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放射性物質の動き-河川Radioactivity Dynamics in River System

(2018年 更新)

川の付近は危なくないですか。川の水に溶けたセシウムがまだ流れているのですか。

環境省は、平成27年(2015年)に河川・湖沼における汚染状況のデータを整理し、その環境中において、水辺のレクリエーション活動を行った際に受ける被ばく線量について試算を行いました。

その結果、安全側に考えても、水辺のレクリエーション活動における被ばく線量は、20日間で最大0.03ミリシーベルトとなりました。これは、避難指示の基準である1年間20ミリシーベルトに比べて十分に低い値です。

河川 湖沼
設定ケース※ 平均的なケース 保守的なケース 平均的なケース 保守的なケース
底質の放射性セシウム濃度(Bq/kg) 200 2,000 500 5,000
周辺環境の空間線量率(µSv/h) 0.3 0.6 0.2 0.5
被ばく線量(試算)(mSv) 0.013 0.031 0.0086 0.030

表1 水辺のレクリエーションにおける被ばく線量の試算結果(環境省 2015、一部改変)

底質の放射性セシウム濃度及び周辺環境の空間線量率について、福島県(避難指示区域を除く)の中央値、90%パーセンタイル値を踏まえ、平均的なケース及び保守的なケースを設定。
出典:環境省「環境回復検討会(第13回)」のうち資料5「水辺のレクリエーション活動における被ばく線量の試算について(概要)」(平成27年1月)


図1 水辺のレクリエーション活動について

図1 水辺のレクリエーション活動の例

河川敷には、上流から運ばれたセシウムが付着した土砂が堆積するため、セシウムが蓄積しやすい環境にあります。
私たちは、河川敷の土中のセシウム濃度の深さ方向の分布を、数年にわたって調査しました。

その結果、浅いところにはセシウム濃度が低い土砂がたまっていることがわかりました。これは、上流から運ばれる土砂の中のセシウム濃度が年々下がっていることを意味しています。
そして、濃度の低い土砂が上に覆いかぶさることで、放射線が遮られてむしろ線量は低下することがわかりました。


図2 請戸川(上)と熊川(下)の高水敷における放射性セシウム濃度の深さ分布の時間変化

図2 請戸川(上)と熊川(下)の高水敷における放射性セシウム濃度の深さ分布の時間変化
: 初期沈着
: ~2013年10月までの堆積
: ~2014年12月までの堆積

※図の単位は137Cs沈着量で、単位面積(1m2)あたり、厚さ1cmに存在する137Csの量を表しています。

私たちは、さらに川を流れる水中のセシウム濃度についても継続的に測定しています。
水の中で、セシウムは土砂や有機物に付着した状態(懸濁態)と、水に溶けた状態(溶存態)の2つの状態で流れています。
いずれの状態のセシウム濃度も時間とともに下がっていることがわかりました。

さらに、セシウム濃度の半減する時間は、物理的半減期といわれるセシウムが放射線を出して半減する時間に比べて早いことがわかりました。


図3 請戸川で観測された河川の溶存態セシウムの濃度変化

図3 請戸川で観測された河川の溶存態セシウムの濃度変化

土砂に付着した状態のセシウムが時間とともに低下することは、河川敷の放射線も低下することを意味しています。
一方、水に溶けた状態のセシウムは、淡水魚などの生態系への影響が下がることを意味しています。

なぜ、セシウム濃度の実際に半減する時間が物理的半減期よりも10倍も早いのか、それによって一部でなお続いている環境影響がどのように予測できるか、今も研究を継続しています。