被ばく線量評価・除染Assessment of Exposure Doses and Decontamination
(2019年 更新)
Q除染の効果は予測できますか。
A原子力機構では、除染の効果や将来の空間線量率を短い計算時間で精度よく予測できる除染活動支援システム“RESET(リセット)”を開発しました。
その後、より簡便に除染の効果など空間線量率を推定できる空間線量率評価モデル“ADRET(アドレット)”、逆に地形や地上構造物などの影響までも考慮できる高度な線量率評価モデル“3D-ADRES(スリーディーアドレス)”を開発しています。
RESETは、福島第一原子力発電所の事故で汚染された地域の除染事業を支援することを目的として開発され、これまで、除染を進める福島県内の市町村、福島県、環境省等で利用頂いてきました。また、県内外の市町村等からの依頼に応えて除染のシミュレーションや空間線量率の将来予測等を行ってきました。
ADRETは、平たんな土地において、土の中のセシウム分布に基づいて空間線量率を計算するモデルです。
下の図は、ある機関からの依頼を受けて、除染によって表土を削った場合にどの程度線量率が下がるかを推定した例です。
3D-ADRESは、地形の起伏や樹木、地上構造物がある複雑な場所において、空間線量率を計算するモデルです。線量率分布や除染の効果の詳細な評価を志向しています。
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参考文献
- 長尾ほか(2019), 福島における放射性セシウムの環境動態研究の現状(平成30年度版), JAEA-Research 2019-002, 235p.
- 山下・沢田(2020), 福島県の帰還困難区域の除染シミュレーションと将来予測, JAEA-Research 2019-010, 227p.
- Malins et al.(2016), Evaluation of ambient dose equivalent rates influenced by vertical and horizontal distribution of radioactive cesium in soil in Fukushima Prefecture, Journal of Environmental Radioactivity, Vol.151, Part 1, 38-49p.
- Kim et al.(2019), Simulation study of the effects of buildings, trees and paved surfaces on ambient dose equivalent rates outdoors at three suburban sites near Fukushima Dai-ichi, Journal of Environmental Radioactivity, Vol.210, 105803.
- 佐久間ほか(2018), 福島県内を想定した複雑な実環境中での空間線量率分布解析システム(3D-ADRES)の研究開発; リモートセンシング情報の活用と各環境因子(地形・土壌・建物・樹木等)の影響評価, RIST News, 64号, 3-16p.