Topics福島
トピックスふくしま No.123
2024.8.29
福島県産の木材を活用したアロマオイルの抽出
「コミュタンサイエンスアカデミアネクスト」への協力
福島県の環境創造センターでは、コミュタンサイエンスアカデミアという、小中学生を対象としたサイエンスクラブが開催されています。
今回は「ネクスト」ということで、県内の高校生を対象とした研究体験講座が行われました。
JAEAでは「水蒸気蒸留法による福島県産の木等からのアロマオイルの抽出」のプログラムを実施。
福島県産のスギやヒノキのおがくずや枝葉を使用し、蒸留~香り成分の分析、考察を高校生に体験してもらいました。
水蒸気蒸留法でアロマオイルを抽出する おがくずや枝葉を蒸留用の鍋(蒸し器)に詰め、重さを測った後、水蒸気蒸留用のチューブや冷却器とつないで加熱していきます。 水蒸気蒸留法
今回の加熱時間は約3時間半。その際、約1㎏のおがくずや枝葉から抽出できるアロマオイルは僅かに1~5mlほどでした。
抽出したオイルの分析 今回抽出したオイルは、分光分析(光を当てて中に含まれている成分を読み取る)やTOF-SIMS(イオンビームを当てて表面の構造を調べる)を行い、どのような成分が含まれているのかを調べました。
500倍まで拡大して観察 最後は成果発表 JAEAが実際に研究で使用している機材を使用して、学生の方も実験や測定、観察に積極的に取り組んでいました。
抽出したオイルの見た目や香りを比較 グループごとにそれぞれ異なる試料で実験を行ったため、グループ同士での質問や考察も盛り上がり、JAEAの研究者との質疑応答も経て、充実した時間となりました。
加熱するとだんだんと鍋の中の温度が上がり、鍋下に注いだ水が蒸発すると、おがくずや枝葉に含まれる成分を吸収した気体が出てきます。その気体を冷却し、液体にすると、蒸留水とわずかなオイルが抽出できるのです。
芳香蒸留水は多く取り出すことができるのですが、いざアロマオイルを多く抽出したいと思うと、なかなかに大変なことが分かります。
1種類の分析手法だけではなく、複数の分析手法を組み合わせることで、含まれている成分の正体を絞り込んでいきます。
また、デジタルマイクロスコープを使用して、おがくずや枝葉が蒸留前後でどのように変化したのかを観察しました。
最後には成果発表も行い、抽出できたアロマオイルの成分を分析結果を組み合わせて推定します。そして、より多くのアロマオイルを抽出するにはどのような工夫を行えばよいか考察しました。
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No.122 『燃料デブリ』って? |