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トピックスふくしま No.122

2024.5.31


活動報告 燃料デブリ



『燃料デブリ』って?


原子炉の燃料が限度を超えて高温になったため、核燃料や周囲の構造物が溶けて、その後冷やされて固まったものです。
福島第一原子力発電所では、1~3号機内に存在しており、安定した状態を保つように管理が続けられています。


燃料デブリの正体を探る


廃炉を進めるために、燃料デブリの取り出しは必要不可欠です。
福島第一原子力発電所の燃料デブリは推定880トンが存在すると言われています。
安全かつ効率的に取り出していくために、まずは少量を取り出して分析し、燃料デブリの性状を把握することで、大規模な取り出し方法の検討が行えるようになります。


※画像はイメージです


福島第一原子力発電所の燃料デブリには、原子力発電の燃料として使われていたウランや、周囲の構造物に使われていた鉄やニッケルなどの金属、コンクリートに含まれるカルシウムやケイ素など、様々な物質が含まれていることが予想されています。

事故当時に燃料棒が溶けたと考えられている温度は2500℃以上。このような超高温の環境下で、金属やコンクリートがどのように変化したのか、JAEAでは実験やシミュレーションを駆使して予測しています。

予測する難しさ


事故当時の原子炉内部の温度は、超高温であっただけではなく、場所によってばらつきもあったと考えられています。
そのため、燃料棒が溶け落ちたタイミングや、周囲の金属類などを巻き込んだタイミングも場所によって異なることになり、予測をより難しくする原因の一つとなっています。


福島第一原子力発電所の各号機の内部

引用:東京電力ホールディングスwebページ「燃料デブリ取り出しの状況」より

燃料デブリは、かつてアメリカのスリーマイル島で起こった原子力発電所事故でも発生し、JAEAでの分析の実績も存在します。
この過去の分析結果も利用して、福島第一原子力発電所の燃料デブリの性状を予測するのですが、スリーマイル島原子力発電所と原子炉の型式や事故の度合い、巻き込まれた構造物が異なり、生成された燃料デブリも異なる性状を持つことが予想されています。

JAEAで行っている分析結果や研究成果は、デブリ分析者・評価者、廃炉事業者、研究者等のユーザーが情報を活用できるよう、データベース「debrisWiki」に集約しています。


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