ALPS処理水の第三者分析

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分析の方法

JAEAによる分析では、海洋放出前のALPS処理水に含まれるトリチウム及びトリチウム以外の核種の濃度などを測定します。


分析は、基本的には国の定めた分析方法(公定法)に沿って行いますが、核種によっては公定法が無いものもあります。 その場合は、専門家による検証を経た論文 (査読付き論文) やJAEAにおいて実績のある分析方法などに沿って分析を行います。


それぞれの分析フローは以下のとおりです。


トリチウム以外の核種の
分析方法▼
トリチウムの分析方法▼

トリチウム以外の核種の分析方法


ALPS処理により、トリチウム以外の核種が規制基準以下に浄化されていることの確認を行います。


ALPS処理水のように複数の放射性物質を含む場合は、含まれる放射性物質の影響を総合的に考慮した規制基準値が適用されます。 具体的には、核種ごとの濃度を、核種ごとの規制基準値 (告示濃度) で割った値の合計値が1以下であれば、放射性物質の放出基準を満足しているとされます。 この値を「告示濃度比総和」と呼びます。


トリチウム以外の核種の分析では、以下のような流れで前処理により測定を妨害する不純物を除去し、分析対象である核種の精製などを行います。


※:“m”は“準安定原子(メタステーブル原子)”を表します。通常、原子が一時的に高いエネルギーを持った状態(励起状態)となった場合、ごく短い時間で放射線などを放出し、エネルギーを放出しますが、一部の原子は比較的長い時間励起状態を維持します。この原子を準安定原子と呼びます。

主な分析対象核種


トリチウム以外の核種のうち、有意に検出されることの多い核種(下表)を中心に分析のステップをご説明します。

γ線放出核種 コバルト-60, アンチモン-125, セシウム-137
β線放出核種 炭素-14, ニッケル-63, ストロンチウム-90, テクネチウム-99, ヨウ素-129






トリチウムの分析方法


ALPS処理水中のトリチウム濃度を確認します。


ALPS処理水中のトリチウム濃度は、前処理により測定を妨害する不純物を除去した後、トリチウムが放出する非常に弱いエネルギーのβ線を効率的に測定可能な液体シンチレーションカウンターを用いて測定します。


この測定法は、環境中に存在する放射性物質を効率よく、かつ正確に測定する方法として国の定めた「放射能測定法シリーズ9「トリチウム分析法」」に準拠しています。


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規制基準値 告示濃度、告示濃度比総和 放射能測定法シリーズ