【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅰ宅地より
庭内の砕石・玉砂利が敷設されているエリアにおいては,砕石・玉砂利を除去して除染を行いました。砕石・玉砂利を除去したエリアには,現状復旧のために砕石・玉砂利を敷設し直す必要がありますが,除去物発生量低減化の観点から除去した砕石・玉砂利を再利用するため,洗浄・分級した後にこれを庭の元のエリアに敷設し直しました。砕石・玉砂利は,それぞれ以下の手順で除染しました。
- 砕石の除染(洗浄)
砕石を水と一緒にポリバケツに入れて撹拌しました。具体的には2分30秒撹拌した後に35分間静置し,その後再度2分30秒撹拌しました。また,ポットミキサーを用いた洗浄も行いました。ポットミキサーに砕石を投入(30~60分間)して砕石表面に付着している放射性物質及びそれが付着した細粒土砂をできる限り取り除きました。本手法は,無水の場合と,水を加えた場合(加えた水の量は砕石と同体積量)の二つのケースで行いました。 - 玉砂利の除染(高圧水洗浄+分級)
ふるいにかけながら高圧水洗浄を行いました。高圧水洗浄の圧力は,水及び分級した土砂の飛散を防ぐため,5MPa程度に抑えました。このようにして玉砂利表面に付着している放射性物質及びそれが付着した細粒土砂をできる限り取り除きました。
砕石洗浄による宅地庭部の除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
宅地庭部における砕石剥ぎ取りによる除染作業の具体的な流れを以下に示します。
1.目的
宅地庭部に敷設された砕石の除染方法として,分級・洗浄の作業手順を示します。
2.作業項目
- 使用機材点検
- 玉石の撤去
- 玉石の分級
- 玉石の洗浄
- 玉石の再敷設
- 水の回収・運搬
3.作業手順
(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(2)玉石の撤去
除去可能な雑草,コケ等を除去した後,スコップ等を用いて玉石を撤去する。除去した雑草等については,可燃物,不燃物に分類し,フレキシブルコンテナ等の容器に収納します。
(3)玉石の分級
撤去した玉石をふるい(角型木枠ふるい)に投入・篩別し,細粒分,コケ等の不純物を除去します。
(4)玉石の洗浄
分級後,高圧洗浄機を用いて,ふるい内の玉石を洗浄します。この際,水槽等を用いて除染水を回収します。
(5)玉石の再敷設
洗浄後,玉石を再敷設します。
(6)水の回収・運搬
水を回収し,水処理設備まで運搬します。
4.使用機材
スコップ,手押し車,角型木枠ふるい,ふるい用ローラー台,高圧洗浄機(最高圧力5MPa程度),水槽,保護具(ゴーグル,半面マスク,厚手のゴム手袋等)
5.留意事項等
(1)玉石の洗浄に際しては,洗浄後の玉石の表面線量率および表面汚染密度を測定し,所定の値以下であることを確認します。目標に達していない場合は洗浄作業を繰り返します。
(2)玉石を撤去した部分の表面線量率,表面汚染密度を測定し,必要に応じて,表土の剥ぎ取りを行います。
(3)ふるいの網目サイズは再利用する玉石のサイズに応じて選定します。必要以上に目の細かい網目サイズを選定すると分級が困難となります。
(4)高圧洗浄機を使用する際は,水圧により汚染された泥等が周囲に飛び散る可能性があるため,最初は低圧での洗浄を行い,除染水の流れや飛散状況を確認しつつ,徐々に圧力あげます。また,必要に応じて,ブルーシート等で周囲を養生します。
(5)洗浄を繰り返しても玉石の表面汚染密度が十分に低減しない場合は再利用せず,除去物として取り扱います。
砕石洗浄による宅地庭部の除染の歩掛例
宅地の庭の“砕石の洗浄”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。
- 内容:コケ等の除去,篩洗浄(高圧水洗浄機),洗浄水回収,運搬(宅地,庭,玉砂利)
- 歩掛表
名称・項目 |
仕様 |
単位 |
数量 |
【 労 務 費 】 |
|
|
|
土木一般世話役 |
|
人日 |
1.50 |
特殊作業員 |
|
人日 |
0.50 |
普通作業員 |
|
人日 |
8.50 |
運転手(普通) |
|
人日 |
1.00 |
【 機械損料 】 |
|
|
|
小型バックホウ(ミニホウ) クローラ型 18kW |
排出ガス対策型 0.06m3 (供) 2次基準値 |
台日 |
1.00 |
小型バックホウ(ミニホウ) クローラ型 18kW |
排出ガス対策型 0.06m3 (運) 2次基準値 |
台日 |
1.00 |
ダンプトラック 普通・ディーゼル88W |
積載質量 2t積 (供) |
台日 |
1.00 |
ダンプトラック 普通・ディーゼル88W |
積載質量 2t積 (運) |
台時 |
4.00 |
給水車 118kW |
タンク容量 3,800L (供) |
台日 |
1.00 |
給水車 118kW |
タンク容量 3,800L (運) |
台時 |
2.00 |
工事用高圧洗浄機 モーター駆動 3.7kW |
吐出量30.1L/min 圧力4.9MPa (供) |
台日 |
3.00 |
工事用高圧洗浄機 モーター駆動 3.7kW |
吐出量30.1L/min 圧力4.9MPa (運) |
台日 |
3.00 |
発動発電機 ディーゼルエンジン駆動 3.4kW |
定格容量 3kVA (供) |
台日 |
1.00 |
発動発電機 ディーゼルエンジン駆動 3.4kW |
定格容量 3kVA (運) |
台日 |
1.00 |
小型うず巻ポンプ 自吸式片吸込形 1.5kW |
口径50mm 揚程10m (供) |
台日 |
2.00 |
小型うず巻ポンプ 自吸式片吸込形 1.5kW |
口径50mm 揚程10m (運) |
台日 |
2.00 |
水槽(一般工事用) 鋼板製簡易水槽 |
容量10m3 (供) |
台日 |
1.00 |
【 諸雑費 】 |
|
式 |
1.00 |
砕石洗浄による宅地庭部の除染の技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
砕石洗浄による宅地庭部の除染の技術評価
整理番号 |
宅-7 |
|||
大分類 |
宅地 |
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中分類 |
庭 |
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小分類 |
雨だれ部の玉砂利 |
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除染手法 |
高圧水洗浄(A) |
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内容 |
コケ等の除去,篩洗浄(高圧水洗浄機),洗浄水回収,運搬 |
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除染方法 |
<除染手順> |
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主要機械仕様 |
3mm程度の目の篩,高圧洗浄機(最大5MPa),ポンプ,水槽,トラック |
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環境条件 |
適用環境条件 |
玉石以外の砕石などはデータが無いため,除染効果不明。 |
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施工制約条件 |
特になし。 |
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評価 |
除去物 |
施工スピード |
210m2/日 (剥ぎ取り厚約10cm) (12人) |
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除去物発生量 |
少量 |
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除去物内容 |
土砂 |
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水処理方法 |
使用水量 |
1~2m3/100m2程度 |
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汚染水回収方法 |
タンク等 |
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回収率 |
100% |
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除染係数の目安 |
DF |
2.5~20 |
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低減率 |
60~95% |
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コスト(直接工事費>1,000m2) |
930円/m2 |
|||
施工上の留意点 |
・汚染水が土壌に飛散浸透しないように飛散防止策を講じる必要があります(汚染の拡大防止による除染効果の確保)。 |