森林の除染方法の特徴の比較

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)⑤章“総合評価”より

森林における除染方法の,本事業における歩掛・作業性等の実績を以下に比較一覧で示します。なお,除染方法のコスト及び歩掛の評価方法については下記を参照下さい。

除染方法のコスト及び歩掛の評価について

除染方法

落葉・腐植土層除去(平地)

落葉・腐植土層除去
(傾斜地)

落葉・腐植土・表土の除去(平地)

樹木

樹幹洗浄

枝打ち

常緑樹の放射性物質の比率
(8-9月時点)

44~84%

樹皮:1~3%

枝葉:14~53%

低減率※1

5~90%

5~90%

20~80%

30~85%

5~40%

除去物発生量

200~900袋/ha

200~900袋/ha

1000~2000袋/ha

少量

2700袋/ha

(減容化無し)

二次汚染

なし

なし

なし

飛沫による土壌浸透あり

林床に枝が落下

周辺環境への影響

傾斜地では土砂流出に要留意

 コスト評価

530円/m2

760円/m2

890円/m2

3390円/本

580円/m2

施工スピード

510m2/日

340m2/日

220m2/日

32本/日

150m2/日

歩掛

11人/日

11人/日

5人/日

4人/日

4人/日

適用性

落葉樹

▲※2

常緑樹

▲※2

森林を構成する部位の中で,放射性物質はほとんど落葉・腐植土層に吸着する。樹皮や枝葉に放射性物質が付着する割合は非常に少なく,樹皮にいたっては1~3%であり,樹幹洗浄を行う意味はほとんどない。また,樹幹洗浄は,洗浄飛沫による二次汚染もあるため評価は非常に低い。

枝打ちに関しても,セシウムの付着率の低いことに加えて,低減率は5~40%であり積極的に推奨する除染方法ではない。

落葉・腐植土層除去の低減効果は非常に高い。落葉・腐植土に加えて表土を剥ぎ取ってもよいが,低減率は変わらない上に除去物が余分にかなり発生するため効果は低い。

◎:総合的に効果が非常に高かったもの, 〇:総合的に効果が高かったもの, △:総合的に効果が中程度であったもの,▲:総合的に効果は限定的であったもの(これらの評価はモデル事業での実績に基づくものです)。

※1:低減率:表面汚染密度低減率の低減率です。但し,枝打ちは空間線量率(1m)の低減率を採用しました。
※2:公園等植林に対しては,人の手に触れる可能性があるため洗浄する効果はあります。