農地の除染方法の特徴の比較

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)⑤章“総合評価”より

 農地における除染方法の,本事業における歩掛・作業性等の実績を以下に比較一覧で示します。なお,除染方法のコスト及び歩掛の評価方法については下記を参照下さい。

除染方法のコスト及び歩掛の評価について

除染方法

薄層土壌剥ぎ取り機
(ハンマーナイフ)

バックホウ
(5cm剥取り)

表面固化剤散布

反転耕
(トラクタ+プラウ)

天地返し
(バックホウ)

分離回収機

バックホウ剥ぎ取り回収

空間線量率(1m)
低減率

35%程度

20~70%

40~75%

30~60%

65%程度

除去物発生量

300袋/ha

300~800袋/ha

300~800袋/ha

なし

なし

二次汚染

なし

なし

なし

なし

なし

コスト評価

690円/m2

560円/m2

880円/m2

33円/m2

310円/m2

施工スピード

500m2/日

1,300m2/日

290m2/日(固化剤散布:2870m2/日

土壌回収:410m2/日)

1,340m2/日

120m2/日

歩掛

7人/日

15人/日

6人/日

1.2人/日

1.2人/日

適用性

*

 表土剥ぎ取りの除染方法である,薄層土壌剥ぎ取り機,バックホウ,表面固化剤散布のうち,表面固化剤散布による表土剥ぎ取りは,表土固化剤が氷点下の気温(本事業は冬季に実施された)では固化せずに役に立たなかったため評価の対象としない。“薄層土壌剥ぎ取り機”と“バックホウ”による剥ぎ取りを比較すると,バックホウは余剰除去物の発生が顕著である。これは,バックホウでは薄層を維持して剥ぎ取ることが困難であったためである。

 表土剥ぎ取り以外では,反転耕と天地返しを行った。両者の最大のメリットは除去物が全く発生しないことである。また,それでいて低減率も申し分ない。ただし,天地返しの施工スピードの遅さは致命的である。反転耕の施工スピードは優秀であり評価に値する。

◎:総合的に効果が非常に高かったもの, 〇:総合的に効果が高かったもの, △:総合的に効果が中程度であったもの,▲:総合的に効果は限定的であったもの(これらの評価はモデル実証事業での実績に基づくものです)。
*:実施時期が適していなかった(冬季に実施した)ことから評価対象としません。