放射性物質の動き-森林Radioactivity Dynamics in forests

(2019年 更新)

雨が降ると、森林から放射性セシウムが土砂とともに流出するのではありませんか。<斜面及び河川からの流出量>

流域全体から流出する放射性セシウム量は、斜面からの流出量と比較して、より少ない可能性があります。これは、斜面から流出する放射性セシウムがすべて河川に到達していないことを示唆します。

福島県川内村の調査事例では、山地森林の斜面に設置した観測プロットから流出する放射性セシウム量と比較して、小水系(人が立った時に見渡せる程度の水系)から流出する放射性セシウム量は、1桁少ない値でした。

観測プロットの概念図

図1 観測プロットの概念図

表1 川内村荻地区スギ林の急傾斜地観測プロットにおける土砂・放射性セシウム流出量・流出率
(2013年11月19日~2014年10月20日)

A 土壌流出量(1年間、1m2あたり) 0.012 kg/m2
B 流出土壌の放射性セシウム濃度(137Cs) 16 kBq/kg
C 放射性セシウムの流出量(1年間、A×B) 0.19 kBq/m2
D 観測プロット周辺土壌の放射性セシウム沈着量 770 kBq/m2
放射性セシウムの流出率(1年間、C/D) 0.03 %

表2 川内村荻地区における小水系スケールでの流出土壌・放射性セシウム量
(2014年6月27日~2014年9月30日(3ヶ月間))

A 土壌流出量(3ヶ月間、流域全体) 4.9 kg
B 流出土壌の放射性セシウム濃度(137Cs) 約64 kBq/kg
C 流域54,000m2あたり放射性セシウムの流出量(3ヶ月間、A×B) 約314 kBq
D 1m2あたり放射性セシウムの流出量(3ヶ月間、C/54,000) 約0.0058 kBq/m2
E 1年あたりの放射性セシウムの流出量(D×4) 0.023 kBq/m2