放射性物質・空間線量率Radioactivity and Air Dose Rate

(2014年 更新)

セシウムは土にどのようにくっついているのですか。

セシウムは、土を作っている粘土鉱物と呼ばれる微細な鉱物にくっつきやすい性質があります。粘土鉱物は、シリカ原子や酸素原子を中心としてマグネシウム原子などを含む層状の平板になっており、全体として負に帯電しています。
セシウムは陽イオン(Cs+)なので、粘土鉱物に電気的にくっつきやすいのですが、特に層の間や、ささくれだった層の切れ端(フレイドエッジ)に強くくっつくと考えられています。

風化黒雲母への放射性セシウムの取り込みモデル

図1 風化黒雲母への放射性セシウムの取り込みモデル

風化黒雲母は層状の構造をしています。フレイドエッジと呼ばれる膨潤層から放射性セシウムが侵入し、放射性セシウムが吸着すると層間が閉じて強く固定されるなどの例が指摘されています。


ドミノ倒し的に吸着するセシウムイオンとバーミキュライトの構造変化

図2 ドミノ倒し的に吸着するセシウムイオン(Cs+)とバーミキュライトの構造変化

層状構造を示すバーミキュライトのような粘土鉱物の膨潤層に存在するマグネシウムイオン(Mg2+)が、Cs+と置き換わる過程を示しています。一つのCs+の侵入は、さらなるCs+の侵入を助ける環境をつくるとともに、効果的に局所的な粘土の電荷を中和する働きをします。