被ばく線量評価・除染Assessment of Exposure Doses and Decontamination

(2017年 更新)

汚染土壌から効率的に放射性セシウムを取り除く方法はありますか。

放射性セシウムを強く吸着する粘土鉱物に、反応促進剤として混合塩(NaCl-CaCl2)を加え、比較的低温で加熱し、水洗いすることで、放射性セシウムを除去できることがわかりました。

(a)混合塩添加無し(b)混合塩添加有り

図1 高輝度放射光により測定した、室温から加熱した場合のセシウム吸収端X線吸収スペクトル

(a)混合塩を添加しない場合、室温~700℃~室温の一連処理において形状に違いは見られません。
(b)一方、混合塩を添加した場合、加熱前後で異なるスペクトル形状になりました。これは混合塩を添加して加熱することでCs周辺の構造が大きく変化したことを意味します。

風化黒雲母からCsが取り除かれる様子

図2 風化黒雲母からCsが取り除かれる様子

高輝度放射光によりCs周りの構造を知ることができます。最初に酸素と結合していたCsは、混合塩を添加して加熱し、その溶融塩を冷却する過程で酸素ではなく塩素と結びつく様子が分かります。

混合塩添加により加熱処理を行った後に粘土鉱物中に含まれるCsの残量

図3 混合塩添加により加熱処理を行った後に粘土鉱物中に含まれるCsの残量

700℃加熱では、Csが効率よく除去されていることが分かります。