天地返しによる除染方法

天地返しによる除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

天地返しによる除染の流れを以下に示します。

1.目的

グラウンド・雑草地の除染方法として,バックホウを用いた天地返しの手順を示します。

2.作業項目

  • 使用機材点検
  • 表層土剥ぎ取り
  • 下層土剥ぎ取り
  • 表層土敷き均し
  • 下層土敷き均し

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。

(2)表層土剥ぎ取り
平バケット付きバックホウを用いて表層土を薄く(放射能濃度の深度分布上効果的な深さ)剥ぎ取り,傍のビニールシート上に仮置きします。

(3)下層土剥ぎ取り
平爪付きバックホウを用いて表層土採取エリアの下層土を20㎝程度の深さで剥ぎ取り,層土とは別の場所に仮置きします。

(4)表層土敷き均し
バックホウを用いて土壌採取エリアに表層土を敷き均します。

(5)下層土敷き均し
バックホウを用いて敷き均した表層土の上に下層土を敷き均します。

4.使用機材

保護具(半面マスク,ゴム手袋等),バケット付きバックホウ,爪付きバックホウ,バックホウ

5.留意事項等

(1)重機の旋回範囲,死角には立ち入りできないようカラーコーン等で作業エリアを明示します。

(2)放射能濃度の深度分布を把握するとともに,覆土による遮へい効果(30㎝覆土により98%遮へい効果あり)を考慮し,天地返しで剥ぎ取る表層と下層の最適な深度を決定することが不可欠です。

(3)下層土部底部までの深度に排水層および排水設備等が埋設されていないことを確認します。

(4)剥ぎ取った表層土が下層土に混入しないよう計画的に仮置きします。

天地返しによる除染の歩掛例

グラウンド・雑草地における除染方法“天地返し”の本事業における歩掛例を以下に示します。

  • 内容:バックホウによる表土剥ぎ取り,下層土剥ぎ取り,表土埋め戻し,下層土埋戻し(大型構造物の未舗装部)
  • 歩掛表
(1m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

表土剥ぎ取り

表土5cm

m2

1.00

下層土剥ぎ取り

下層土20cm

m2

1.00

表土埋め戻し

表土5cm

m2

1.00

下層土埋め戻し

下層土20cm

m2

1.00

表層土剥ぎ取り(540m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.15

運転手(特殊)

 

人日

1.00

【 機械損料 】

 

 

 

バックホウ

クローラ型 64kW

平積容量 0.4m3(運)

排対2次

台時

6.00

バックホウ

クローラ型 64kW

平積容量 0.4m3(供)

排対2次

台日

1.00

【 諸雑費 】

 

1.00

下層土剥ぎ取り(900 22当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.15

運転手(特殊)

 

人日

1.00

【 機械損料 】

 

 

 

小型バックホウ

(ミニホウ)

クローラ型 25kW

排出ガス対策型 0.10m3 (運) 2次基準値

台日

0.30

小型バックホウ

(ミニホウ)

クローラ型 25kW

排出ガス対策型 0.10m3 (供) 2次基準値

台日

0.30

バックホウ

クローラ型 41kW

平積容量 0.2m3 

(運)排対2次

台時

4.20

バックホウ

クローラ型 41kW

平積容量 0.2m3 

(供)排対2次

台日

0.70

小 計

 

 

 

【 諸雑費 】

 

1.00

表層土埋め戻し(540m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.15

運転手(特殊)

 

人日

1.00

【 機械損料 】

 

 

 

バックホウ

クローラ型 64kW

平積容量 0.4m3

(運)排対2次

台時

6.00

バックホウ 

クローラ型 64kW

平積容量 0.4m3

(供)排対2次

台日

1.00

【 諸雑費 】

 

1.00

下層土埋め戻し(1,350m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.23

運転手(特殊)

 

人日

1.50

【 機械損料 】

 

 

 

小型バックホウ

(ミニホウ)

クローラ型 25kW

排出ガス対策型 0.10m3 (運)2次基準値

台日

0.50

小型バックホウ

(ミニホウ)

クローラ型 25kW

排出ガス対策型 0.10m3 (供)2次基準値

台日

0.50

バックホウ

クローラ型 41kW

平積容量 0.2m3 (運)

排対2次

台時

6.00

バックホウ

クローラ型 41kW

平積容量 0.2m3 (供)

排対2次

台日

1.00

【 諸雑費 】

 

1.00

留意事項: 上記は,表土を5cm,下層土を20cm入れ替えた場合の作業歩掛りです。

天地返しの除染技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

天地返しによる除染手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号

大-7

大分類

大型構造物

中分類

未舗装

小分類

 

除染手法

天地返し(B)

内容

バックホウによる表土剥ぎ取り,下層土剥ぎ取り,

表土埋め戻し,下層土埋め戻し

除染方法

<除染手順>

表土剥ぎ取り・仮置き:   →下層土剥ぎ取り・仮置き: →表土埋め戻し:  →下層土埋め戻し:

平バケット付きバックホウ   平爪付きバックホウ     平爪付きバックホウ 平爪付きバックホウ

 

<除染概要>

施工範囲の半区画について放射性セシウムを90%程度を含む表土をバックホウで薄く剥ぎ取り,残りの半区画のビニールシート上に仮置きします。下層土を20cm程度剥ぎ取り,表土とは別の場所に仮置きします。表土を埋め戻し後,下層土を埋め戻します。残りの半区画について同じ作業を繰り返します。

主要機械仕様

平バケット付きバックホウ,平爪付きバックホウ

環境条件

適用環境条件

汚染物質を除去する技術ではないので高汚染の土地ではリスクが残る。

施工制約条件

グラウンドの場合,排水層を壊す恐れがあることから,排水層が30cm以上深い位置にあることが必要。

評価

除去物

施工スピード(作業員数)

180m2/日(1.2人)

除去物発生量

除去物内容

水処理方法

使用水量

汚染水回収方法

回収率

除染係数の目安

DF

5~6.7

低減率

80~85%

コスト(直接工事費>1,000m2

230円/m2

施工上の留意点改善点

・放射能濃度の深度分布を把握するとともにグラウンドの場合は排水層の深さを確認し,覆土による遮へい効果(30㎝覆土により98%遮へい)を考慮して,天地返しの上層と下層の深度を決定することが重要です(除染効果の確保)。

・上層の剥ぎ取った土壌が下層の剥ぎ取った土壌に混入しないように仮置きすることが重要です(汚染の拡大防止による除染効果の確保)。