放射性物質の動き-森林Radioactivity Dynamics in forests

(2017年 更新)

放射性セシウムの地下方向への移行はどのような、メカニズムによるものですか。【解析事例】

放射性セシウムの深度分布は、フォールアウト初期において指数分布型を示し、その後緩やかに深部へ移行しつつ指数分布型を保つか、深いところまでテーリングする傾向を示します。
このような傾向は既存のモデルでは表現できませんでしたが、収脱着のカイネティクスを導入したモデルによって実測値とよく整合する結果を得ることができました。

● 可逆・不可着の収脱着カイネティックスを考慮した移行モデルを開発

● 既存モデルで再現できなかった指数関数型やテーリング現象の再現に成功

さらに様々な感度解析を行うことにより、以下のメカニズムを解明。

  • 指数分布型は、拡散での移動速度と収着カイネティックスの比で決定される。フォールアウト初期の指数分布を形成。
  • 深部までテーリングを生じるのは、収着速度より脱着速度が小さく、浅い箇所での脱着、深部への移行、深部での収着が緩やかに進行していることに起因。
  • 放射性セシウムの土壌深度方向への移行は、セシウムの不可逆サイトへの収着の進行と共に緩やかになり、プロファイルは変化しなくなる。