除染水等の処理の必要性
水を用いた建物,道路等の除染に使用して回収した除染水及び事故以前からプール等に溜まっていた滞留水(以下,除染水と滞留水を併せて「除染水等」という。)には,水中の浮遊物に付着,または陽イオン(Cs+)の状態で溶存するなどして,放射性セシウムが存在すると考えられます。このような廃棄物の保管を簡略化するため,除染水等を処理し,廃棄物の減容化及び安定化(固体化)が必要となります。
除染水等の処理の方法
モデル事業では,吸着,凝集沈殿,ろ過などを組み合わせ,除染水等の処理を行いました。その結果,以下の知見が得られました。
a) 濁り等の浮遊物が多く存在する除染水等は,浮遊物中に多くのセシウムが吸着しており,この浮遊物を凝集・沈殿処理することで高い洗浄効果が得られる。
b) 濁り等の浮遊物が少なく比較的透明度が高い滞留水(プール水)の処理についてはセシウムが水中に少なからず溶存(イオン化)している可能性が高く,吸着剤(ゼオライトなど)又は吸着効果を持つ凝集剤を使用してセシウムイオンを吸着させて処理することで高い洗浄効果が得られる。
放流水の安全性
除染水等の放流に関する基準が定められていないため,モデル事業では,飲料水に対する暫定規制値i(200Bq/kg)(厚生労働省, 2011)又は特定廃棄物の処分に伴う排水の濃度限度(134Cs:60 Bq/L,137Cs:90 Bq/L(混在する場合はそれぞれの濃度÷基準値の和が1以下))(環境省令33号第25条)を基準値としました。いずれの値も,この濃度の放射性セシウムを含む水を飲料水として摂取し続けたとして,1年あたりの内部被ばく量が1mSv程度iiに相当する濃度とされております。
i 2012年4月1日より新基準値(飲料水は10Bq/kg)が施行されております。
ii 被ばく量の評価に用いられている水の摂取量(厚生労働省 2011,文部科学省 1999)は異なります。
モデル事業各地区における除染水等の処理結果概要
モデル事業の対象地区である11市町村14地区のうち,9市町村12地区において,除染水等の処理を実施しました。各地区における処理結果の概要をご覧になる場合は下記の地区名をクリックしてください。詳細につきましてはこちらをご覧ください。