放射性物質の動き-河川水系Radioactivity Dynamics in River System

(2017年 更新)

降雨によって川の水の濁り具合や放射性セシウム濃度はどう変わりますか。【解析事例】

様々な降雨パターンに対する、頭首工での応答(水の濁り具合や放射性セシウム濃度)を解析で推定しました。
浮遊物質濃度が高い(濁っている)ときに河川水中のセシウム濃度も高い傾向があります。
河川水中のセシウム濃度は大雨の後、数時間~数日にわたって高いこともあります。

請戸川流域を対象に、様々な降雨パターンに対する放流工や頭首工での応答(水の濁り具合や放射性セシウム濃度)を、計算モデルGETFLOWSを用いて推定しました(図1)。

様々な降雨パターンに対する、河川流量・浮遊物質濃度・放射性セシウム濃度の解析(応答解析)を実施(GETFLOWS利用)

図1 計算領域と計算で仮定した降雨パターンの例

計算の結果、図2のように浮遊物質濃度が高いほど、セシウム濃度が高くなる傾向があることがわかりました。
これは、頭首工での取水の判断を、測定しやすい浮遊物質濃度(濁度)で管理できる可能性を示しています。
しかし、浮遊物質濃度とセシウム濃度のプロットは、降雨パターンや頭首工の場所の違いによってばらつきが大きいことも示しています。

計算で推定された頭首工での浮遊物質濃度と<sup>137</sup>Cs濃度の相関

図2 計算で推定された頭首工での浮遊物質濃度と137Cs濃度の相関

図3では、降雨に対する放流工・頭首工での浮遊物質濃度とセシウム濃度の時間変化の例を示しています。
降雨によって浮遊物質濃度とセシウム濃度が上昇しますが、河川流域のセシウム分布やダムの有無によって上昇の傾向が異なったり、濁りが数時間~数日にわたって継続することなどが想定されます。

放流工・頭首工での応答解析結果の例-1

放流工・頭首工での応答解析結果の例-2

図3 放流工・頭首工での応答解析結果の例