家屋屋根の除染方法として,高圧洗浄が使用される場合がありますが,この高圧除染は,除染に伴い発生する排水の処理や家屋の損傷の可能性等が課題となっています。
そこで,ガイドライン調査事業における家屋屋根の除染関連試験(伊達市下小国地区で実施)では,除染作業においてできる限り水を使用しない方針のもと,高圧洗浄に替わる家屋屋根の除染方法の効果を評価しました。
まず,家屋屋根の種類毎に汚染状況を評価しました。燻瓦(土瓦),釉薬瓦(陶器瓦),セメント瓦,トタンで葺かれた屋根の汚染部位と汚染状況を下の写真および表に示します。汚染部位は通常の部位の約10倍程度表面汚染密度が高いことがわかります。瓦やトタンの雨水が多く流れる部分,それらのつなぎ目など雨水が溜まりやすい部分,破損箇所など浸透しやすい部分,粘着性の樹液が付着している部分など特定の箇所に付着・残留している傾向が見られました。
拭取り,電動研磨による除染後の瓦やトタンをみると,表面がきれいになっていることが肉眼でもわかります。放射性セシウムの多くは汚れと結合して捕捉されていますので,この汚れを除去することにより除染することができます。6軒の家屋で実験した結果,釉薬瓦の釉薬部が欠損した箇所やトタンの錆が発生している部分を除き,燻瓦で70~82%(n=2),釉薬瓦で70~74%(n=2),セメント瓦で48%(n=1),トタン屋根で55~77%(n=6)表面汚染密度が低下しました。