森林

 森林の除染では,常緑樹林,落葉樹林ともに,地表を対象に落葉,腐植土の除去を行いました。これらの除去に当たっては,熊手や鋤簾を利用した人力作業が主となりますが,作業が可能な場合にはバックホウ等の重機を利用し,必要に応じて,表土の剥ぎ取りも実施しました。(図1)竹,低木,枝打ちした枝葉などの木材に対しては,ウッドチッパーを用いて減容することが重要でした。地表の除染に当たっては,線量低減のみならず,森林の持つ防災機能や生物多様性保全機能などの保全も考慮しました。

 腐植土層の除去に先立ち,除去深度と除染効果の関係を調査し,除去深度を決定することが重要です。また,人力で行う区間は作業員の違いによる除去程度のバラツキを極力少なくするように事前に目合わせ等を実施することが重要です。山林などの傾斜地及び竹林など樹間が狭い場所ではバキューム車による吸引搬送が効率的でした。山林などの傾斜地では,腐植土層全てを除去する必要がある場合は,しがら,土のう積みなどの土砂流出防止対策を含めて検討が必要です。地面に樹木の根が現れている箇所も多く見られました(表2)。

 生活圏に接する森林外縁から森林の奥部方向に除染(落葉除去と腐植土層除去)を進め,放射線量の影響変化を調査したところ,10m奥部まで除染したところで,生活圏境界において測定される空間線量率は除染前に比べて40%程度低下しました。他方,10m以上の森林奥部に除染を進めても,生活圏境界において測定される空間線量率は,ほとんど低下しませんでした。生活圏に隣接する森林の除染(除草と落葉除去と腐植土層の除去)を行うと,森林近隣の生活圏の放射線量を下げるということが分かりました。

適用した除染方法の例(森林)
図1 適用した除染方法の例(森林)