根拠情報Q&A|答えます!みんなが知りたい福島の今|JAEA

用語集Glossry

あ行
移行 いこう 放射性核種が水から土壌や、土壌から生物等に、吸着や吸収等により移動すること。移動の比は移動の経路(移行経路)や、移動する物質の種類等によって異なり、その比を一般的に移行係数という。
位置分解能 いちぶんかいのう 位置による違いを識別する能力のこと。位置分解能が小さいほど、場所による放射線レベル等の変化を細かく知ることができる。
一般食品中の基準値 いっぱんしょくひんちゅうのきじゅんち 厚生労働省が食品の安全と安心を確保するために定めた、放射性物質濃度の基準値。飲料水や一般食品等に分け、それぞれ値が定められている。
イメージングプレート いめーじんぐぷれーと 輝尽性(きじんせい)発光体という特殊な蛍光体をプラスチックフィルム上に添付したもの。X線、電子線、中性子などの放射線を高感度で検知し、2次元の画像が得られる。輝尽性発光体に放射線を照射したのちレーザーを照射すると、放射線照射を受けた部分が発光する。この光を光電子増倍管で電流に変換し、画像化する。
インベントリ いんべんとり ある場所に存在する物(ここでは放射性セシウム)の量のこと。
飲料水の基準値 いんりょうすいのきじゅんち 厚生労働省が飲料水に対して定めた、放射性物質濃度の基準値。
雨滴侵食 うてきしんしょく ここでは、林床に到達した雨滴が林床の土壌粒子を跳ね飛ばし、削り取られ移動すること。
雲母 うんも 岩石や土壌に含まれる鉱物の一つで、風化や変質等によって、放射性セシウムを結晶内に固定しやすい結晶構造を有する場合がある。
エアロゾル えあろぞる 空気中に浮遊する霧などの微小な液体・固体粒子のこと。
か行
外部被ばく がいぶひばく 放射線を身体の外部から受けること。
家屋の線量低減係数 かおくのせんりょうていげんけいすう 家屋内の空間線量率は家屋外に比べて低くなる傾向にあり、この傾向を数値で表すために屋内外の空間線量率の比率で定義される線量低減係数が用いられる。線量低減係数のことを遮蔽係数と呼ぶことがあるが、日本家屋の場合には家屋が放射線を遮蔽する効果よりは、家屋の下に放射性物質が存在しない効果の方が大きいと考えられている。
撹乱のない平坦地 かくらんのないへいたんち 人が掘り起こしたり整地することにより土地の状況が変わったり、大きな出水により放射性物質の沈着量が顕著に変化することがない平坦地。
陰膳法 かげぜんほう 住民が実際に家庭で食べた食事と同じものを1セット余分に用意してもらい、その中の放射性物質の濃度を測定することにより、住民がどのくらいの量の放射性物物質を体内に取り込むか推定する方法。
可視化 かしか 数値で得られたデータを、マップ、映像、グラフ、表など視覚的に認識できるように加工してわかりやすくすること。
河床 かしょう 河川において流水に接する川底の部分。
河川敷 かせんじき 高水敷と低水路をあわせた名称。河道と呼ぶこともある。
下層植生 かそうしょくせい 主に人の背丈ほどの樹木や下草等の植生。
河道 かどう 高水敷と低水路をあわせた名称。河川敷と呼ぶこともある。
灌がい かんがい 農地に外部から人工的に水を供給すること。
環境ガンマ線 かんきょうがんません 環境中に存在する天然放射性核種及び人工放射性核種から放出されるガンマ線。環境中を移動する間に空気や土による散乱や吸収を受け、エネルギーや進行方向が変化するので、環境中での線源の分布や初期エネルギーに応じて特有の性質を示す。
含水率 がんすいりつ 木材の場合は、木材に含まれる水分重量を、完全に乾燥した木材の重量に対する比率で示した値。土壌の場合は、土壌に含まれる水分重量の土壌全体(土壌粒子と水)の重量に対する比率。土壌に含まれる水分重量を土壌の乾燥重量に対する比で示したものは含水比という。
間接放出 かんせつほうしゅつ 放出元から海洋環境に放射性核種が間接的に放出されること。大気中に放出されたものが海洋表面に沈着したり、地上に沈着したものが河川により輸送されたりする経路がある。ここでの推定値は、大気に放出され海洋に沈着したもの。
乾性沈着 かんせいちんちゃく ガス状または粒子状の大気汚染物質が、雨や雪などに取り込まれる形ではなく、大気中から直接、地表や建物、湖沼・河川などに沈着することをいう。
基盤岩 きばんがん ここでは、土壌の下位にあり、土壌の生成作用をあまり受けていない硬い岩石(花こう岩など)を指す。
吸着 きゅうちゃく 物質の表面に、放射性核種等が物理的に(例えば、物質からの引力による)や化学的に(例えば、両者が化学結合する)反応により付く現象。
空間線量・空間線量率 くうかんせんりょう/くうかんせんりょうりつ 空中を通過する放射線の量を「空間線量」といい、ある時間内に空気中を通過する放射線の量を「空間線量率」という。空間線量率は、平常時や緊急時の環境モニタリングにおける重要な測定項目のひとつである。サーベイメータ、モニタリングポスト等により測定される。通常1mの高さを計測する。
KURAMA-Ⅱ くらまつー 京都大学原子炉実験所が開発した移動測定システム(Kyoto University Radiation MApping system Ⅱ)。放射線測定器、GPS、データ処理装置等が全て小さな箱に納められており、測定した結果は携帯回線を通して自動的にデータ収集サーバに集約される。操作が容易であるため、多数のシステムを同時に用いた大規模測定に利用されてきている。
Gy(グレイ) ぐれい 放射線が物質を通るときに物質に吸収された放射線のエネルギーである「吸収線量」の単位。
経験式 けいけんしき 理論的根拠は確かではないが、実測値の傾向を経験に基づいて近似的に表現するための式。
ゲルマニウム半導体検出器 げるまにうむはんどうたいけんしゅつき ガンマ線の数をカウントすることにより、ガンマ線を出す放射性物質の種類ごとの濃度(Bq/kg)を測定する装置。このうち、電池による駆動や電子式冷却等の機能を持たせることにより、野外へ持ち出して現地測定(in situ測定)が行えるようにした「可搬型」と「固定型」に大別される。
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR) げんしほうしゃせんのえいきょうにかんするこくれんかがくいいんかい 放射線による被ばくの程度と人間への影響を評価して報告するために国連により設置された委員会。これまでに自然放射線、医療被ばく、チョルノービリ(チェルノブイリ)事故等を対象に多くの報告書を公刊してきた。福島事故については2013年に報告書を公刊して、被ばく線量の評価等を行っている。(United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation)
検出限界 けんしゅつげんかい 分析等で検出できる最小の値。
減衰 げんすい 放射性核種が放射線を出しながら他の核種に変化することでその放射能量が時間とともに減少する性質。放射能量が半分になる時間が半減期である。
懸濁態 けんだくたい 川の濁りの元となる微粒子(浮遊懸濁物質)や堆積物中の微細な土砂粒子等に吸着された状態。
交換性カリ こうかんせいかり 水稲栽培において施肥の際に、肥料に含めることで放射性セシウムの吸収を抑制するとされているカリウム(K)。
航空機モニタリング こうくうきもにたりんぐ ヘリコプター等に感度の高い検出器を搭載して飛行しながら行う放射線測定のこと。広い範囲を短時間に測定できる特徴がある。
甲状腺 こうじょうせん 喉頭の下にある蝶形の臓器で甲状腺ホルモンを分泌して物質代謝を促進し、身体の成熟を促進する働きがある。ヨウ素が集まりやすい性質があり放射性ヨウ素の影響が現れやすい臓器であるため、事故時の人体影響では特に注意を払う必要がある臓器の一つ。
高水時 こうすいじ 台風や洪水時において水位が高くなった状態。平常時に対する語。
高水敷 こうすいじき 河川敷の、低水路より一段高い部分の敷地。平常時には公園など様々な形で利用されるが、洪水時には水に浸かる。
校正 こうせい 必要とされる精度で放射線測定が行われることを担保するために、強度がわかった放射線源を使って放射線測定器の出力の精度を確認し、必要に応じて補正のための情報を提供する行為。
行動調査 こうどうちょうさ 全ての福島県民に対し質問票を配布して行われた、福島第一原子力発電所事故から4ヶ月の住民の行動の調査。
個人線量計 こじんせんりょうけい 個人が受ける被ばく線量を推定するために体の表面に装着して使用する放射線測定装置。線量が連続して表示される電子式の線量計や、積算線量を後で読み取るパッシブ型の線量計、また、福島事故後に開発され被ばくの履歴が記録されるDシャトル等がある。
混交林 こんこうりん 主な構成樹種が2種類以上ある森林。単一の樹種の場合は単純林という。
さ行
サーベイメータ さーべいめーた その場で測定値を確認できる携帯用の放射線測定器。空間線量率や表面汚染の測定に用いられる。
再集積 さいしゅうせき ここでは、放射性セシウムがダム下流域の特定の場所に集積することを指す。
再浮遊 さいふゆう 地表面等に沈着した放射性物質が風などの働きで空気中に舞い上がること。
シーベルト(Sv) しーべると 線量の単位で1キログラム(1kg)の物質に1ジュール(1J)のエネルギーが付与されたことを意味する。ただし純粋な物理量ではなく、人体影響の度合いを考慮して補正をおこなった線量に対して使用する単位。
指数関数 しすうかんすう ネズミ算のように倍倍で増えたり減ったりする様子を表す関数。
自然放射線 しぜんほうしゃせん 自然界にもともと存在する放射性物質(ウラン系列核種、トリウム系列核種、K-40)から放出される放射線や宇宙からやってくる放射線。これに対して人間の活動により生み出された放射線を人工放射線と呼ぶ。
実効線量 じっこうせんりょう 人体全体の放射線防護を考えるための線量。人体の臓器・組織が受ける等価線量に放射線感受性に関係した重み付けを行い、全身にわたって積算した線量になる。被ばく線量を評価するのに広く用いられる。単位はシーベルト(Sv)で、空間線量の測定で得られる周辺線量当量(同じくシーベルトを用いる)とは異なる。
湿性沈着 しっせいちんちゃく 雨、霧や雪など大気中にさまざまな形で存在する凝結態の水分を媒体にして、大気汚染物質等が地表に降下する現象をいう。
シミュレーション しみゅれーしょん 模擬実験。解析したい体系やそこで起こる現象をまねて、他の実験装置やコンピュータを用いた実験を行い、実際の現象について調べること。最近ではコンピュータを用いた模擬実験の意味で使われることが多い。
遮へい(遮蔽) しゃへい 人体の受ける放射線量を減らす等の目的で、様々な材料を用いて放射線を減衰させること。
遮蔽効果 しゃへいこうか 放射線が物質と反応することにより減少する効果のこと。放射線は物質を透過する際、吸収されたり散乱されたりしてその量が減少する性質がある。
周辺線量当量 しゅうへんせんりょうとうりょう 被ばく線量である実効線量は直接に測定することができない。実効線量を、余裕を持って高めに推定するために周辺線量当量という線量が空間線量の測定に使用されている。周辺線量当量は放射線取扱施設内の線量を測定するために考案された線量であるが、環境中での空間線量率の測定にも使用される。環境中では周辺線量当量に0.6をかけると成人の実効線量が得られることがシミュレーションによりわかっている。
樹冠 じゅかん 樹木の地上部(幹、枝、葉)のうち、幹や枝、葉のある部分。
樹幹 じゅかん 木の幹。木の主要構造であり、枝を支え、根に直接つながり支えられている。
樹幹流 じゅかんりゅう 森林に降った雨水のうち、樹幹を伝わって流れる雨水。
樹脂 じゅし ここでは、天然樹脂を指し、樹木が分泌する固体または半固体の物質。マツやカラマツは樹脂を材中に多く含む。脂(やに)ともいう。
常緑樹 じょうりょくじゅ 葉を落とす特定の時期がない樹木。
初期沈着 しょきちんちゃく 2011年3月の東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所事故後に、地表に降下した放射性セシウムを含む放射性物質の沈着。
シルト しると 土壌粒子のうち、粒径が比較的粒径の小さいものの一つ。福島長期環境動態研究では、シルトは粒径が63μmから4μmの粒子を指し、それより細粒を粘土、粗粒を砂としている。
心材 しんざい 木部中心部の色の濃い部分。樹脂が多く、強度と耐久性に優れ、含水率が低い。心材は全て死細胞。
侵食 しんしょく 雨や風などにより土壌が削られて流出すること。
針葉 しんよう 葉が針のように細長いマツやスギ等の樹木を針葉樹といい、その針葉樹の葉を指す。
水系 すいけい 同じ流域内にある本川、支川、派川及びこれらに関連する湖沼。
水中バイブレーションコアサンプラー すいちゅうばいぶれーしょんこあさんぷらー コアサンプラーの一種で、柱状の底質試料を不攪乱で取得することができるが、特にバイブレーションを加えることにより、自重沈降するコアサンプラーより深く底質に貫入することができるため、より深部の底質の放射性Csの分布を把握することが可能である。福島長期環境動態研究におけるダムの調査では、底質表面から約80cm深さまでの柱状試料を採取している。
スクリーニング検査 すくりーにんぐけんさ 食品中の放射性物質の濃度が基準値よりも確実に低いことを簡易な測定器により確認する検査。濃度の値を正確に測定することが目的ではなく、明らかに濃度が低い食品を効率良く選別することが目的である。測定する試料の数が多くかつその大部分の濃度が基準値よりもかなり低いと考えられる場合に有効に使用される。
スクレーパープレート すくれーぱーぷれーと 土壌深さ方向に層別の試料を採取するための道具。地表面に金属製の枠を設置し、枠内の土を少しずつ削り取りながら土壌試料を採取する。薄く土壌を剥ぎ取ることが可能であり、異なる試料間で土が混ざる危険性が小さい優れた方法であるが、土壌の採取に相当の時間とある程度の熟練を要する。
生分解 せいぶんかい バクテリアや菌類等の生物により化合物が無機物に分解されること。
セディメントトラップ せでぃめんととらっぷ 水中を沈降する粒子(沈降粒子)を集める装置。沈降粒子を集める期間を任意に設定することが可能であるため、一定期間における粒子に吸着した放射性セシウムの濃度や粒径を量を調べることにより、沈降粒子の量や放射性セシウム濃度等の経時変化等を調査することができる。
線源 せんげん 放射線を出す性質を持つものを一般的に(放射)線源と呼ぶ。事故により放出された放射性物質は環境中の線源であり、測定器のチェックのために人間により作られた放射性物質は校正用の線源である。
全ベータ放射能 ぜんべーたほうしゃのう ベータ線はストロンチウムや炭素等が放出する放射線であり、ベータ線の測定により放射能濃度等を調べる。ベータ線は透過性を低く飛程も短いため、試料自体の自己吸収や試料と検出器の間の空気層による吸収等のため、ガンマ線に比べると検出が難しい。そのため計測対象の放射性核種を化学的な前処理等によって凝集させることにより、濃度等の計測を行うことが一般的である。
線量換算係数 せんりょうかんざんけいすう 実測された量から被ばく線量を計算するための換算係数。環境中では空間線量から実効線量への換算係数、土壌沈着量から実効線量への換算係数などがある。一般に線量換算係数は人体モデルを利用したコンピュータシミュレーションにより得られる。
全量検査 ぜんりょうけんさ 市場に出回る可能性のある生産物全てを対象に行う検査のことを指す。全量検査を行うには一般に大きな労力が必要だが、住民の安全•安心に果たす役割は大きい。
線量率 せんりょうりつ 単位時間当たりの放射線量。単位としては、Sv/h、mSv/h(ミリシーベルト=10-3Sv/h)、μSv/h(マイクロシーベルト=10-6Sv/h)などが用いられる。
相関関係 そうかんかんけい 数学で一方が増加すると他方が増加または減少する2つの変量の関係。
走行サーベイ そうこうさーべい 自動車に放射線測定器を積み込み走行しながら連続で放射線測定を行うこと。広範囲の測定を短時間に行うことが可能である。
測定の相互比較 そくていのそうごひかく 異なる測定装置を用いて同じ条件で測定を行い、結果を比較して測定値の違いの程度を確認すること。
粗大有機物 そだいゆうきぶつ 水系を流れる数mmサイズ以上の有機物。ここでは15mm以上の有機物を指す。
た行
体外計測装置 たいがいけいそくそうち 体内に取り込まれた放射性物質が出す放射線を体外で測定することにより、体内に取り込まれた放射性物質の量を推定するための装置。測定対象の範囲により全身カウンタ、甲状腺モニタ、肺モニタなどに分類される。全身に分布する放射性セシウムに対しては全身カウンタを用いた測定が、甲状腺に集まる放射性ヨウ素に対しては甲状腺モニタを用いた測定が行われる。
大気の拡散シミュレーション たいきのかくさんしみゅれーしょん 風の流れや空気の乱れなどに乗って物質が大気中を動いていく様子をコンピュータを用いて再現するシミュレーション。事故の影響を予測したり解析したりするのに広く用いられる。
濁度 だくど 水の濁りの程度を表す指標であり、土壌やその他の浮遊物質の混入等によるである。JIS(日本工業規格)に測定方法が定められている。
立木 たちき/りゅうぼく 倒れたりせず立っている樹木。通常、生きている樹木を指す。
脱離 だつり 化合物から原子や分子が離れる現象。ここでは土壌中の放射性セシウムが水に溶け出る現象を指す。
淡水 たんすい 塩分濃度の低い水の総称。河川水、湖沼水、地下水、氷河等の状態で存在する。塩分濃度の基づく区分では、0.05%未満の水。
団粒 だんりゅう 土壌を構成する砂や粘土サイズの粒子が凝集し、数mmから5mm前後の安定した塊となっているもの。砂や粘土などを一次粒子、団粒を二次粒子とも呼ぶ。
地衣類 ちいるい 地衣類は菌類と藻類の共生体で、世界中に広く分布する。日本では約1,700種が知られており、その外形によって葉状地衣類、樹枝状地衣類、固着地衣類に区別される(ウメノキゴケ類は、葉状地衣類である)。地衣類は季節に関わりなく年間を通して生長する。生長速度は年間数mm程度で、寿命は数十年程度と見込まれる。大気汚染に敏感な地衣類や重金属を吸収しやすい地衣類は、それぞれ大気汚染の指標や重金属汚染モニタリングにも利用されている。
チョルノービリ(チェルノブイリ)事故 ちぇるのぶいりじこ 1986年に旧ソビエト連邦のチョルノービリ(チェルノブイリ)で起きた史上最大の原子力事故。大量の放射性物質が放出され、現在も原子炉から30kmの範囲内では一般人の居住が制限されている。
中央粒径 ちゅうおうりゅうけい 湖底の底質等は様々な粒度の粒子の集合体であるが、どのような大きさの粒子がどのような割合で含まれているかを示す指標の一つ。中央粒径は特に粒度分布が粗い方、もしくは細かい方から積算して50%となる粒径値。
中長期 ちゅうちょうき 事故による放射性物質の大気中への放出がおさまり、沈着した放射性物質による被ばくが主要な被ばく源となる時期以降を中長期と定義する。チョルノービリ(チェルノブイリ)のように事故の規模が大きい場合には数十年にわたり被ばくが続くことになる。
直接放出 ちょくせつほうしゅつ 放出元から海洋環境に放射性核種を含む汚染水等が直接放出されること。例えば、2号トレンチからの高濃度汚染水の漏えいなどがある。
沈降粒子 ちんこうりゅうし 水中を沈降する粒子。
沈着 ちんちゃく 事故等により大気中に放出された放射性物質が土や樹木、その他の地上の物体に付着して留まること。雨や雪が降っている場合に起きる湿性沈着と、降っていない場合に起きる乾性沈着に分類される。一般に事故時には湿性沈着がより重要な役割を果たすと考えられている。
沈着量 ちんちゃくりょう 土壌へ沈着して残留している放射性核種の放射能量。深さ方向に積算した単位面積当たりの放射能量(平方メートル当たりのベクレル数:Bq/m2)で表現される。
追加被ばく線量 ついかひばくせんりょう 事故により放出された放射線物質による被ばく線量。自然放射線による被ばく線量と分離して評価する。個人線量計による測定値の場合は、自然放射線の寄与を一定値と仮定して差し引くことが広く行われる。
底質 ていしつ 湖沼、海洋、水路等において水底を構成している表層。
低水路 ていすいろ 河川敷の常に水が流れているところ。
底生魚類 ていせいぎょるい 海の底部で生息する魚類の総称。底魚。カレイ、ヒラメ、アンコウ等が含まれる。
底層水 ていそうすい 海や湖沼等の底層の水。表層水に対する語。
T(テラ) てら 1012(1兆)倍の量であることを示す語。
天然放射性物質 てんねんほうしゃせいぶっしつ 自然界にもともと存在する放射性物質であるウラン系列核種、トリウム系列核種、K-40等のこと。あらゆる場所に存在し、継続して放射線を出している。
等価線量 とうかせんりょう 特定の人体・組織に注目して放射線防護を考えるための線量。例えば甲状腺、皮膚、生殖腺等の個々の臓器や組織を対象に防護を考えるときに用いられる。単位は実効線量と同じシーベルト(Sv)になるが、実効線量とは異なる線量。専門的には、放射線の種類とエネルギーによる生物影響の違いを考慮して補正した線量になる。
頭首工 とうしゅこう 河川や湖沼から用水路に水を引き入れる施設。
特定復興再生拠点区域 とくていふっこうさいせいきょてん 帰還困難区域内において、避難指示を解除して居住を可能とする区域。
土質 どしつ 硬質な地盤や岩盤を対象とする地質と異なり、主として軟らかい地盤を対象とした土の性質。原位置で行う試験、採取した試料を用いて現場で行う試験、採取した試料を用いて実験室等で装置を用いて行う土質試験等で評価する。
土壌 どじょう 岩石の破砕物と生物活動に由来する有機物。
トリチウム とりちうむ 水素原子のうち、放射性物質であり質量が通常のものより重いもの。三重水素。天然にも存在するが原子力施設からも放出されており、モニタリング項目に含められている。
な行
内部被ばく ないぶひばく 呼吸や食事により体内に取り込んだ放射性物質から出される放射線による被ばく。放出された場所の近くでエネルギーの大半を与えるアルファ線やベータ線は、内部被ばくで特に重要な役割を果たす。
n(ナノ) なの 10-9(10億分の1)倍の量であることを示す語。
入射方向 にゅうしゃほうこう 放射線測定器に対して放射線が入射する方向のこと。入射方向により放射線測定器の感度が異なるため、その影響を確認しておくことが必要である。
粘土鉱物 ねんどこうぶつ 土壌を構成する粒子のうち、粘土に相当する粒径を有する微細粒子の鉱物であり、主に層状の結晶構造を有する鉱物を指す。風化や変質等により、層状の層間に放射性セシウムを強く吸着するサイトが形成される場合がある。
は行
パーセンタイル ぱーせんたいる 小さいほうから順番にならべた時に何%目に当たるかを示す語。この場合は、多くの人が被ばくした場合、被ばく線量が小さい人から順番に並べた時に全体の人数の90%目に当たる人の被ばく線量が90パーセンタイルの被ばく線量になる(100人が被ばくした場合では、低い線量から並べて90人目)。
バーミキュライト ばーみきゅらいと 黒雲母の風化により生じる粘土鉱物の一種。
ハイボリウムエアサンプラ はいぼりうむえあさんぷら High-volume air sampler。ろ紙を通して空気を収集する集塵器のうち、吸引容量の大きいもの。
80km圏内 はちじっきろめーとるけんない 福島第一原子力発電所から半径80km以内の地域のこと。
バックグラウンド ばっくぐらうんど 対象とする物質以外からの放射線(例えば、土壌等に含まれる自然の放射性物質や宇宙線)による値。
パラメータ ぱらめーた ここでは、空間線量率の将来予測に用いられる2成分式において環境条件により変わる補助の変数(環境半減期等)を意味する。
半減期 はんげんき 自然に放射線を放出して他の原子に変わる原子である“放射性核種”の、量の半分が別の原子に変わるまでに要する時間。放射性核種ごとに固有であり、その放射性核種が置かれている物理的・化学的環境には依存しない。
微細土壌粒子 びさいどじょうりゅうし 土壌粒子のうち、粘土やシルト等の粒径の小さいもの。
避難指示区域 ひなんしじくいき 事故による住民の生命・身体の危険を回避するために住民の居住を制限した地域のこと。現在、避難指示区域は放射線のレベルにより避難指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域に大別される。
被ばく線量 ひばくせんりょう 被ばくした放射線の量(人体が放射線にさらされることを被ばくと呼ぶ)。通常の放射線被ばく管理では、人体の「吸収線量」を表すグレイ(Gy)に放射線の種類ごとに定められた値を乗じた「等価線量」、等価線量に組織や臓器の放射線感受性を考慮した値である「実効線量」が用いられ、いずれも単位はシーベルト(Sv)で表す。
標準線源 ひょうじゅんせんげん 放射線測定器の校正に用いられ、基準となる放射線エネルギー、放射能、線量率等が高い精度でわかっている放射線源のこと。標準線源では信頼のおける国家標準との関係が明らかになっていることが必要とされる。
表層水 ひょうそうすい 海や湖沼等の表層の水。底層水や深層水に対する語。
表面線量率 ひょうめんせんりょうりつ 空間線量率同様に、ある時間内に空気中を通過する放射線の量。通常1cmの高さを計測する。
表面流 ひょうめんりゅう 地表面を流れる水流。降雨の際、土壌に浸透しきれない雨水が地表面を流れる場合や、土壌に一度浸透した水が地表面に現れて流れる場合などがある。
ファントム ふぁんとむ 線量評価等に使用される、人体をモデル化した物体。ファントムは実体のある物理ファントムとシミュレーション計算に使用される数値ファントムに分類される。
腐朽 ふきゅう 木材の主成分が微生物によって分解される現象。
福島県民健康管理調査 ふくしまけんみんけんこうかんりちょうさ 福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ、県民の被ばく線量の評価を行うとともに、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図ることを目的とし福島県が実施している調査。
物理減衰 ぶつりげんすい 放射性核種の量がそれぞれの核種に特有の半減期にしたがい減少すること。
浮遊懸濁物質 ふゆうけんだくぶっしつ 水中に浮遊する粒子径2mm以下の物質。土壌粒子や植物片等の有機物、鉱物片等からなる。
フラックス ふらっくす どこかから別のどこかへ流れる物(ここでは放射性セシウム)の量のこと。
プロット ぷろっと ここでは、調査や観測を行う比較的小さな区画を指す。
平常時 へいじょうじ 台風や洪水時以外の、水位が高くなっていない状態。高水時に対する語。
P(ペタ) ぺた 1015(1000兆)倍の量であることを示す語
辺材 へんざい 木部の外方で心材の周辺にある白っぽい部分。デンプン等が多く、通常は含水率が高いため、心材と比較し耐久性が低い。生きた細胞のある部分。
防護衣 ぼうごい 放射線による外部被ばくや放射性物質による汚染や吸入による内部被ばくを防ぐ防護具。鉛を含んだつなぎ服、手袋、めがね、マスク等があり、作業環境と目的に応じて使い分ける。
放射性核種 ほうしゃせいかくしゅ 自然に放射線を放出して他の原子に変わる原子の種類。天然放射性核種と人工放射性核種とがある。放射線を放出して変化する性質や放出する能力そのものを放射能という。
放射性物質のモニタリング ほうしゃせいぶっしつのもにたりんぐ 環境中の放射性物質のレベルを調べるための測定。環境中の水、空気、食物等に含まれる放射能濃度(Bq/kg:ベクレル/キログラム)の測定を、ゲルマニウム検出器等を用いて行う。
放射性ヨウ素 ほうしゃせいようそ 事故直後の被ばくにおいて重要な役割を果たすと考えらえる放射性物質。甲状腺に集まりやすい性質があるため、内部被ばくにおいて特に重要な被ばくをもたらす場合がある。
放射線検出器 ほうしゃせんけんしゅつき 放射線を検出するための装置。放射線と物質との反応を利用して、放射線のエネルギーを光、電流などに変換することで検出する。
歩行サーベイ ほこうさーべい 人間が放射線測定器を持ち運び歩きながら行う放射線測定のこと。人間の生活に関係した放射線の測定が可能である。
保守的 ほしゅてき 不確かな情報を評価する際に、結果が過小とならないようにおく仮定。原子力災害直後の被ばく線量や健康に対する評価に適用され、実際の結果より過大な評価が出されることとなる。
ポット試験 ぽっとしけん 農作物を対象に、圃場(ほじょう)試験等に対してより精密な試験や実験を行う際に用いられる方法。灌水(かんすい)量や施肥量を調整しながら試験を行うことができる。
ま行
マーケットバスケット法 まーけっとばすけっとほう スーパーマーケット等で売られている食品を購入し、その中に含まれている放射性物質の濃度を測定し、その結果に食品摂取量をかけて合計することで、住民がどの程度の放射性物質を体内に取り込むか推定する方法。
μ(マイクロ) まいくろ 10-6(100万分の1)倍の量であることを示す語。
マップ調査 まっぷちょうさ 国の委託による、大規模な環境測定と汚染マップ作成を主目的とした環境調査プロジェクトの通称のこと。2011年6月に第1回調査が開始され、その後も継続的に繰り返し調査が行われてきた。
M(メガ) めが 106(100万)倍の量であることを示す語。
木材 もくざい 様々な材料・原料として用いるために伐採された樹木の木部。
モニタリング もにたりんぐ 対象とする自然環境の状況について継続的あるいは定期的に行う調査。
や行
有機物 ゆうきぶつ ここでは、生物に由来する炭素原子を含む物質の総称。炭水化物、脂肪、たんぱく質等。
溶存態 ようぞんたい イオンのように、水に溶けている状態。
溶脱 ようだつ ここでは、土壌を構成する化学成分が、水との反応によって除去され土壌の下層へ移動することを指す。
預託実効線量 よたくじっこうせんりょう 体内に取り込んだ放射性物質により生涯に受ける被ばく線量(実効線量)の総量。外部被ばくの場合は放射線が当たっている時だけに被ばくが起きるのに対し、内部被ばくの場合は体内に取り込んだ放射性物質が長期に体内に残り被ばくを継続的に与えるために、このような線量を考える。線量の加算について成人の場合は50年間を、子供の場合は70歳になるまでの期間を考慮する。
ら行
落葉層 らくようそう 土壌の上にある落葉や落枝とそれらが分解して形成された有機物からなる層。リター層を含む。
ラドン(Rn) らどん 放射性核種であるウラン(U)が崩壊してできる放射性核種。気体であり、大気中の自然放射能の大部分を占める。
リター層(L層) りたーそう A0層の一部。植物の葉、枝、樹皮、果実等が分解されずに地表面に堆積している層。Oi層ともいう。
粒径分布 りゅうけいぶんぷ 粒子の直径に相当する値の分布。対象となる堆積物や底質中に、どのような大きさの粒子がどのような割合で含まれているかを示す指標。
流出率 りゅうしゅつりつ ある一定面積に存在する放射性セシウムの総量のうち、どの程度の割合の放射性セシウムが流出したかを示す。森林域の場合には、放射性セシウムの流出量(Bq/m2)÷調査地における放射性セシウム総量(Bq/m2)から算出し、100倍してパーセント表示とする。
流亡 りゅうぼう 雨水等による侵食により、土砂が移動し流出すること。
林床 りんしょう 森林内の地表面及び地表面に近い所。
林床被覆率 りんしょうひふくりつ ここでは、森林内の地表面である林床がリター層で覆われている割合を指す。
林内雨 りんないう 樹冠の枝や葉を通過し林床に降る雨水。
レボグルコサン れぼぐるこさん 糖類の一種で、セルロースの不完全燃焼によって生成される有機物。森林火災などのバイオマス燃焼に特有の指標として広く利用されている。
ろ過 ろか 液体等に固体が混ざっている混合物を、細かい孔が多くあいた材料(ろ材)に通して、孔より大きな固体粒子を分離する操作。
A~Z
A0層(落葉層) Aぜろそう(らくようそう) 落葉や落枝とその腐朽途中の有機物からなる。灰色や黒色を呈する。腐朽の程度により、リター層(L層)、F層、H層に細分される。堆積有機質層あるいは堆積腐植層ともいう。
A層 Aそう A0層の下位にあり、腐植に富み膨潤で柔らかく、密度が小さい。植物の細根に富み、微生物や土壌動物の活動が活発。黒褐色を呈することが多い。土壌が小さな団子状(団粒)を呈する場合が多い。鉱質土層(無機質土層)の最表層。
B層 Bそう A層の下位にあり、明るい色調で腐植が少ない鉱質土層。A層から溶脱した鉄や腐植が蓄積する土壌もある。褐色森林土の場合は明るい褐色を呈する。
C層 Cそう 岩石の礫(れき)が多く、土壌の母岩である基盤岩の性質が強く残る。土壌の生成作用はあまり受けていない。
F層 Fそう A0層の一部。L層の下に位置し、落葉・落枝などが、ある程度細かく分解され原形は失われているものの、肉眼で元の組織が認められる層。Oe層ともいう。
H層 Hそう A0層の一部。肉眼ではもとの組織が判別できない程にまで分解が進んだ層。Oa層ともいう。
UNSCEAR United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)放射線による被ばくの程度と人間への影響を評価して報告するために国連により設置された委員会。これまでに自然放射線、医療被ばく、チョルノービリ(チェルノブイリ)事故等を対象に多くの報告書を公刊してきた。福島事故については2013年に報告書を公刊して、被ばく線量の評価等を行っている。
WSPEEDI-II World wide vision of System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information 世界版緊急時環境線量情報予測システム第2版。
PHITS Particle and Heavy Ion Transport code Systemの略。原子力機構の開発した、あらゆる物質中での様々な放射線挙動を核反応モデルや核データなどを用いて模擬するモンテカルロ計算コード。