生態系への影響Effects on Ecosystem

(2020年 更新)

渓流魚に取り込まれる放射性セシウムはどこから来たものですか。セシウム濃度はこれからどうなりますか。【解析事例】

環境モニタリングデータを用いて分析した結果、渓流魚に取り込まれるセシウムは、異なる3つの経路(図A参照)から供給されることがわかってきました。
今後、渓流魚のセシウム濃度は継続的に低下していくことが期待されますが、将来予測のためには、セシウムの動きや存在状態の更なる解明が必要です。

【河川水を経由して渓流魚に取り込まれるセシウムの供給経路】

  • ① 樹木から河川に直接落葉し溶出する経路
  • ② 落葉層から河川へ溶出あるいは流出する経路
  • ③ 有機土壌層から表層水・地下水を通って河川へ溶出する経路

河川水を経由して渓流魚に取り込まれるセシウムの供給経路

これまで、葉や落葉層に含まれるセシウム濃度の急速な低下により、経路①②からの供給量が低下したことが渓流魚中のセシウム濃度の低下に大きく影響してきたと考えられます(図B)。

今後、経路③からの寄与が大きくなると考えられますが、有機土壌層内ではセシウムは緩やかに深さ方向に移動しながら無機土壌層に吸着することが想定されます。

今後も渓流魚のセシウム濃度は継続的に低下していくことが期待されますが、渓流魚のセシウム濃度の将来予測のためには、有機土壌層から無機土壌層へのセシウムの動きや存在状態の更なる解明が必要です。