【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅱ大型構造物より
学校校舎の裏手に存在している小高い山の法面などの長大な法面には,コンクリート二次製品によるフレーム工法により斜面安定が図られている場合が多く,さらに,そのフレーム(法枠)内には緑化のための植栽土のうが充てんされている場合があります。
フレーム内の植栽土のうを完全に除去(深さ方向の厚さ15㎝)し,この除去箇所に新たな土のうを設置する除染を行いました。
植栽土のうを撤去する場合は,法面設計の考え方を確認した上で,法面の安定を損なわない処置を施す必要があります。植栽土のうの除去(土のう厚15 cm)による低減率は90%を超える効果が確認されました。
ただし,法面の構造は,法枠内に充填される植栽土のうのもたれ荷重も設計上考慮されている場合があります。
法面における法枠内植生土のう撤去による除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
法面における法枠内植生土のう撤去による除染作業の具体的な流れを以下にします。
1.目的
学校の裏手によく見られる法面(急斜面)で法枠工が施されているエリアの土のう撤去手順を示します。
2.作業項目
- 使用機材点検
- 植生土のう撤去
- 集積
- 詰込み
- 運搬
3.作業手順
(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(2)植生土のう撤去
鋤簾,スコップを用いて表層の堆積物を除去します。その後,鋤簾,スコップを用いて法枠工内の植生土嚢を撤去します。
(3)集積
除去物を人力で集積します。
(4)詰込み
集積した除去物を人力でフレキシブルコンテナに収納します。
(5)運搬
フレキシブルコンテナをトラッククレーン等で一時仮置場まで運搬します。
4.使用機材
保護具(半面マスク,ゴム手袋等,安全帯),親綱,ロリップ,鋤簾,スコップ,トラッククレーン
5.留意事項等
(1)法面の安全確保のために新規土のうの施工が必要です。
(2)急斜面での作業では,転落防止のため親綱を張ってロリップを使用します。
法面における法枠内植生土のう撤去による除染の技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
法面における法枠内植生土のう撤去の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。
整理番号 |
大-参2 |
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大分類 |
大型構造物 |
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中分類 |
法面 |
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小分類 |
法枠工 |
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除染手法 |
法枠内植生土のう撤去 |
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内容 |
表層堆積物除去,植生土のう撤去(人力), 搬送,詰込,運搬 |
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除染方法 |
<除染手順> 表層堆積物除去: →植生土のう撤去: →搬送:詰込: →運搬(一時集積所まで): 人力(鋤簾,スコップ) 人力(鋤簾,スコップ) 人力 トラッククレーン <除染概要> 表層の堆積物を人力で除去の後,法枠工の枠内の植生土のうを確認し人力で撤去します。除去物は人力で集積,搬送,フレキシブルコンテナへ詰込み,除染箇所の一時集積所まで運搬します(運搬距離100m)。 |
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法枠工内の植生土のう撤去後の計測状況 |
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主要機械仕様 |
トラッククレーン |
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環境条件 |
適用環境条件 |
学校などの背後法面(急斜面)が対象。除染効果に影響する環境条件は見当たらない。 |
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施工制約条件 |
特になし。 |
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評価 |
除去物 |
施工スピード(作業員数) |
― |
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除去物発生量 |
0.15m3(植生土のう6袋)/m2 |
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除去物内容 |
植生土のう(土) |
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水処理方法 |
使用水量 |
― |
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汚染水回収方法 |
― |
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回収率 |
― |
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除染係数の目安 |
DF |
10程度 |
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低減率 |
90%程度 |
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コスト(直接工事費>1,000m2) |
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施工上の留意点改善点 |
・法面上の作業で作業効率が悪いこと,また,法面の安定確保のために新規土のうの設置が必要です(災害防止)。 ・その他,急傾斜のため,作業安全の安全対策(親綱+ロリップ+安全帯)が必要です。 |