放射性物質・空間線量率Radioactivity and Air Dose Rate

(2016年 更新)

除染方法によって、空間線量率の低減に違いはありますか。【解析事例】

田畑の除染方法である表土剥ぎ取り、反転耕、天地返しに対して空間線量率の低減効果を解析し、除染モデル事業における実験結果と比較し、除染効果の検証を行いました。
さらに、放射性セシウムの深度分布、除染対策を行う深度、除染効果の関係等について明らかにし、放射性セシウムの深度方向への移行とともに除染効果が低下する可能性を示しました。

  • 表土剥ぎ取り(A1)

    図1 表土剥ぎ取り(A1)

  • 天地返し(A3)

    図2 天地返し(A3)

  • 反転耕(A4)

    図3 反転耕(A4)

表1は、それぞれの除染方法について、2011年に原子力機構が国から受託した除染モデル事業の実測の結果と、空間線量率評価モデルADRETを利用した計算結果を比較したものです。
計算値は実測値と近い結果となっており、計算が正しく行われていることを示しています。表土剥ぎ取りによる除染効果が一番大きくなっています。

除染方法 除染効果(線量率の低下割合)
実測値(除染モデル事業) 解析値(中心)
表土剥ぎ取り(A1) 40~70% 73%
天地返し(A3) ~65% 68%
反転耕(A4) 30~60% 54%

表1 シミュレーション結果と実測値との比較

図4は、セシウムがどれだけ土壌に浸透しているかによって、また、除染する深さによって、どの程度空間線量率が下がるかを示した図です。
除染する深さが大きいほど線量率は下がります。またセシウムが浅いところに分布しているほど除染効果が大きいことを示しています。

表土剥ぎ取り(A1)

図4 セシウムの深度分布と除染効果の推定