報告会
「粘土鉱物に対する放射性物質の吸脱着機構解明と減容法の開発」報告会
(独)日本原子力研究開発機構 委託研究 報告会
「粘土鉱物に対する放射性物質の吸脱着機構解明と減容法の開発」について
- 日時
- 平成26年2月20日(木)
- 場所
- (独)物質・材料研究機構 千現地区 第一会議室(茨城県つくば市)
- 趣旨
-
(独)日本原子力研究開発機構
(独)物質・材料研究機構
東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、日本原子力研究開発機構(以下、原子力機構)では、環境回復のために喫緊の課題である環境中の放射性物質の効率的な除染・減容化を実現するために、原子力機構の研究者及び物質・材料研究機構を中心に粘土鉱物学会の研究者との共同研究チームを編成し、これらの研究機関が有する物質材料研究の最先端分析装置を用いた「粘土鉱物に対する放射性物質の吸脱着機構解明と減容法の開発研究」を実施しているところです。
放射性セシウムは、土壌表面に多いとされる粘土鉱物に、選択的に取り込まれることが知られており、地面に降り積もった放射性セシウムのほとんどが地表に集中していることが知られています。このため、福島では、空間線量を下げるため表層土壌の剥離等の除染作業が行われていますが、これらの土壌が膨大な量となっております。
本プロジェクトでは、土壌に吸着しているセシウムが、どのくらいの強さで捕捉されているのか、あるいはどの程度剥離するのか、これらを放射光や電子顕微鏡などの最先端機器を用いて分析し、最新の科学的事実に基づく放射性セシウムの粘土鉱物への吸脱着機構の解明を実施しています。
今回は、世界的にも未解明だった放射性セシウムの粘土鉱物への化学吸着状態が、放射光による測定や理論計算に基づいて明らかにされたこと等が報告されました。これらの知見は、除染により発生した汚染土壌等の保管における安全対策や二次汚染防止対策に利用されることが期待されています。
また、電子顕微鏡を用いた観察によって、放射性セシウムがどのような種類の粒子にどのくらい吸着するか等が初めて明らかにされ、理論的には、土壌の種類によってかなりの減容化も期待されるような成果が示されました。これらの成果は、減容化処理(化学薬品を用いたセシウムの溶出)を行う場合、前処理の重要性を示唆した極めて重要な結果であると考えられます。
なお、本プロジェクトでは、最終処分時における効率的な処理法の研究も実施しております。これら個別の成果報告や、討論等による結果の精査を通じて、どのように福島環境回復に役立てていくかを検討することとしております。現在、これまでの研究成果をとりまとめているところですが、関係の専門家による中間報告会を今回物質・材料研究機構にて開催致しました。