排水性舗装機能回復車による道路の除染方法

【除染モデル実証事業編】報告書 2.4.2(1)①(b) “Ⅳ道路”より

排水性舗装機能回復車とは,高圧水洗浄とキャビテーション洗浄により土砂等で目詰まりした路面の排水用の隙間から土砂等を除去し,ブロワ―及び真空吸引により回収できる機能を有する車です。

キャビテーション洗浄とは,静止した液中に高速で液が噴射されたときに発生する無数の気泡上の空洞(キャビテーション気泡)が消滅(崩壊)する際の衝撃圧力を空隙目詰まり物質の洗浄に利用するものです。

排水性舗装機能回復車による除染
排水性舗装機能回復車による除染

排水性舗装機能回復車を用いた除染による道路の表面汚染密度の低減率は,密粒の舗装面で約10~70%,多孔質な排水性舗装で約0~60%であり,舗装面の材質によって除染効果に有意な差は認められませんでした(ただし,多孔質な排水性舗装に対しては,除染回数を増やすことで除染効果が高くなる傾向が認められました)。

アスファルト舗装の表面が歪曲・損耗している場合,排水性舗装機能回復車による洗浄の効果は低くなり,除染水の回収率も低くなりました。

富岡町地区における実施結果(密粒度舗装)
  除染前 除染後 低減率(%)
空間線量率(1m)(μSv/h) 7.08 4.53 36
表面線量率(1cm)(μSv/h) 8.91 4.67 48
表面汚染密度 15,000 11,020 27
排水性舗装機能回復車による道路の除染(田村市)

排水性舗装機能回復車を用いた道路の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

道路における排水性舗装機能回復車を用いた除染の流れを以下に示します。

1.目的

道路のアスファルト舗装の除染方法として,排水性舗装機能回復車による洗浄の手順を示します。

2.作業項目

  • 使用機材点検
  • 路面洗浄・回収
  • 運搬

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。

(2)路面洗浄・回収
排水性舗装機能回復車を用いて路面を洗浄し,洗浄水を回収します。

(3)運搬
回収した水を集積所まで運搬します。

4.使用機材

排水性舗装機能回復車

5.留意事項等

(1)除染作業の前に,走行回数・圧力等と線量低減率との関係を把握し,最適な除染効果を確保できるセッティングを決定することが重要です。

排水性舗装機能回復車による道路の除染の歩掛例

道路において“排水性舗装機能回復車”を用いた除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

  • 内容:洗浄・回収・運搬(排水性舗装機能回復車)(道路,アスファルト舗装面)
  • 歩掛表
(2,000m2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.49

普通作業員

 

人日

0.73

運転手(特殊)

 

人日

0.61

交通誘導員B

 

人日

0.61

【 材 料 費 】

 

 

 

雑材料

材料・労務・機械総計の2%

1.00

【 機械損料 】

 

 

 

排水性舗装機能回復車
自走式 300kW

作業幅 2.0~2.1m(運)

台時

4.80

排水性舗装機能回復車
自走式 300kW

作業幅 2.0~2.1m(供)

台日

0.80

【 諸雑費 】

 

1.00

留意事項: 上記は,マンホール等の障害物がある市街地・住宅地での作業歩掛りです。連続作業のできる道路(国道,主要地方道,高速道路等)では,上表よりも日作業量が上がるものと思われます(国土交通省土工事積算基準参照)。

排水性舗装機能回復車による道路除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

排水性舗装機能回復車による道路除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号

道-3

大分類

道路

中分類

舗装

小分類

アスファルト舗装面

除染手法

排水性舗装機能回復車による洗浄

内容

洗浄,回収,運搬(水処理は含まない)

除染方法

<除染手順>

洗浄: →洗浄水回収・運搬(除染箇所の水処理設備まで):

排水性舗装機能回復車 排水性舗装機能回復車

<除染概要>

排水性舗装機能回復車(予め,高圧水の圧力,キャビテーションジェットの可否,施工速度を設定)で路面に付着している放射性物質を含んだ土砂等を除去し,洗浄水として回収します。回収した洗浄水は除染箇所の一時集積場まで運搬します(運搬距離100m)。

主要機械仕様

排水性舗装機能回復車(作業幅200㎝,最大7MPa)

環境条件

適用環境条件

舗装面が凍結している場合や雪で覆われている場合には適用できない。

施工制約条件

舗装面が歪曲している場合,除染水やジェットを均質に舗装面へ噴射できず,また洗浄水の回収率が低下するため,除染効果が低下する可能性がある。

評価

除去物

施工スピード

(作業員数)

2,000m2/日(2人)

除去物発生量

少量

除去物内容

汚泥

水処理方法

使用水量

1.5m3/1,000m2程度

汚染水回収方法

機能回復車

回収率

50~70%(機能回復車による回収実績)

除染係数の目安

DF

1~3

低減率

0~70%

コスト(直接工事費>1,000m2

150円/m2

施工上の留意点改善点

・事前に走行回数,圧力等と低減率の関係を把握し,仕様を決定することが重要です(除染効果の確保)。