用語集

あ行の用語 か行の用語 さ行の用語 た行の用語 な行の用語 は行の用語 ま行の用語 ら行の用語

あ行

雨だれ部(あまだれぶ)

雨樋が設けられていない建造物において,屋根の軒先からの雨水の落下箇所のこと。雨だれ部には,流水による土壌の流失を防ぐために敷石や砕石が敷設されている場合が多い。

雨どい(あまどい)

屋根の軒先に設置される集水設備のこと。プラスチックや金属など様々な素材で作られており,屋根に付着した放射性物質が集まることから,ホットスポットとなる事が多い。

雨どい清掃・洗浄(あまどいせいそう・せんじょう)

宅地や大型建造物では,屋根に付着した放射性物質が雨水等により洗い流され雨どいに集まり,雨どい表面への付着や雨どいに堆積している落ち葉やコケや土砂による吸着により,局所的に高い放射線源(ホットスポット)となる傾向が見られる。雨どい清掃・洗浄とは,これらの放射線源を除去するため,堆積している落ち葉やコケや土砂を取り除き,ブラシなどでとい表面を洗浄することを指す。

一時保管(いちじほかん)

除去物仮置場現場保管場まで搬出するまでの期間,除染エリア内に一時的に集積し保管することを指す。

稲株除去(いなかぶじょきょ)

通常秋の稲刈り後か2月頃~3月頃にかけて,トラクタなどを使って田を耕し,硬くなった土壌をほぐし,肥料となる藁をすき込む田起こしが行われる。田起こしが行われていなかった田の表土剥ぎ取りでは,稲株が残されていることから,表土を剥ぎ取る際に稲株を除去することを指す。

インターロッキング(いんたーろっきんぐ)

コンクリート等で作られた互いにかみ合うような形状のブロックピースを組み合わせて設置し舗装するもので,かみ合いによって荷重を互いに伝える舗装のこと。様々な形状のブロックがある。組み合わせて設置する際に,継ぎ目にケイ砂など透水性の材料を充填することにより雨水を排水する構造となっている。古いインターロッキングの場合,継ぎ目にコケが繁茂し,放射性物質が吸着している場合がある。

枝葉等の除去(えだはなどのじょきょ)

森林,公園,宅地の庭等における樹木の枝や葉を切断し除去することを指す。一般に,森林の場合は「枝打ち」,公園や宅地の庭等の修景緑化による樹木の場合は「剪定」と呼ばれることが多い。

汚染状況重点調査地域(おせんじょうきょうじゅうてんちょうさちいき)

年間の追加被ばく線量が1ミリシーベルト(1時間あたり0.23 マイクロシーベルトに相当)の地域を含む市町村。

落葉等の除去(おちばなどのじょきょ)

森林や宅地の庭等において,落葉・枯れ枝,草刈りした際の刈り草等を熊手やレーキ等により取り除くこと(通常,集積を伴う)を指す。落葉・枯れ枝等を取り除く際には,事故の際に葉をつけていた常緑樹と葉が落ちていた落葉樹で汚染の傾向が異なることから,例えば落葉樹では,当年落葉層とそれ以外の落葉層を区別するといったことで,発生除去物量を低減することができる。

オーバーレイ(おーばーれい)

一般的な土木工事において,わだち,ひび割れなどを起こした舗装箇所をアスファルトで修繕する方法を言う。特に,3cm以下を薄層オーバーレイ(維持補修)という。除染作業の一部としてのオーバーレイの場合,放射線の遮へい効果が期待される。また,路盤高さを回復することを目的に実施する事もある。

か行

回収型超高圧水洗浄(かいしゅうがたちょうこうあつすいせんじょう)

100メガパスカルを超えるような超高圧の水を路面などの除染に使用しながら同時に使用した水を回収する方法。

撹拌耕(かくはんこう)

撹拌するように耕すこと。深く耕すことで深耕(しんこう)ともいう。プラウによる反転耕とは,撹拌するかどうかで区別される。

ガス抜き管(がすぬきかん)

刈り草や落葉等の除去物においては,腐敗による発酵が起き集積が多量の場合内部で温度が上がったりメタンなどのガスが発生したりする場合があるため,密封性の高い仮置場などにはガス抜きのためのパイプを設置することが必要であり,仮置場の要件にも示されている。このパイプのことを指す。

可燃性除去物の焼却(かねんせいじょきょぶつのしょうきゃく)

刈り草や落葉等の可燃性除去物減容化,および保管場所での発酵(可燃性ガスの保管時の発生・容器の不安定性)防止を目的に,焼却炉等により燃焼し,減容化を進めることを指す。

仮置場(かりおきば)

除染により発生した除去物を中間貯蔵施設に移動するまでの間,適切に保管する目的で設置される場所を指す。除去物保管にあたっての施設要件や管理要件などが放射性廃棄物汚染対処特措法施行規則および「除染関係ガイドライン:除去土壌の保管に係るガイドライン」に定められている。

空間線量率(1m)(くうかんせんりょうりつ1メートル)

対象とする空間の単位時間当たりの放射線量を空間線量率という。本報告書で断わりのない場合は,地上から鉛直1mの高さの位置で計測した1時間あたりの放射線量のことを指す。単位はµSv/h(マイクロシーベルト/時)で表す。

空間線量率(50cm)(くうかんせんりょうりつ50センチメートル)

背の低い子供への被ばくを考慮し,地上から鉛直50 cmの高さの位置で計測した1時間あたりの放射線量のことを指す。幼稚園や小学校などの空間線量率を測る際に用いる。単位はµSv/h(マイクロシーベルト/時)で表す。

グラップル(ぐらっぷる)

建設機械のアタッチメントの一種(下の写真の先端部)で,物を掴む機能を有する。主に林業の現場,廃棄物の分別などに使用される。

グラップル

クローラダンプ(くろーらだんぷ)

山間部や水田や畑などの不整地で荷役作業に用いられるキャタピラ式の特殊自動車のこと。積載能力は一般的に0.5~4トンで,油圧装置を搭載するものが多く,ダンプ式荷台が標準的である。

クローラダンプ

原子放射線の影響に関する国連科学委員会(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation: UNSCEAR)(げんしりょくほうしゃせんのえいきょうにかんするこくれんかがくいいんかい)

電離放射線による被ばくの影響を評価し,レポートとして報告するために国連によって設置された委員会。

現場保管場(げんばほかんば)

除染により発生した除去物を除染した現場等で仮置場に移動するまでの間保管する場所のことを指す。仮置場と同様,除去物保管にあたっての施設要件や管理要件などが放射性廃棄物汚染対処特措法施行規則および「除染関係ガイドライン:除去土壌の保管に係るガイドライン」に定められている。

減容化(げんようか)

除染によって発生する除去物を圧縮や細断,焼却といった方法や,土壌から放射性物質が吸着した粘土分だけより分けることなどでできるだけ容量を小さくすることを指す。刈り草や落葉や枯れ枝等は,土壌等に比べ密度が低くかさばるため,除去物の量をできるだけ小さくすることで仮置場などのスペースを有効に活用できるようにすることを指す。

減容堆肥化(げんようたいひか)

減容化手法の一つ。刈り草や落葉等の除去物に堆肥化を促進する菌を添加するなどして,除去物の体積を小さくすること。

高圧水洗浄(こうあつすいせんじょう)

高圧の水を用いて汚染部位の放射性物質を洗い流す除染方法のことを指す。高圧水洗浄機の圧力は,家庭用(電気式)の2メガパスカル程度のものからレンタル建機で一般的な6~15メガパスカルのものまで多岐にわたる。

高所作業車(こうしょさぎょうしゃ)

高所で作業を行うために,乗用バケットを有した特殊作業車のこと。

高所剪定機(こうしょせんていき)

スギなどの常緑樹では,震災時点では葉を付けていたため,落葉樹と比べより多く樹冠部に放射性物質が付着・残存している傾向にある。頂上部を含め,樹木の高い位置にも付着しており,高所作業車等による地上からの枝打ちでは完全に枝葉を除去出来ないため,高所の枝を除去するために開発された装置のことを指す。クレーンとチェーンソーを組み合わせた装置で,地上から操作することにより,汚染された枝葉を除去する。

固化剤散布(こかざいさんぷ)

農作物に対して安全なマグネシウム系などの固化剤を混合したスラリーを除染対象農地等に吹き付けることを指す。散布された固化剤は,主に放射性物質が存在する表層に浸透し固化することにより,表層土壌が剥ぎ取りやすくなる。剥ぎ取り作業時に粉じんが起きにくくなる効果もある。

小型スイーパー(こがたすいーぱー)

手押し型の集塵機のこと。道路などの平坦な場所において,手押しにより走行させることにより,ブラシが回転して表面の土砂等を回収する機械のこと。回収した土砂等は,バケット内に集積される。

小型スイーパー

小型バキュームシステム(こがたばきゅーむしすてむ)

ドラム缶などの缶内を減圧することにより,バキュームシステムに改良したものを指す。クレーン付きトラックに搭載した減圧装置とドラム缶と吸引ホースにより構成されており,大型のバキューム車が入れないような林道内等に適用される。

小型ハンマーナイフモア(こがたはんまーないふもあ)

ハンマーナイフモア(回転ドラムに設置された鍵形の刃による芝刈り機)の底面に設置されているソリを取り外すことにより,鍵刃が土壌面に接触し薄く剥ぎ取る事ができる。乗用型のハンマーナイフモアがあるが,小型ハンマーナイフモアは乗用ではなく小型化できるため,木のまわり等狭あいな場所で使用する。剥ぎ取った土壌を回収する事は出来ないため,人力もしくはバックホウ等の機械により回収する必要がある。

小型ハンマーナイフモア

さ行

砕石除去(さいせきじょきょ)

駐車場や雨だれ部に敷設された,放射性物質の付着した砕石を剥ぎ取り撤去することを指す。

サッチ層(さっちそう)

芝生の地表面付近の白っぽい枯れた芝草・刈りかすの堆積層のこと。

散水車(さんすいしゃ)

水をまく装置(散水装置)を備えた車両のこと。撒水車(さっすいしゃ)とも呼ばれる。高圧水洗浄等,除染時に使用する水の運搬および洗浄に使用する。

散水車

しがら(しがら)

簡易な土止めとして用いる工法。そだ(生木の枝づるなど)や竹あるいは鉄線などを木杭の間に編んだもの。斜面からの落葉や枯れ枝が風等で拡散するのを防ぐ。除染済みのエリアに,未除染エリアの落葉等が進入しないように設置した。

しがら

芝生サッチ層除去(しばふさっちそうじょきょ)

芝生は,表面の緑の葉の部分と,地表面付近の白っぽい枯れた芝草・刈りかすの堆積層部分(サッチ層)と,土壌中の根茎部分(ルートマット層)に大きくわけることができる。芝生サッチ層除去とは,芝草の根茎を残して,深刈りにより刈り取った芝生の葉とサッチ層を取り除くことを指す。この方法により,根を全てはぎ取る場合と比べて撤去する芝草の発生量を少なくでき,残した根茎から芝の再生を図ることができる。

遮水(しゃすい)

仮置場などにおいて,雨水等が除去物に浸入するのを防止したり,仮置場などからの浸出水の漏出を防止することを指す。

遮へい(しゃへい)

仮置場などで保管された除去物には,放射性物質が付着している。放射性物質から発生するガンマ線を土のうや覆土,壁などによって遮り,その周りの空間線量率を低く抑えるための措置のことを指す。

収納袋吸引(しゅうのうぶくろきゅういん)

タイベックスーツ等の保護具の減容化を目的に,布団圧縮袋や座布団圧縮袋を用いて減容化を目指す方法を指す。

除去物(じょきょぶつ)

除染によって薄く剥いだ土壌や刈り取った草葉,落葉,拭取りに使った紙や布などで放射性物質を含んだ廃棄物のことを指す。

除染水回収(じょせんすいかいしゅう)

高圧水洗浄等の水を使った除染を実施する際に用いた放射性物質を含んだ水の回収を行うことを指す。ビニールシート等で側溝や集水枡へ除染水を導水し,土のうで堰き止めることにより,ポンプなどでタンクに汲み上げ回収する。

除染水処理(じょせんすいしょり)

回収した除染水を,水処理施設によって放射性物質を除去することを指す。処理方法には,フィルタにより放射性物質を含んだ土砂等を除去する法や,ゼオライト等の吸着材により放射性物質を吸着し,凝集沈殿剤により吸着材を凝集沈殿させることにより分離する凝集沈殿法がある。

除染特別地域(じょせんとくべつちいき)

事故後一年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあるとされた「計画的避難区域」と東京電力福島第一原子力発電所から半径20km圏内の「警戒区域」。

ショットブラスト(しょっとぶらすと)

研削材(鉄等の金属球,ドライアイス,砂,重曹等多彩)を,除染対象面に高速で噴射することにより表面を削り取り除染する機械のことを指す。ショットブラストはエアーブラストと違い研削材を噴射する動力として圧縮エアーは使わない。その代わりにモーターの回転を使いブレードと呼ばれる羽を高速で回す。ブレードには強制的に研削材が送り込まれるようになっており,送り込まれた研削材は高速で回転するブレードにより噴射される仕組みになっている。機種にもよるが,走行速度を変えることにより切削厚さを変えることが可能。アスファルト舗装よりもコンクリート舗装の方が固いため,同じ厚さを切削するためには,コンクリート面の走行速度を下げるか,走行回数を増やすなどして管理する必要がある。

鋤簾(じょれん)

土等をかき寄せるために使う鍬のような道具のこと。

鋤簾

集塵機(しゅうじんき)

土砂や塵(ちり)等をバキューム機能等により吸い取り集める機械のこと。一般的な掃除機とほぼ同義である。

集塵サンダー(しゅうじんさんだー)

集塵機能付きの研磨機のこと。ディスク状の研磨盤(写真右下に例)によりコンクリート面等の素材表面を研磨し,発生する粉じんをバキュームで集塵する機能を有する。粉じんには放射性物質が付着しているため,フィルター付の集塵機が必要である。

集塵サンダー

常緑樹(じょうりょくじゅ)

一年以上枯れない葉をもつ樹木のこと。マツ・スギなど。常緑樹は,2011年3月11日の震災時点で葉を広げていたため,放射性物質が葉の表面に付着し,林床へ放射性物質が落ちることなく林冠部にとどまっていると考えられている。

乗用スイーパー(じょうようすいーぱー)

ブラシにより道路等の土砂を掻き集めて,内蔵されているバケットに回収する機械のこと。金ブラシ等にブラシを変更する事が可能である。剥ぎ取った土壌の回収にも利用され,土壌を薄く剥ぎ取る事が出来る能力があるかについても本事業で試行した。

乗用スイーパー

振動ローラー(しんどうろーらー)

鉄製のローラを振動させることによって締め固めを行う機械のこと。

スキャンソート(すきゃんそーと)

放射性物質に汚染された土壌を放射性物質濃度によってリアルタイムで分別する技術のこと。楢葉町上繁岡における試験実施で用いられた。

スキャンソート

スキャンプロット(すきゃんぷろっと)

空間線量率と位置情報を一定時間(たとえば1秒)毎に自動的に計測・記録する装置をバックパック,もしくは車両に搭載し,連続的にモニタリングデータを記録する方法を指す。広野町において実施された。

スキャンプロット

スチーム洗浄(すちーむせんじょう)

高温・高圧のスチーム(蒸気)洗浄機により洗浄すること。家庭用のものから業務用まで多岐にわたり,吐き出し口温度が100~140℃程度であるものが一般的である。

剪定バリカン(せんていばりかん)

生垣や庭木等の樹木を主に枝先から切断・除去する機械のこと。エンジン式,電動式がある。

剪定バリカン

ソッドカッター(そっどかったー)

芝生生産において,芝苗を切り出すために使用する機械。芝生は,地下茎を刈り取らずに地中に残せば再生が可能である。放射性物質は地下茎の上のサッチ層に多く付着していることが分かっているので,ソッドカッターの刃の刈り取り位置を操作して地下茎を残すようにサッチ層を取り除くことによって,芝を再生させつつ,放射性物質の除去を可能にする。下記写真は比較的,小面積用である。

ソッドカッター

た行

タイベックスーツ(たいべっくすーつ)

放射性物質が身体に付着するのを防止するための保護着衣のこと。放射線(ベータ線,ガンマ線)を遮へいすることはできない。ポリエチレン繊維から生まれた不織布で,軽くて,丈夫なため作業性がよく,管理区域内での作業に適している。

ダスト濃度(だすとのうど)

粉じん(ダスト)の濃度のこと。ダストサンプラーによりフィルターに採集された粉じんの重量を計測し,吸引した大気の単位体積あたりの重量に換算して求める。mg/m3で表す。

タバコ圧縮機(たばこあっしゅくき)

落葉や刈草などの除去物減容化を目的に,タバコ葉圧縮機を活用したものである。コンテナ内に除去した落ち葉等を充填し,らせん状にネジ切りされた回転軸により圧縮板をスライドさせ圧縮する。

タバコ圧縮機

ターフスライサー(たーふすらいさー)

傷んだ大面積の芝生の張り替え用に開発された機械。ソッドカッターでは,大面積の芝の剥ぎ取りに時間を要するため大型化したもの。芝を幅90cm程度,厚さ2~15cmの間で設定して帯状に長く切り取ることができる。放射性物質が付着している芝生表面を地下茎を残しながら,大規模に剥ぎ取ることができる機器として注目されている。

玉石・砕石洗浄(たまいし・さいせきせんじょう)

雨だれ部等に敷設されている玉石や砕石を洗浄すること。洗浄方法には,篩(フルイ)による手洗いやコンクリートミキサーによる撹拌洗浄等がある。

超高圧水洗浄(ちょうこうあつすいせんじょう)

100メガパスカルを超える圧力水を指し,除染に使用した超高圧水洗浄機は,放射性物質が付着したアスファルトやコンクリートの表面を薄く削るために用いた。一般的には,道路の白線を削り取る方法として使用されている。

低減率(ていげんりつ)

以下の式によって求められる除染前後の空間線量率または表面汚染密度の変化の割合。低減率が大きいほど除染効果が高いことを意味する。
低減率=(1-(除染後の値/除染前の値))×100

鉄レーキ(てつれーき)

鉄製のレーキのこと。リター層の除去時や法面の雑草除去時に利用することが多い。地盤が固く,根などが密集している場合に,竹製の熊手等では深く掻きとれない場合に利用する。

鉄レーキ

当年落葉層(とうねんらくようそう)

本報告書では,2011年の春に芽吹いた落葉樹の葉によって形成された落ち葉の層のことを指す。2011年3月11日の震災時点では,葉が開いていなかったため放射性物質の付着が極めて少ない傾向にある。

特殊ジオテキスタイル袋による高含水比土壌の減容化(とくしゅじおてきすたいるぶくろによるこうがんすいひどじょうのげんようか)

土木工事などで良く使われる透水性を有するポリエステル,ポリプロピレン繊維等の合成高分子材料でできた繊維製の袋に水分を多く含む土砂を入れることで,水分を抜き減容化する方法のことを指す。

塗布剤による粘着剥離(とふざいによるねんちゃくはくり)

乾燥すると固着する粘着性ジェル状塗布剤(デコンジェル(CBI Polymers社)等)を塗布することにより,放射性物質が付着した対象表面の放射性物質を塗布剤に粘着させ,塗布剤と共に剥離することを指す。高圧水洗浄による除染水の 飛散などが無く,多くの場合可燃性のものが多いので焼却処理が可能である。

な行

鉛遮へいによる測定(なまりしゃへいによるそくてい)

除染前後で表面汚染密度表面線量率を計測する際,除染箇所の周辺からくる放射線の影響を避けるため計測器を厚い鉛で囲って遮へいすることにより,除染対象面の汚染の程度を精度よく計測する方法を指す。鉛遮へいをコリメーターともいう。

は行

排水・透水性舗装(はいすい・とうすいせいほそう)

排水性舗装は,排水を目的にした舗装で,高機能舗装として高速道路や幹線道路等の車道で採用されている。多孔質なアスファルトなど透水性材料(表層)の下に遮水層(不透水層)を設けて,路面に滞留する雨水を積極的に道路の両側にあ る側溝等へ排水する舗装である。一般のアスファルト舗装に比べ,放射性セシウムが付着した土砂等が深く浸透しやすい 構造である。
透水性舗装は,雨水を積極的に地中に浸透させることを目的とした舗装のこと。透水性舗装材等(表層)の下に浸透層を設けている。遊歩道や駐車場等で利用されている一般のアスファルト舗装である。

排水・透水性舗装

排水性舗装機能回復車(はいすいせいほそうきのうかいふくしゃ)

排水性舗装(本用語集「排水性舗装」参照)の目詰まりを掃除する特殊車両のこと。道路舗装面の洗浄を効率よく実施することができる。高圧水洗浄とキャビテーションジェットにより,土砂等を道路面から遊離除去し,ブロア及び真空吸引により回収する機能を有する。

排水性舗装機能回復車

排水性舗装機能回復車による洗浄(はいすいせいほそうきのうかいふくしゃによるせんじょう)

排水性舗装が目詰まりし機能しなくなった路面の排水機能を回復するための車両を用いた除染のことを指す。機能回復車は,高圧水洗浄とキャビテーションジェット(強弱の脈動を与えるような水流)により,土砂等で目詰まりした路面 の排水用の隙間から土砂等を除去し,ブロワー及び真空吸引により回収できる機能を有する車である。

バキューム吸引(ばきゅーむきゅういん)

バキューム車により,刈り草や落葉等の除去物を吸引・圧送することをいう。落葉等の除去として直接的に利用するほか,山間部で除去・集積した落葉等の除去物を,重機や車両が進入できる道路部まで圧送する(輸送する)ためにも利用する。

バキューム車(ばきゅーむしゃ)

吸引機とタンクを装着した自動車(トラック)で,タンク内を負圧にすることによってバキューム吸引をする。放射性物質に汚染された落葉や枝等を吸引する場合,排気による汚染の拡大を防ぐためにフィルター等が必要。

バキューム車

破砕機(はさいき)

除染時に発生した枝等の減容化のために,チップ化する装置のこと。

破砕機

バックホウ(ばっくほう)

油圧ショベルと総称される建設機械のうち,バケットをオペレータ側向きに取り付けた形態のものを言う。オペレータ側向きのショベルでオペレータは自分に引き寄せる(抱え込む)方向に操作する。

バックホウ

反転耕(はんてんこう)

放射性物質で汚染された表層付近の土壌を下層に埋め込み,下層にあった汚染の無い土壌を表層に置くように土層を反転させ,農地の空間線量率を低下させる方法を指す。汚染土壌を除染エリアから搬出しないため,作土厚があまり無いようなところや仮置場などが十分な広さが確保できないところでは,除去土壌が発生しないためメリットがある。放射性物質は残存するため,通常,汚染が軽度な土壌へ適用されることが多い。

ハンマーナイフモア(はんまーないふもあ)

回転ドラムに設置された鍵形の刃による芝刈り機のこと。ハンマーナイフモアをベースに土壌を薄く剥ぎ取る機械に改造することができる(表土剥ぎ取り機)。ハンマーナイフモアの軸をずらすことにより,鍵刃が土壌面に接触し薄く剥ぎ取ることができる。ただし,剥ぎ取った土壌を回収することは出来ないため,人力もしくはバックホウ等の機械により回収する必要がある。本報告書では,表土を薄くはぎ取れるように改造したものを別に「薄層表土はぎ取り機」と呼ぶ。

ハンマーナイフモア

表層土砂の除去(ひょうそうどしゃのじょきょ)

舗装された道路や駐車場などの表面に堆積している土砂を除去することを指す。範囲が広い場合は,路面清掃車乗用スイーパーにより土砂の回収を行う。

表土剥ぎ取り(ひょうどはぎとり)

放射性物質で汚染された表層付近の土壌を剥ぎ取り,除去することを指す。事前に汚染深さを把握し剥ぎ取り厚さを決めることにより,空間線量率の低減と除去物の発生量の抑制を両立することができる。グラウンドなどの大面積を除染する場合は,モーターグレーダー路面切削機を利用し,田畑などの比較的起伏があり狭隘な場所は,バックホウや人力による剥ぎ取りを行う。

表面線量率(ひょうめんせんりょうりつ)

対象とする空間の単位時間当たりの放射線量を空間線量率という。本報告書で断わりのない場合は,地上から鉛直1cmの高さの位置で計測した,1時間あたりの放射線量のことを指す。単位はµSv/h(マイクロシーベルト/時)とする。

表面汚染密度(ひょうめんおせんみつど)

固体表面の汚染の度合いを表す数字。単位表面積に存在する放射能(Bq/cm2)または,単位時間当たりに発生する放射線の計数(cpm)で表す。

拭き取り(ふきとり)

宅地の壁面や屋根,学校の遊具などの平滑な構造面を,放射性物質の除去を目的にウエスや紙タオル等で拭き取ることを指す。

覆土(ふくど)

非汚染土壌を覆い被せることを指す。仮置場などの遮へいや除染で剥ぎ取った部分などに適用する。

腐植土(ふしょくど)

植物が朽木や落葉・落枝となって地表面に堆積し,土壌細菌や小動物の代謝作用により分解された土状のもの。有機質に富み,有機物と結合しやすい放射性セシウムなどを一時的に捕捉すると考えられている。

プラウ(ぷらう)

耕作器具。一般的にトラクターにより牽引され,土を耕起反転,破砕する(反転耕)。農業における反転耕の第一の目的は,土壌を反転させて新鮮な養分を地表へと運び,作物の残渣や雑草などを土中に埋め込んで腐食させることである。プラウを用いた反転耕によって土壌が一定深さ(通常30cmを目標)で反転されることを利用し,下層土壌(非汚染土壌)により上層土壌(汚染土壌)が遮へいされ,空間線量率の低減を図ることができる。

プラウ

ブラッシング(ぶらっしんぐ)

デッキブラシやハンドブラシ等で汚染した部位を擦ることにより,構造物表面に付着した放射性物質を除去することを指す。スイーパーによる表層土砂の除去と区別し,ここでは人力による場合のみを「ブラッシング」作業とする。

フレキシブルコンテナ(ふれきしぶるこんてな)

大型の土嚢のこと。一般的に,直径1.1m,高さ1.1m,容積1m3程度のものをいう。

ホイルローダー(ほいるろーだー)

車輪で走行するショベルカーのこと。土砂などをダンプカーに積み込む時に使われる建設機械であり,バックホウより一度に多量の土砂を積み込むことができる。

ホイルローダー

放射能濃度(ほうしゃのうのうど)

放射性核種を含む物質の単位体積または単位質量当たりの放射能のこと。

ポケット線量計(ぽけっとせんりょうけい)

個人の外部被ばく量を計測するために使用する放射線測定器のこと。除染電離則第五条には事業者による除染作業者の外部被ばく線量の測定が義務付けられている。

保護層(ほごそう)

仮置場などの底面に設置される砂の層のことを指す。保護層は,排水管の保護,底面に設置される遮水シートの保護等の役割を果たす。

ポリッシャー(ぽりっしゃー)

モーターでフロアパッドまたはブラシなどを回転させ,効率的に,床の洗浄作業・床ワックスの剥離作業・石床表面の研磨作業等を行うための清掃機械のこと。回転部分の大きさ,回転速度,洗剤タンク付き,密閉(防滴)タイプ,シリンダー(筒状)ブラシタイプなどさまざまな種類がある。通常,ポリッシャーには洗浄水の回収機能が付いていないため,洗浄水を回収する必要がある場合は,真空掃除機,水掃除機(ウェットバキューム)を併用する。

ポリッシャー

ま行

水処理設備(みずしょりせつび)

プール除染や高圧洗浄・水洗浄により発生回収した除染水の放射能濃度を低減するための処理装置のことを指す。処理方法には,フィルタによる放射性物質のろ過法,ゼオライト等の吸着剤による放射性物質の吸着法,凝集沈殿剤で吸着材を凝集沈殿させることにより分離する凝集沈殿法などがある。

水洗浄(みずせんじょう)

散水車等による散水により,放射性物質により汚染された表面を洗い流すことを指す。ブラッシングやスイーパーによる除染作業を併用することが多い。用語としては,圧力を高めた高圧水洗浄と区別して使用している。

モーターグレーダー(もーたーぐれーだー)

荒地の上をブレード(土工板,排土板)と呼ばれる地ならし用器具を吊って引きずることで整地を自走しておこなう重機。ブレードを前後車軸間に吊り下げている。グラウンドなど比較的路面の起伏が少なく広範囲で表土を剥ぎ取る必要がある場所で利用される。

モーターグレーダー

モデル実証事業(もでるじっしょうじぎょう)

本サイトでは,内閣府が原子力機構に委託した以下の2件の業務のことを指す。

  • 福島第一原子力発電所事故に係る福島県除染ガイドライン作成調査業務(平成23年8月8日~平成24年3月31日)
  • 福島第一原子力発電所事故に係る避難区域等における除染実証業務(平成23年9月30日~平成24年7月18日)

ら行

落葉樹(らくようじゅ)

毎年冬に葉をすべて落とす樹木のこと。来春に新たな葉が芽吹き開葉する。2011年3月11日の震災時には落葉樹は葉をすべて落としていたため,常緑樹林帯に比べ林冠部に放射性物質が残留することなく,より多くの放射性物質が林床へ到達しているといわれている。

レーザーアブレーション(れーざーあぶれーしょん)

レーザー照射による熱的作用と力学的作用により,照射表面を極めて薄く剥ぎ取る工法のこと。熱的作用とは,レーザービームと対象表面間の相互作用により表面温度が急激に上昇しプラズマが形成される作用のこと。また,力学的作用とは,プラズマの膨張により力学的波動が生成され,これが表面に広がり亀裂を作り対象表面を剥離する作用のこと。レーザーアブレーション技術を利用した表面剥離の特長としては,母材を傷つけない,二次廃棄物の発生が少ない(フィルタのみ),化学薬品を使用しない等が挙げられる。

レーザーアブレーション

ロータリードライヤ(ろーたりーどらいや)

金属や化合物となったセシウムが気化しない程度の400℃以下で低温焼却処理することにより,極力セシウムを燃えカス(炭化物)の中に残す方法及び装置のことを指す。ロータリードライヤにより炭化され,減容することができる。排気に飛んでいった灰分は,目が粗いフィルタと目が細かなフィルタにより捕集される。

路面清掃車(ろめんせいそうしゃ)

車両腹部に設置されている回転ブラシにより,道路に落ちているゴミや土砂などを取り除くための清掃車両のこと。本事業では路面や路肩に堆積した土砂等を,放射性物質とともに掻き取りバケットに回収した。

路面清掃車

路面切削機(ろめんせっさくき)

アスファルトやコンクリート舗装面を回転刃によって削り取る機械のこと。ロードカッターともいう。通常,路面切削機によって平滑に削り取られた舗装面はオーバーレイする。路面切削機は,切削機能は有するが切削物を回収するバケットを有していないため,回収した切削物は並走するダンプトラックにベルトコンベアで搬送するか,回収せず残置して後に回収する。グラウンドなどの表土剥ぎ取りへの適用を試行した。

路面切削機

舗装面の切削工法の一つとして,TSファイン・ミリング工法がある。通常の切削ドラムが15mm間隔でビットを配列しているのに対して,TSファイン・ミリング工法は,6~8mm間隔の細密切削ドラムを装備した切削機である。通常の切削工法よりも,切削厚さにムラのないきめの細かい切削が可能となる。