環境動態に関する解析的研究

モデルの制約

表1に、現在福島環境動態研究で開発しているモデルの制約についてまとめています。

空間線量率や農林水産物濃度の将来の予測に注目が集まると想定されますが、妥当性確認については必ずしも十分ではありません。そのため、解析事例の情報については、現時点での原子力機構の成果およびそれに基づく判断の材料を提供するものであることにご留意ください。

表1 各解析モデルの開発状況

モデル名 モデルの制約
SACT
(Soil And Cs Transport model)
オリジナル版 深度方向へのセシウム移行・除染など考慮されておらず、河川水セシウム濃度の経年変化は観測量よりも過小評価。
改良版 深度方向へのセシウム移行(測定値)を考慮し、除染についても間接的に考慮した。阿武隈川の年間セシウム流出量の経年変化は観測量と整合するが、セシウム沈着量の経年変化は検証の段階である。
GETFLOWS
(GEneral purpose Terrestrial fluid-FLOW Simulator)
  • 2013年の一部の河川のデータに基づいてモデルを検証しているが、経時変化する河川中の放射性セシウム濃度の検証は十分でない。
  • セシウム濃度の深度プロファイルとして深さ2cmで均一を仮定、リター層からの溶存態Csの溶出を考慮していない。
TODAM/FLESCOT
(Time-dependent, One-dimensional Degradation And Migration model)
有機物、凝集の効果が含まれていない。その他のパラメータについてもばらつきがある。
CMFW
(Compartment Model for Forest and Water)
森林コンパートメント部分は実測値に合うよう逆解析で移行率を求めているため、比較的良好であるが、河川水の経時変化傾向は実測と不整合。改良・検証の段階である。
ADRET セシウム沈着量の空間的ばらつきに起因する実測値と計算値のばらつきが存在する。
mDSF パラメータの空間的な不均質性、生物擾乱など考慮していない。パラメータの持つ不確実性について検討の段階。

モデルの検証

モデルの検証状況についてはこちら → PDF

問合せ先

国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構 福島廃炉安全工学研究所

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