仮置場の種類と構造

 本事業が採用した仮置場の形式を図1に示します。

 仮置場の形式を選定する際には,関係自治体や地元住民の方々の要望や,地形,土地利用状態,面積などを考慮する必要があります。仮置場の形式選定の際のフローをこちらに示します。

様々な地形の状況や土地利用状態に応じた仮置場のイメージ
図1 様々な地形の状況や土地利用状態に応じた仮置場のイメージ
表1 仮置場の各形式における長所,短所
  長所 短所
地上保管型
  • 中間貯蔵施設等への搬出作業が容易
  • 設置完了後の除去物の移動が容易(点検・補修が容易)
  • 他の地域において遮へい用の土壌の確保が必要
  • 地盤が軟弱な場所に設置する場合,地盤改良が必要
地下保管型
  • 遮へい用の土壌を現場で確保することが可能(地表を除く掘削土は放射能濃度が低い)
  • 地盤が軟弱な場所でも地盤改良なしで設置することが可能
  • 覆土部分の補修・点検が容易
  • 景観の維持が可能
  • 地下部分の掘削造成に時間を要する
  • 除去物を地下水位より下部に設置しようとする場合,地下水浸入防止対策や地下水位低下防止対策が必要
  • 除去物取り出しの際に掘り出し等の作業が必要
半地下保管型
  • 地上部分と地下部分を併せると比較的段数を積むことができるため,小さい面積の場所でも定置量を増やすことが可能
  • 地下部分に高濃度の除去物を定置し,地上部分に比較的濃度の低い除去物を定置することで,容易に遮へいが可能
  • 遮へい用の土壌を現場で確保することが可能(地表を除く掘削土は放射能濃度が低い)
  • 地下部分の掘削造成に時間を要する
  • 地上部分と地下部分の境に雨水浸入対策が必要
  • 除去物を地下水位より下部に設置しようとする場合,地下水浸入防止対策や地下水位低下防止対策が必要

1. 地形条件に応じた設計

 地形の形状に応じた設計上の留意点を以下に示します。

  • 保管場所は,安全性の観点から基本的には平坦地に設置します。
  • 傾斜地に設置する場合は,傾斜に応じて下部に土留や堰堤を設置し,傾斜面勾配に応じて切土,盛土を行い,造成により平坦地を確保します。
  • 谷地形の場合は,天然のトレンチとみなせることから,左右岸側の遮へい措置は不要となります。しかし,降雨による沢水ならびに施設左右の斜面の表流水を確実に下流に流下させる措置(上下流側に堰堤を設置し沢底部に排水パイプを敷設,上面左右岸に側溝を設置)を講じる必要があります。

2. 土地利用状態に応じた設計

 土地利用状態に応じた設計上の留意点を以下に示します。

  • 学校等のグランドを仮置場にする場合は,グランド建設時に造成をしているため,地盤の状況が把握できていることや排水機構が整備できていることから,地下水の監視が容易です。
  • 軟弱地盤を仮置場として利用する場合は,除去物の荷重による地盤沈下が懸念されるため,地盤改良を行ったうえで地上保管を行うか,半地下・地下保管とするかを比較検討する必要があります。
  • 休耕田を利用して仮置場を利用する場合には,地下保管式では仮置場の設置深度から田の鋤床層よりも深い地下まで利用するため,仮置場として使用した後の利用方法の考慮が必要と考えられます。