放射性物質の動き-森林Radioactivity Dynamics in forests
(2019年 更新)
Q山地森林域に沈着した放射性セシウム濃度は、標高や場所によって変わりますか。
A地衣類(菌類の仲間)を用いて、山地内の放射性セシウムの初期沈着状況やその後の移動挙動に関する調査研究を進めています。
福島県の調査事例では、地衣類中の放射性セシウム(137Cs)濃度(2013年2月)と、事故後初期(2011年6月)に採取された土壌中の放射性セシウム(137Cs)沈着量(計算値)との間に良好な正の相関関係がありました。このことは、地衣類が事故後初期のセシウムの沈着状況を保持している可能性を示しています。
原子力機構では、山地の地衣類に含まれる放射性セシウム濃度やその化学形態を調べることによって、事故初期の放射性セシウムの沈着状況を明らかにするとともに、山地内の詳細な沈着量分布(標高や方位との関連性など)を調べ、山地内での放射性セシウムの挙動理解と予測を進めています。
1F近傍の山域における線量率分布と標高特性は、同一プルーム軌跡上の山域であっても異なる傾向を示すことから、沈着メカニズムが異なる可能性があります。
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図4 高太石山の線量率分布
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図5 十万山の線量率分布
- 乾性沈着は方位依存性、湿性沈着は一様分布になると推定される
- 同一プルーム軌跡上においても沈着様式が異なる可能性
→ 初期の沈着様式の差異は、その後の山域森林におけるCs移行挙動に差異をもたらす可能性があり、森林各部の濃度予測等への貢献が期待されます。