表面汚染密度の測定方法

 除染事業における表面汚染密度の測定は,放射線測定に関するガイドライン(平成23年10月21日文部科学省,日本原子力研究開発機構),学校等における放射線測定の手引き(平成23年8月26日,同),除染関係ガイドライン第2版(環境省,2013)に準じます。実施における留意点について以下にまとめます。

1. 使用機器

 GM計数管型サーベイメーターを使用することを基本とします。なお,測定機器は,機器に定められている要領に従い,適切に校正されたものを使用します。

2. 測定方法

 表面汚染密度の測定にあたっては,計画段階において策定した要領書に基づき実施します。さらに,以下の点に留意します。

a. 時定数・回数

  • 時定数を10秒とする場合,測定開始から30秒程度(時定数の3倍以上)待ち,数値を読み取るのが標準的な方法です。繰り返し測定を行う場合も同様です。
  • 測定値の変動が大きく,読み取りが難しい場合もあります。その場合は測定開始の60秒後から15秒程度の間隔で複数回(たとえば5回)読み取り,それらの平均値を測定値とする方法があります。標準偏差が大きい場合は,外乱による誤差が大きいとみなせるため,測定の信頼性の確認にも役立ちます。

b. 表記方法

  • 単位はcpmで有効数字2桁にて記載します。複数回測定した場合は,2桁を読んで平均値・標準偏差を算出します。

c. 記録方法

  • 測定場所,時間,気象条件,測定者,使用機器の種類・型式・シリアル番号,使用レンジ,測定値,コリメータ使用有無(遮へい厚さ)等を記載します。

d. その他

  • GM計数管型サーベイメーターにはβ線とγ線の両方を測定する機能がありますが,測定対象の表面が湿潤状態である場合や積雪がある場合,β線はγ線に比べて障害物による遮へいを受けやすく,正確な測定ができなくなります。このような場合は,測定対象物の表面が乾燥するまで測定を見合わせます。
  • 測定値は風による埃等の巻き上げによる変動を受けるため,風向風速の急変時には測定を一時中断するなどの配慮を行います。
  • 測定機器には保護ビニール等を用いて適切な養生を行い,保護ビニール等の汚染がないか適宜確認し,汚染の可能性があれば紙ワイプ,ウエス等によるふき取りやビニールの交換を行います。なお,除染の効果は空間線量率の低下が望まれるものですが,除染対象ではない周囲の影響により,空間線量率が期待通り下がらない場合があります。このような時は,コリメータを利用した表面汚染密度の除染前後の値と,空間線量率の除染前後の値とを比較し除染対象でない周囲の影響の程度を把握します。
  • GM計数管型サーベイメーターの検出部は,非常に薄い膜でできているため,使用しない時は保護キャップを取り付け,使用時も測定対象物に接触しないよう注意します。