放射性物質の動き-森林Radioactivity Dynamics in forests

(2015年 更新)

放射性セシウムが地表から地中、地下水へ移動する心配はありませんか。<リター層を流れる水中の移動>

福島県川内村の調査事例では、リター層を流れる水流(リターフロー)中の放射性セシウム濃度は、土壌やリターと比較して極めて低く、放射性セシウムの流出量も約0.01%未満(2ヶ月間)でした。川内村の調査事例では、地下水には放射性セシウムは検出されませんでした(2014年度時点)。

  • 川内村の調査事例では、リターフローによる放射性セシウムの流出量は少ない(秋から初冬)という結果が得られました。
  • 川内村の調査事例では、リターフローが確認された斜面の地下水(深さ80 cm)からは、137Csは検出されませんでした。

調査地(コナラ・スギ混交林)の様子(調査期間:2014年10∼12月)

図1 調査地(コナラ・スギ混交林)の様子(調査期間:2014年10~12月)

流出する斜面の面積 約 50 m2
流量 毎時 55 L
放射性セシウム濃度(137Cs) 約 0.050 Bq/L
134Csは検出されず)
斜面の放射性137Cs沈着量 リター:約 108 kBq/m2
土壌:約 527 kBq/m2
放射性セシウム流出量
(秋~初冬の約2か月間)
約 81 Bq/m2
→ 斜面の放射性セシウム沈着量の約 0.01 %

手動ポンプで、観測孔から地下水をくみ上げている様子

図2 手動ポンプで、観測孔から地下水をくみ上げている様子

  • 川内村内の広葉樹林において地下水を採取し、採取した水を0.45µmのフィルターろ過した後に、放射能濃度の測定を行いました。
  • 137Csは、通常の検出限界である1Bq/Lよりも下げて0.04Bq/Lとしても、検出されませんでした。

※0.45µmのフィルター:懸濁態溶存態を取り分けるために通常使用されるフィルター。
このサイズのフィルターを通過したものを溶存態、フィルター上に残存したものを懸濁態に通常区分します