屋根,壁,庭,たたき等,宅地周辺の屋外の除染による,屋内の空間線量率の変化について検証しました。図1は,木造と鉄筋コンクリートの建屋について,除染による建屋周辺の屋外の空間線量率(1 m)の平均値の変化と屋内の空間線量率(1 m)の平均値の変化を示したものです。
木造建屋については,屋外の空間線量率が約3割低減(除染前:10.07 μSv/h,除染後:4.13 μSv/h)することによって,屋内の空間線量率についても同様に3割程度低減(除染前:2.67 μSv/h,除染後:1.00 μSv/h)しました。除染前後における,屋内と屋外の空間線量率の比率(遮へい率)は除染前が73%,除染後が76%でした。同様に,鉄筋コンクリート建屋については,屋外の空間線量率が約4割低減(除染前:8.12 μSv/h,除染後:5.52 μSv/h)することによって,屋内の空間線量率についても同様に4割程度低減(除染前:0.89 μSv/h,除染後:0.63 μSv/h)しました。除染前後における,屋内と屋外の空間線量率の比率(遮へい率)は,ともに89%でした。
このように屋外と屋内の空間線量率の比率は,除染前後でも変化しない傾向が認められます。屋外の除染によって屋外の空間線量率を下げることで,屋内を除染しなくても,屋外の空間線量率の低減率と同程度の空間線量率の低減効果が屋内においても期待できると考えられます。