被ばく線量評価・除染Assessment of Exposure Doses and Decontamination

(2016年 更新)

市街地は除染されましたが、セシウムは残っていないのですか。

私たちは2015年に、除染されていない帰還困難区域内での畑地や駐車場、さまざまな素材の屋根、建物の壁などでのセシウムの付着量を調べました。
その結果、コンクリートやアスファルトなど、建物や舗装面では除染していないにも関わらずセシウムが残っている割合が少ないことがわかりました。
一方で、土が露出している畑地や公園などでは、事故後に降ってきたセシウムがまだほとんど残っていると考えられました。これは、コンクリートやアスファルトにくっついたセシウムが風雨で少しずつ流されて減ってきたことを示しています。土にくっついたセシウムは動きにくいと考えられます。

環境省は、国や自治体が平成25年8月末までに実施した、約33,000の施設等を対象に除染の効果を取りまとめました。場所により異なりますが、除染により空間線量率は平均30~50%低下しました。

地表面から1m高さの空間線量率土地区分毎の変化

図1 地表面から1m高さの空間線量率 土地区分毎の変化

出典:環境省 除染情報サイト『除染・事後モニタリングの結果(除染特別地域全体)』(URL:http://josen.env.go.jp/area/)

注:宅地、農地、森林、道路の空間線量率の平均値(測定点データの集計)

  • 宅地には学校、公園、墓地、大型施設を、農地には果樹園を、森林には法面、草地・芝地を含む。
  • 除染後半年から1年に、除染の効果が維持されているか確認をするため、事後モニタリングを実施。
  • 各市町村の事後モニタリングデータはそれぞれ最新の結果を集計。

除染後の継続的な測定によって、再汚染によって空間線量率が再び上昇することはないことが確認されています。

帰還困難区域除染モデル実証事業の空間線量率の推移

図2 帰還困難区域除染モデル実証事業の空間線量率の推移

出典:環境省・除染情報サイト『帰還困難区域除染モデル実証事業の空間線量率の推移について(第8回・第9回、p3)』(URL:http://josen.env.go.jp/area/pdf/transition2_180323.pdf)


図3 大熊町での測定結果(2016年測定)

  • 草地に囲まれた舗装道路の横断方向に線量率を測定すると(除染されていない場所)、道路中央で低く、道路から離れると高い傾向がありました。
  • 道路では雨の排水や清掃などに伴って放射性セシウムも移動しているためと考えられます。