただし,森林の面積は大きく,森林全体にわたってこのような除染を行うと膨大な除去物が発生するだけでなく,土砂災害の危険性も高まります。このため,森林等の除染については,森林周辺の居住者の生活環境における放射線量を低減する観点で実施されます。落葉等の除去は,林縁から20m程度の範囲を目安に行われますが,作業実施後の空間線量率の低減状況を確認しつつ,その範囲は決定されます。

【詳細・参考情報】
森林の除染(除染関係ガイドライン(第2版))
森林入口の空間線量率に対する除染対象とする森林奥行の深さの影響

Q8: 樹木の枝打ちをする必要はあるか?

A8: 落葉広葉樹については,福島第一原子力発電所事故に伴う放射性セシウムが大量に放出された平成23年3月の時点には葉が茂っていなかったため,放射性セシウムは主に落葉等の堆積有機物に付着している傾向があります。したがって落葉広葉樹林については落葉等の除去によりある程度の除染効果が期待できます。一方,常緑針葉樹については,放射性セシウムが枝葉に付着している割合が高く,落葉等の除去のみでは十分な除染効果が得られない場合があります。このような場合は,森林周辺の居住者の生活環境における放射線量を低減する観点で,林縁部周辺の立木の枝葉の除去(枝打ち)が必要となります。ただし,樹冠(枝葉の部分)の長さの半分程度を目安とし,立木の成長を著しく損なわないようにすることが望ましいとされています。

【詳細・参考情報】
森林の除染(除染関係ガイドライン(第2版))

Q9: 森林除染で発生する除去物の量はどれくらいか?

A10: 樹木の枝葉によってある程度放射線が遮へいされている場合,枝打ちが空間線量率を上昇させる要因となる可能性は考えられます。同様に,表層に堆積した新しい落ち葉によって下部の腐植土に含まれる放射性セシウムからの放射線が遮へいされている場合も表層の落ち葉の除去によって空間線量率が上昇する可能性は考えられます。いずれにせよ,森林の除染は枝打ち,表層の落ち葉の除去だけではなく,林縁から奥行き20メートル程度の範囲にわたる腐植土の除去を含めて実施されることから,除染作業全体の結果としては空間線量率を下げることができます。

【詳細・参考情報】
森林除染に係る知見の整理等について(環境省環境回復検討会(第9回)資料)

除去物の管理について

Q1: 草木など,除染で発生した可燃性の除去物は野焼きで処理をしても問題はないか?

A1:「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」の改正により,平成13年4月1日から廃棄物の焼却(廃棄物処理法に定められた処理基準に従って行う廃棄物の焼却等を除く)は原則禁止されています。野焼き(野外焼却)についても,農業,林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却等を除いて禁止されています。可燃性の除去物の処理方法については,自治体によって異なりますので,自治体にご相談下さい。

【詳細・参考情報】
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第16条の2 焼却禁止)

Q2: 仮置場の構造や機能はどのようなものか?また,どのように監視を行えばよいか?

A2: 除染によって発生する除去物等の保管の形態としては,市町村又はコミュニティ単位で設置した仮置場での保管のほか,除染した現場等での保管(現場保管)があります。仮置場等の構造や機能,監視方法について,除染関係ガイドライン(第2版)「除去土壌の保管に係るガイドライン」(環境省,2013)では,施設要件および管理要件として整理されています。詳細については下記ページ,資料を参照下さい。

【詳細・参考情報】
仮置場の安全性と必要な機能
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q3: フレキシブルコンテナにはどのような種類,特徴があるか?

A3: フレキシブルコンテナにはクロス形とランニング形があります。クロス型はランニング形と比較して耐候性,防水性が劣り,使い切りでの使用を想定しています。一方,ランニング形は耐候性や防水性に優れ,収納,取り出しを繰り返して使用することを想定しています。

【詳細・参考情報】
大型土のう,フレキシブルコンテナへの収納について(除染関係ガイドライン(第2版))

Q4: 水を用いた除染や除染用具の洗浄で排水が発生する場合,どのように処理すればよいか?

A4: 除染等で発生する排水の処理については,除染関係ガイドライン(第2版)「除染等の措置に係るガイドライン」(環境省,2013)のⅡ.建物等の工作物の除染等の措置(2)排水の処理を参照下さい。

【詳細・参考情報】
排水の処理(除染関係ガイドライン(第2版))

モデル実証事業における排水(除染水)の処理については下記ページを参照下さい。

除去物の減容―除染水等の処理―

Q5: 遮水シートは接着剤で接合させてよいか?

A5: 遮水シートの補修方法は材料ごとに変わります。各遮水シートメーカーが作成した点検・補修要領に従うか,もしくはメーカーまたは専門業者に委託してください。

【詳細・参考情報】
廃棄物最終処分場遮水シート取扱いマニュアル(日本遮水工協会)

Q6: 仮置き場に除去土壌等を集めると近隣の線量が高くなるのではないか?

A6: 放射線は土壌等によってさえぎることができるので,除去土壌の配置の仕方を工夫したり,遮へい材を用いることで,近隣への影響を抑えることができます。下図のように照明に例えると,照明が増えても明るさが変わらないように,除去土壌などが増えても放射線量はほぼ変わりません。また,除去土壌などを汚染されていない土で覆うとさらに放射線をさえぎることができます。

大規模な仮置き場の側面遮へいのイメージ
図6-2 大規模な仮置き場の側面遮へいのイメージ

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q7: 使用済みの土嚢から放射性物質を含む水が出てくる場合,どのようにすれば良いか?

A7: 水分を多く含んでいる除去土壌の場合は,流出や漏れ出しを防止するために可能な範囲で水切りを行なってください。また,現場保管や仮置場において数年間保管する場合には,必要に応じ,底面に遮水シート等を敷くなど遮水層を設けることにより,放射性セシウムの流出を防止します。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
除去土壌の収集・運搬に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q8: 仮置場の保護層にゼオライトを入れる必要はあるか?

A8: 仮置場の保護層にゼオライト等を入れることは必須条件ではありませんが,放射性セシウムを吸着しやすい粘土やゼオライト等を混ぜると放射性セシウムの移行をさらに抑えることができます。

Q9: 仮置場の保護層の厚みは何cm程度にすればよいか?

A9: 保護層の厚さは十~数十cm 程度となります。重機が入る際には保護層の上に一時的に鉄板を置くなどして養生して下さい。鉄板を置かない場合は保護層を30cm程度の厚さとする必要があります。

Q10: 仮置場等への雨水等の浸入はどのように防止するのか?

A10: 遮水シート等の防水性のあるシートで上部を覆うなどして雨水が浸入しないようにして下さい。詳しくは下記頁を参照下さい。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q11: 仮置場等からの放射性物質の流出はどのように防止するのか?

A11: 除去土壌を置く場所には遮水シート等,耐候性・防水性のあるシートを敷きます。遮水シート等を敷く場合は,除去土壌の搬入の際に破損しないように,必要に応じ,除去土壌と遮水シート等の間に土を盛るなどして保護層を設け,重機を使用する場合は適宜鉄板を敷くなどの養生をします。この際,保護層に放射性セシウムを吸着しやすい粘土やゼオライト等を混ぜると,放射性セシウムの移行をさらに抑えることができます。なお,除去土壌が防水性を有する容器に入れられており,防水性のある覆いで雨水の浸入が適切に防止されている場合は,防水シートの敷設等の遮水層の設置は省略することができます。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q12: 仮置場予定地の土壌中の放射性セシウムの濃度を測定する場合,土壌試料の採取箇所はどのような設定すればよいか?

A12: 除去土壌を運び込む前に,仮置場予定地の土壌を採取し,採取した土壌中の放射性セシウムの濃度を測定し,その結果を記録します。測定点は,除去土壌を置くエリアの真ん中一点と四隅とします。
詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
施設の仕様と安全管理の内容の例(除染関係ガイドライン(第2版))

Q13: 除去物の保管等を行う際に必要となる記録の項目はどのようなものか?

A13: 保管量,保管開始日,除染を行った場所,容器表面の空間線量率,当該除去土壌を引き渡した担当者(実際に運搬を担当した人)の氏名等を記録することになっています。
詳しくは下記を参照ください。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係る記録項目(除染関係ガイドライン(第2版))

Q14: 汚染した玉石をトレンチに遮水シートを敷設して現場保管したいが問題ないか?

A14: 除去物の現場保管方法は除染関係ガイドラインに記載されている方法が基本となります。放射性物質の飛散の防止,除去物の搬出時の容易さ等を踏まえると,土のう等の容器の利用が望ましいと言えます。土のう等の容器を用いない保管方法で問題ないかについては自治体にご確認下さい。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q15: 仮置場に設置したガス抜き管について,測定する内部ガスの種類や頻度を教えてほしい。

A15: 有機物を含む廃棄物の保管場所においては,廃棄物層内での生物学的及び化学的作用による発熱やメタンガス等の発生などに由来する火災を防止する観点から,10日に1回程度,一酸化炭素濃度の測定が求められております。一酸化炭素の測定が不可能な場合は,可燃性ガス(メタンや硫化水素)を測定することで一酸化炭素濃度の測定の代用とすることが認められています。その他の対策含め,詳細については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
腐敗性除染廃棄物の保管方法(除染廃棄物関係ガイドライン(第2版))

Q16: 排水中の放射性セシウムの濃度限度の考え方について教えてほしい。

A16: モデル実証事業では,飲料水に対する暫定規制値(当時)(200Bq/kg)(厚生労働省, 2011)又は特定廃棄物の処分に伴う公共の水域の濃度限度(134Cs:60 Bq/L,137Cs:90 Bq/L(混在する場合はそれぞれの濃度÷基準値の和が1以下))を基準値としました。
いずれの値も当該濃度の放射性セシウムを含む水を毎日1年間摂取した場合に受ける被ばく量が1mSv以下であることを基準に設定されています。

【詳細・参考情報】
除去物の減容―除染水等の処理―
放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(国立環境研究所)
特別措置法施行規則

※公共の水域の濃度限度
同一人が0歳児から70 歳になるまでの間,当該濃度の放射性物質を含む水を摂取したとしても,被ばく線量が一般公衆の許容値(年間1mSv)以下となる濃度として設定されたものです(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則)。

Q17: 冬期に除染した凍土をフレキシブルコンテナに入れて一時的に保管している。気温の上昇に伴いフレキシブルコンテナから水が浸み出す可能性があるが,対策は必要か?

A17: 凍結した土壌が融解し,一時的に保管しているフレキシブルコンテナから浸出水が発生する可能性はあります。仮置場等にフレキシブルコンテナを移設した後,一時的な保管に使用していた場所の空間線量率等に異常がないかを確認し,必要に応じて表面の土壌を除去するなどの措置を行って下さい。

Q18: 仮置場の造成前後の空間モニタリングの方法について,表土を除去するときに空間線量率はどの高さ,間隔で測定するか。

A18: 造成前後の空間線量率の比較という意味では,通常の除染前後の空間線量率の測定と同様に高さ1mで問題ありません。仮置場については除去土壌等を搬入する前に,校正されたシンチレーション式サーベイメータ等を用いて,敷地境界に沿った2m間隔の測定点における高さ1m の位置での空間線量率を測定し,その結果を記録する必要があります。このほか,除去土壌を運び込む前に,仮置場予定地の土壌中の放射能濃度の測定も必要です。詳しくは下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
施設の仕様と安全管理の内容の例(除去土壌の保管に係るガイドライン)

Q19: 除去土壌を土のう袋に入れて遮水シートを敷いて敷地内に埋設しようと思うが,遮水シートの耐用年数はどの程度か?

A19: 遮水シートの耐用年数について,日本遮水工協会は10年を保証し,自主規格値を15年としています。詳細については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
遮水シート(自主)規格解説(日本遮水工協会)
遮水シートの耐久性について(日本遮水工協会)

Q20: 東京電力福島第一原子力発電所内の汚染水タンク内の汚染水と,仮置場において保管するフレキシブルコンテナ中から滲出してくる水との違いを教えて欲しい。

A20: 福島第一原子力発電所内の汚染水タンクに貯蔵されている汚染水には,トリチウムや放射性ストロンチウム(89Sr,90Sr)などセシウム以外の60種類程度の放射性物質が含まれています。一方,仮置場に保管するフレキシブルコンテナ内から水が滲出してきた場合,その水に含まれる放射性物質は,放射性セシウム(134Cs、137Cs)となります。
しかし,放射性セシウムは土に付着しやすく離れにくい性質を持っていますので,もし検出されても濃度は低いものと推定されます。以上の観点から福島第一原子力発電所内の汚染水タンクに貯蔵されている汚染水と仮置場に保管するフレキシブルコンテナ内から水が滲出してきた水とは全く別のものだと考えてもらって差し支えありません。

Q21: 覆土による放射線量の低減率はどの程度か?

A21: 土壌組成や密度によって多少異なりますが,覆土による低減率(※)は,覆土厚さ5cmで52%,10cmで74%,15cmで86%,20cmで92%,30cmで98%となります。

※「埋設処分における濃度上限値評価のための外部被ばく線量換算係数」(佐々木他,2008)の表4.5(覆土厚さ(コンクリートピットなし)に対する外部被ばく線量換算係数)から求めたものです。

Q22: 芝生を深刈してフレキシブルコンテナに入れて地中に埋めている。数袋程度の場合,ガス抜き管は必要ないか?

A22: 腐敗の可能性がある可燃性の廃棄物を保管する場合はガス抜き管が必要となりますが,少量の場合は不要であると考えられます。ただし,雨水等の侵入により腐敗することがありますので,目視観察や匂いから腐敗していないことを確認してください。詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
腐敗性除染廃棄物の保管方法(除染廃棄物関係ガイドライン(第2版))

Q23: フレキシブルコンテナの保管について,遮水シート上に敷設する保護層(保護土)として畑土を用いても問題ないか?

A23: 一定の粘性があり,細粒分が15~50%程度のものであれば,畑土でも問題ないと考えられます。

Q24: 仮置場等に設置する集水タンクの容量はどの程度必要か?

A24: 集水タンクは,保管の基準として必須とされているものではありません。浸出水の放射性物質濃度を確認する場合に任意に設置するものです。2?程度あれば十分であると考えられます。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q25: 仮置場等に設置する集水タンクはどのような管理が必要か?

A25: 集水タンクは,保管の基準として必須とされているものではありません。管理方法は決められておりませんが,月に一度以上の頻度でタンク等に水が溜まっているかどうかを確認し,溜まっている場合は浸出水中の放射性セシウムの濃度を測定します。測定方法については,「廃棄物関係ガイドライン(平成25 年3 月第2版)」を参照してください。

【詳細・参考情報】
排水及び公共の水域の水(除染廃棄物関係ガイドライン(第2版))

Q26: 可燃物の仮置き場として,廃棄物ガイドラインでは積み上げ高さ2m(地上高)となっているが,2m掘り,積み上げ高さを4mとすることは可能か

A26: 廃棄物が可燃性である場合,崩落だけではなく,廃棄物内での生物学的及び化学的作用による発熱やメタンガス等の発生などに起因する火災を防止する必要があります。このため,積上げ保管を可能な限り避け,積上げを行う場合は,高さ2m程度(フレキシブルコンテナ2段積み程度)までとされています。

【詳細・参考情報】
腐敗性除染廃棄物の保管方法 (除染廃棄物関係ガイドライン(第2版))

Q27: 仮置場における遮へいはどのように行えば良いか?

A27: 環境省の除染関係ガイドライン第2版第4編除去土壌の保管に係るガイドラインに「保管のために必要な安全対策と要件」が記されています。保管の形式によって遮へいのための構造等が変わりますので,そちらを参照ください。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))
仮置場の安全性と必要な機能

Q28: 仮置場上面の遮水シートの下に覆土は必要か?

A28: 放射線量を低減することを目的として覆土をしますが,覆土の要否,必要な厚さについては放射線量や除去物と敷地境界の距離に応じて考える必要があります。除去物の放射線量が低い場合は,覆土が不要となることもありますが遮水シートだけをフレコンに被せると,上面が凸凹になり,雨水が溜まりやすくなるので注意してください。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))
仮置場の安全性と必要な機能

Q29: フレキシブルコンテナを一時的に一般家屋敷地内に保管する場合,特別な措置は必要か?

A29: 一時的な保管であれば,可能な限り居住場所から離れた場所に保管する,フレキシブルコンテナに雨水が入らないようにシートで覆うといったこと以外に特別な措置は必要ありません。また,居住者に空間線量率を説明するなどの配慮は必要と考えます。

Q30:モデル実証事業で発生した焼却灰の取り扱いについて教えて欲しい。

A30: モデル実証事業では,下記の2種類の方法で焼却灰を保管しています。

  1. 専用のドラム缶に収納した後,コンクリート躯体に入れ,仮置き場の中心付近に配置して保管
  2. ペール缶に入れ,さらにフレキシブルコンテナの中に収納し,四方向から土嚢袋で覆うようにして仮置き場で保管
Q31: 仮置場の雨水等の浸入防止策として難透水性シートを用いても問題ないか?

A31: 難透水性シートは,遮水シートに比べ耐久性に難があります。遮水シートを使用することを勧めます。遮水シート等の構造,材質の選択に当たっては,最終処分場における遮水工用のシートとして求められる基準を参考としてください。

【詳細・参考情報】
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン)
除染廃棄物関係ガイドライン(廃棄物関係ガイドライン)

Q32: 仮置場の型式ごとの特徴を知りたい。

A32: 仮置場の型式ごとの特徴については下記を参照ください。

【詳細・参考情報】
仮置場の種類と構造
除去土壌の保管に係るガイドライン(除染関係ガイドライン)
日本原子力学会和文論文誌 除染作業により除去された土壌等の除去物の仮置場の設計・建設および維持・管理

Q33: プールの水が排出基準を上回っており捨てることができません。ずっとこのままにしておくしかないのでしょうか。

A33: 水を用いた建物,道路等の除染に使用して回収した除染水及び事故以前からプール等に溜まっていた滞留水の処理については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
除去物の減容―除染水等の処理―

Q34: 除染によって発生する除去物を減容化する目的が知りたい。

A34: 除染によって発生する除去物等の量は,除染後の運搬や保管のコスト等に大きく影響します。このため,除去物等を可能な限り減容化することが求められます。また,減容化に伴って放射性物質の濃度が増加することに留意が必要です。なお,除去物は今後双葉町および大熊町に設置される中間貯蔵施設にて安全かつ集中的に管理・保管された後,福島県外にて最終処分される計画です。

Q35: 刈った草や枝葉が大量にあります。これらを減容するにはどうしたらよいでしょうか。

A35: モデル実証事業の実績では,チッパー(粉砕機)による枝葉の減容率は88%に達しました。また,高温焼却炉による減容率は96%以上にもなりました。
チッパーによる減容化処理については,設備も小規模であるため非常に有効な手法といえます。しかし,本処理を実施する際には,木屑等の粉塵が飛散するため,この対策をする必要があります。
高温焼却炉による焼却については,設備が比較的大規模となることが難点です。また,焼却灰には多くのセシウムが含まれるため取扱いには十分注意を払う必要があります。

【詳細・参考情報】
除去物等の管理 - 除去物等の減容

Q36: 土や草木などの除去物をトラックで運搬する際に,走行しながら除去物が周囲に飛散し二次汚染してしまう心配があります。有効な対策方法はありますか。

A36: モデル実証事業における対策については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
飛散防止策
二次汚染防止策

その他

Q1: 冬季に気温が低い環境でNaIシンチレーション式サーベイメータを使用していると,応答が悪く,数値がばらつく場合があるが,どのような点に注意すればよいか?

A1: 基本的にNaIシンチレーション式サーベイメータを低温環境で使っても問題はないと考えられます。ただし,急激な温度変化は避けた方が良いので,暖かい室内で保管していたサーベイメータを低温環境下で使用する場合はサーベイメータを保温するか,徐々に環境と同じ温度まで下げるよう工夫してください。 また,電源は低温になると電圧が下がりますので,電源部は保温してください。 そのほかに,日常点検として,電池残量,ケーブル・コネクタの状況,バックグラウンド計数値の測定などを実施してください。

【詳細・参考情報】
汚染状況重点調査地域内における環境の汚染状況の調査測定方法に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q2: 除染作業後に土壌の放射性セシウム濃度を測定する必要はあるか。

A2: 除染作業による除染の効果を確認するために,除染作業の開始前後に空間線量率や除染対象の表面汚染密度を測定します。
農用地で土壌中の放射性セシウム濃度を測定する必要がある場合は一般にはゲルマニウム半導体検出器が用いられますが,測定期間と高度な技術が求められます。そこで,あらかじめ空間線量率と放射性セシウム濃度との相関関係を整理しておくことで,容易に測定できる空間線量率から放射性セシウム濃度を推計できるようになります。詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
除染等の措置に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q3: 放射性セシウムは水の中でどのような形で存在しているのか?

A3: 環境から採取される水の中から検出される放射性セシウムは,水に溶けている成分は少なく,ほとんどが水中に存在する微細な土壌粒子などの浮遊性懸濁物質と結合して存在しています。 詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
放射性セシウムの存在形態について(除染関係ガイドライン(第2版))

Q4: 原子力規制委員会のモニタリングポストの表示値とサーベイメータの表示値が異なるのはなぜか?

A4: 原子力規制委員会が公開しているモニタリングポストの値(http://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/)は,モニタリングポストで測定された「空気吸収線量率」(単位はμGy/h(マイクログレイ毎時))から求めた「実効線量率」(単位はμSv/h(マイクロシーベルト毎時))を表示しています(1グレイ=1シーベルトの関係となります)。
一方で,サーベイメータによる測定値は「1cm線量当量率」を表しています。「実効線量」は体全体の放射線影響,「1cm線量当量」は体表より1cm深さの影響を評価したものであり,「1cm線量当量率」のほうが大きい値となります。 放射線被ばくによる健康への影響を考えるときには,臓器毎に人体表面からの深さを考慮する必要がありますが,実際に身体で測定することはできないため,放射線管理の観点から,被ばくする条件をさまざまな条件から考慮しても実効線量より大きな値となる1cm線量当量を実効線量とみなします。

【詳細・参考情報】
放射線モニタリング情報(原子力規制委員会)

Q5: 放射性セシウムを含む泥水の浄化方法を教えて欲しい。

A5: 除染関係ガイドラインでは,除染実施区域での除染で発生した排水の濁りが多い場合は沈殿処理により浮遊物を除去してから上澄液を放流することとしています。下記を参照して排水の処理を行ってください。

【詳細・参考情報】
排水の処理(除染等の措置に係るガイドライン)

Q6: 焼却施設から排出される煙に含まれる放射性セシウムの影響について教えて欲しい。

A6: 除染モデル実証事業では,焼却による可燃性除去物の減容方法として,高温焼却処理と低温焼却処理の2種類の方法を試験しました。それぞれの方法による排気への放射性セシウムの移行については,高温焼却処理で最大0.3Bq/?,低温焼却処理で最大で3.7Bq/m3でした。これらの値は,大気中の濃度限度※(Cs-134:20 Bq/m3,Cs-137:30 Bq/m3)に対して,十分に低い値となっており,焼却施設からの排気に含まれる放射性セシウムによる影響はないと考えられます。詳しくは下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
高温焼却処理
低温焼却処理
放射性物質を含む廃棄物の適正な処理処分(国立環境研究所)
特別措置法施行規則

※大気中の濃度限度 同一人が0歳児から70 歳になるまでの間,当該濃度の放射性物質を含む空気を摂取したとしても,被ばく線量が一般公衆の許容値(年間1mSv)以下となる濃度として設定されたものです(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則)。

Q7: 除染の現場から発生した排水を処理する際に用いる凝集沈殿剤としては何が適しているか。

A7: 凝集沈殿剤には有機系と無機系があります。原子力機構が実施した学校プールの除染では,一般的な無機系凝集沈殿剤の一つであるポリ塩化アルミニウム(PAC)を使用しました。除染の現場で発生した排水の処理においても十分な効果が得られると考えます。下記ページの「学校プール水の除染の手引き」等を参照下さい。

【詳細・参考情報】
除染の手引き(福島研究開発部門)

Q8: 放射線に関する説明会を実施してもらえるか?

A8: 原子力機構では,福島県内の小・中学校,幼稚園,保育園の児童・園児の保護者の方並びに先生方を対象に,「放射線に関するご質問に答える会」を2011年7月から開催しています。答える会に関するお問合せ・お申込み先は下記となります。

日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 フリーダイヤル 0120-506-292(受付時間:月~金 9:00~17:00)

【詳細・参考情報】
放射線に関するご質問に答える会(福島研究開発部門)

Q9: 汚染されたスギ花粉等を吸入するとどの程度の被ばくとなるか?

A9: 放射性セシウムを含むスギ花粉の吸入による被ばく量については,農林水産省が試算結果を報告しています。平成23年度は0.000192μSv/h,平成24年度は平成23年度と比べ60%以上低下し,最大0.0000715μSv/hと試算されています。試算の詳細については下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について (林野庁)

Q10: 除染前の空間線量率よりも,除染後の空間線量率が高くなる事例はあるか?

A10: 除染後一定時間経過した時点での空間線量率が,除染直後の値と較べて上昇している場合,雨風による汚染した土壌等の流入(ウェザリング効果)の影響が考えられます。再除染をする場合はその原因を明らかにする必要があります。除染直後の値が除染前より高くなる場合は,近傍の他の除染箇所からの汚染土壌等の流入による二次汚染の可能性が考えられます。

Q11: 空間線量率(μSv/h)を土壌の放射能濃度(Bq/kg)に換算する方法を教えて欲しい。

A11: 概略的になりますが,134Csと137Csの放射能濃度が同じであると仮定すると,空間線量率(μSv/h)から放射能濃度(Bq/kg)への換算係数は4150となります。空間線量率が0.23μSv/hの場合は,下記の計算により,放射能濃度は約1000Bq/kg(134Csと137Csの濃度はそれぞれ500Bq/kg)と求めることができます。

0.23(μSv/h)x 4150 ≒ 1000(Bq/kg)

上記の計算の考え方,農地及び森林の土壌における簡易換算方法については以下を参照下さい。いずれの方法についても誤差を伴いますので,正確な値が必要となる場合は,ゲルマニウム半導体分析器等での測定が必要となります。

【詳細・参考情報】
除染作業以外のインフラ整備,復旧作業における放射線管理 について(第12回除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会資料6)
農地土壌の放射性セシウム濃度の簡易算定方法(除染関係ガイドライン)
森林土壌の放射能濃度の簡易測定手順(除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン)

Q12: JAEAにおける放射性物質の環境動態研究に関する情報を知りたい。

A12: 原子力機構福島研究開発部門では,環境中での放射性セシウムの移動に伴う被ばく線量の長期的な予測評価などに役立てるため,福島長期環境動態研究(F-TRACE)プロジェクトを実施しています。詳しくは下記資料を参照下さい。

【詳細・参考情報】
福島長期環境動態研究プロジェクト(福島研究開発部門)

Q13: メーカーの異なる測定器で空間線量率を比較したが,結果が異なっている。原因として何が考えられるか?

A13: 測定装置により検出器の指向性等が異なるので,結果が異なる可能性もあります。校正検定書がついている測定器を正しく使用すればその測定結果は正しいものと考えていただいて結構だと思います。一方で校正されていない測定器の場合,正確な値から大きく異なる可能性もあります。国民生活センターが放射線測定器のテストをしていますので参考にしてください。

【詳細・参考情報】
比較的安価な放射線測定器の性能(国民生活センター)
比較的安価な放射線測定器の性能-第2弾-(国民生活センター)

Q14: 学校の校庭等で定期的に空間線量率の測定が行われているが,表面汚染密度の測定は必要ないのか?

A14: 学校の校庭等で定期的に行われている空間線量率の測定は,運動や外遊び等で校庭・園庭内などを移動しつつ,一定時間滞在することを想定した際に,これらの活動でどの程度の放射線を受けるかを把握することなどを目的に実施されるものです。
これに対し,表面汚染密度の測定は,汚染している地点や対象物の特定や局所的な汚染の程度を知るためのものであり,主として除染時に必要となる情報です。したがって,上記の目的で実施される定期的なモニタリングという観点からは表面汚染密度の測定は必要でありません。

【詳細・参考情報】
学校等における放射線測定の手引き(文部科学省・日本原子力研究開発機構)

Q15:GMサーベイメータのcpm表記を理解するにあたり,比較対象となる具体的な数値はないか?

A15: cpmとはcounts per minuteの略で,計数率(放射線計数器が1分間に何カウントしたか)を表しています。GM管式汚染計(GMサーベイメータ)では,ベータ線を測定することで測定対象の汚染の程度を把握することができます。

汚染検査(スクリーニング)の基準は13,000 cpmです。体や物品等の汚染検査でこの値を超える汚染が確認された場合は除染が必要となります。13,000 cpmは概ね40Bq/cm2に相当します。また,私たちの身の回りにある食品や私たちの体の中にもカリウム-40などの天然由来の放射性物質が含まれており,GM管式汚染計で放射線の数を計測することができます(測定条件によりますが,干し昆布や花崗岩などで数十cpm,カリ含有肥料で数百cpm程度のようです。)。

【詳細・参考情報】
表面汚染密度の測定方法

Q16: 面的除染を実施した場合,対象エリアの中心部は低くなっても縁部では高くなってしまうことがある。中心部や縁部でどの程度まで線量を下げておけば,周辺地域の除染実施後最終的に0.23μSv/h以下とすることができるか。

A16: 除染エリア内の線量の分布は,除染エリア外の汚染や除染エリア内外の地形等の影響を受けることから,簡単に算出することはできません。したがって,周辺地域を含めて除染を実施し,面的除染の効果を確認しながら,段階的に目標レベルに近づけることが現実的です。なお当機構では,除染前後の線量率の変化を概略的に予測できる「除染活動支援システム(RESET)」を開発しております。このシステムをご利用頂くことで,除染前の線量率の可視化(地図上への分布の表示),除染後の線量率の予測と可視化などを行うことができます。

※除染活動支援システム(RESET)の利用は,除染特別地域及び汚染状況重点調査地域(福島県内に限る)の市町村等で除染計画を進めている担当者が対象となります。

【詳細・参考情報】
除染活動支援システム「RESET」運用開始(2013年11月発表)(福島研究開発部門)
除染活動システムRESETの開発・実証(平成25年度研究開発成果報告会資料)(福島研究開発部門)

Q17: GMサーベイメータを使用する際は必ず鉛遮へい体などのコリメータを使用するべきか?

A17: 汚染源の特定や特定部分の除染効果の確認という目的の場合はコリメータを使用した方が良いと考えられますが,ベータ線の遮へいという観点からは鉛遮へい体でなくプラスチック板製でも良いといえます。詳しくは下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
コリメータとプラスチック板による遮へい(除染関係ガイドライン(第2版))

Q18: 新しい除染技術に関する情報はどこに問い合わせれば良いか?

A18: 環境省の「除染技術探索サイト(DTOX)」(要会員登録)において新しい除染技術の概要が紹介されています。下記頁を参照ください。

【詳細・参考情報】
除染技術探索サイト(環境省)

Q19: 0.23μSv/hと年間被ばく線量との関係について教えて欲しい。

A19: 空間線量率及びその場所に滞在した時間と自然界にもともとある放射線の空間線量率からおおよその追加被ばく線量を推定することが可能です。追加被ばく線量を1mSv/yとすると,空間線量率は0.23μSv/hとなります。算出式等,詳細については下記を参照ください。

【詳細・参考情報】
年間被ばく線量の算出について(環境省除染情報サイト)

Q20: 地表面の汚染密度(cpm)を測定したところ,空間線量率から想定される値よりも低かった。どのように解釈できるか?

A20: 空間線量率が,地表面だけではなく,その周囲の汚染源からの放射線(ガンマ線)の影響を受けているためと考えられます。地表面の空間線量率や表面汚染密度を測定する際にコリメータを用いて指向性を持たせると,周囲からのガンマ線の影響をある程度抑えることができます。また,表面汚染密度を測定する際に入射窓にアクリル板(ベータ線を遮へい)を付けて測定し,アクリル板を付けない場合と比較すると,周囲からのガンマ線の影響の有無を確認することができます。

【詳細・参考情報】
周囲のガンマ線が強い時の汚染計の使い方
汚染状況重点調査地域内における環境の汚染状況の調査測定方法に係るガイドライン(除染関係ガイドライン(第2版))

Q21: 地表面の空間線量率を測定したところ0.5μSv/hであった。ここにどのくらい(何cmくらい)覆土すると0.23μSv/h以下とすることができるか?

A21: 土壌組成や密度によって多少異なりますが,覆土による低減率(※)は,覆土厚さ5cmで52%,10cmで74%,15cmで86%,20cmで92%,30cmで98%となります。これらを参考にすると,10cm程度の覆土で十分と考えられます。ただし,実際に覆土厚さを決める場合は,周辺からの空間線量の影響を排除し,試験的にどのくらいの厚さでどれだけ下がるかを確認してから実施する必要があります。

※「埋設処分における濃度上限値評価のための外部被ばく線量換算係数」(佐々木他,2008)の表4.5(覆土厚さ(コンクリートピットなし)に対する外部被ばく線量換算係数)から求めたものです。

Q22: 放射線が100m程度飛ぶと聞いたが本当か?

A22: 放射性セシウムからは,ガンマ線とベータ線が放出されています。このうち,ガンマ線(光子,電磁波)が空気中の分子と衝突せずに飛行する平均距離(減衰長または平均自由行程)は100m程度とされています。これは,光子の数が元の37%程度まで減少する距離として定義されており,ガンマ線は100m以上は飛ばないという意味ではありません。一方,ベータ線(電子や陽電子)は空気中で1m程度飛ぶとされています。

【詳細・参考情報】
放射線の種類

Q23:積雪によるγ線の減衰効果について教えて欲しい。

A23: 積雪による放射線量への影響はモデル実証事業でも確認されています。下記の学術論文に積雪によるγ線の減衰効果に関する情報が掲載されていますので参照ください。

【詳細・参考情報】
積雪による放射線量への影響
保健物理学会誌 積雪による地殻γ線線量率の減衰

Q24: 除染に係る経費のうち,どの範囲までが財政措置の対象となるのか知りたい。

A24: 除染に係る経費の財政措置につきましては下記を参照下さい。

【詳細・参考情報】
放射線量低減対策特別緊急事業費補助金(環境省)
除染関係Q&A 補助金関係(環境省)