【除染モデル実証事業編】報告書 2.4.2(1)①(b) “Ⅳ道路”より
ショットブラストは,切削材を道路に打ちつけて切削し除染します。
ショットブラストは,高圧の空気を用いて,小球の切削材を道路舗装面に高速で打ち付けて表面を切削します。発生した粉じん(アスファルト屑)はブラスト機に連結した集塵機で回収します。切削材として鉄球,ドライアイス,重曹,砂を使用することができます。
ショットブラストによる除染は,地域によらず安定して高い除染効果が得られました。
投射密度が高い方が除染効果は大きく,また投射密度が同様の場合には除染回数を複数こなすことで,除染効果は大きくなりました。切削材に鉄球を使用するスチールショットブラストによる除染では,表面汚染密度の低減率は約60~95%でした。
ドライアイスブラスト,重曹ブラスト,サンドブラストはいずれも約60~90%の低減率となりました。
ブラスト作業の場合,骨材,ストレートアスファルト部分のいずれも切削するため,除染後の舗装面の表面は超高圧水洗浄機よりも粗い状態になりますが,低減率は高い結果が得られました。
除染前 | 除染後 | 低減率(%) | |
---|---|---|---|
空間線量率(1m) (μSv/h) | 4.25 | 2.08 | 51 |
表面線量率(1cm)(μSv/h) | 5.51 | 1.69 | 69 |
表面汚染密度 | 13,200 | 2,150 | 84 |
ショットブラストによる道路の除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
道路におけるショットブラストを用いた除染の流れを以下に示します。
1.目的
道路のアスファルト舗装の除染方法として,切削機(ショットブラスト)による表面切削の手順を示します。
2.作業項目
- 使用機材点検
- 表面切削
- 詰込み
- 運搬
3.作業手順
(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(2)表面切削
切削機(ショットブラスト)を用いてアスファルト舗装表面の切削を行います。
(3)詰込み
切削屑を人力でフレキシブルコンテナに収容します。
(4)運搬
フレキシブルコンテナをトラック等で一時仮置き場まで運搬します。
4.使用機材
保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等),切削機(ショットブラスト),トラック
5.留意事項等
(1)アスファルトに残った切削屑をスイーパーで回収していますが,粒子の細かい屑は飛散しやすいので吸引等により回収することが重要です。また,アスファルト面に残った鉄球を確実に回収することが重要です。
(2)ブラスト面の中央部と端部で切削深度に違いがあるため,ブラスト面の幅の半分程度のオーバーラップが必要です。
(3)投影密度と走行回数(スピード)によっても切削深さが異なるので,事前に試験区間を設け,それらの要因と低減率の関係を把握し,施工の仕様を決定することが重要です。
(4)切削厚さによっては,オーバーレイが必要となります。
(5)ブラスト粉じんを収納したフレキシブルコンテナ周辺は100μSv/hを超える高線量となるため,一時保管の段階からその旨を明示し,カラーコーン等を使って不用意に人が近づかないようにする必要があります。
ショットブラストによる道路の除染の歩掛例
道路において“ショットブラスト”を用いた除染の本事業における歩掛例を以下に示します。
- 内容:アスファルト舗装面切削(切削機(ショットブラスト,幅1,000mm)),詰込,運搬(道路,アスファルト舗装面)
- 歩掛表
名称・項目 |
仕様 |
単位 |
数量 |
【 労 務 費 】 |
|
|
|
土木一般世話役 |
|
人日 |
0.60 |
普通作業員 |
|
人日 |
1.20 |
特殊作業員 |
|
人日 |
1.90 |
運転手(特殊) |
|
人日 |
0.90 |
【 材 料 費 】 |
|
|
|
大型土のう |
耐候性(3年) |
袋 |
2.00 |
【 機械損料 】 |
|
|
|
ショットブラスト(B=1,000) |
ハンドガイド式 |
台時 |
6.00 |
ショットブラスト(B=1,000) |
ハンドガイド式 |
台日 |
1.00 |
ショットブラスト(B=1,000)付属機器損料 |
発電機,ホース,鉄球,ダストコレクト |
日 |
1.00 |
トラック 普通 186kW |
積載質量 8t積 (運) |
台時 |
1.00 |
トラック 普通 186kW |
積載質量 8t積 (供) |
台日 |
1.00 |
発動発電機 |
(超低騒音)排ガス対策容量150kVA(運)2次 |
台日 |
1.00 |
発動発電機 |
(超低騒音)排ガス対策容量150kVA(供)2次 |
台日 |
1.00 |
【 諸雑費 】 |
|
式 |
1.00 |
ショットブラストによる道路除染の技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
ショットブラストによる道路除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。
整理番号 |
道-6 |
|||
大分類 |
道路 |
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中分類 |
舗装 |
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小分類 |
アスファルト舗装面 |
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除染手法 |
ショットブラストによる切削 |
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内容 |
切削,回収,詰込,運搬 |
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除染方法 |
<除染手順> アスファルト舗装切削: →フレキシブルコンテナ詰込:→運搬(除染箇所の一時集積所まで): 切削機(ショットブラスト) 人力 トラック <除染概要> 切削機(ショットブラスト)で,アスファルト舗装面を切削します。人力で切削屑をコンテナに詰込み,トラックで除染箇所の一時集積所に運搬します(運搬距離100m)。 |
|||
主要機械仕様 |
切削機(ショットブラスト,切削幅100cm,投射量180kg/min×2,投射速度75m/sec),トラック |
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環境条件 |
適用環境条件 |
舗装面が凍結している場合や雪で覆われている場合には適用できない。 降雨時は投射材(鉄球)の回収が困難である。 |
||
施工制約条件 |
舗装面が歪曲している場合,投射材を均質に舗装面へ打ち付けることができず,除染効果が低下する可能性がある。 |
|||
評価 |
除去物 |
施工スピード(作業員数) |
850m2/日(5人) |
|
除去物発生量 |
30袋/ha程度 |
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除去物内容 |
切削屑,投射材 |
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水処理方法 |
使用水量 |
― |
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汚染水回収方法 |
― |
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回収率 |
― |
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除染係数の目安 |
DF |
3~23 |
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低減率 |
60~95% |
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コスト(直接工事費>1,000m2) |
480円/m2(大型) |
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施工上の留意点改善点 |
・除染後にアスファルト面に残った切削屑は確実に収集除去するとともに,切削に用いた鉄球はスイーパーで確実に回収することが重要です(除染効果の確保)。 ・ブラスト面の中央部と端部で切削深度が異なるため,除染幅の半分程度のラップが必要です(除染効果の確保)。 ・投射密度と走行回数(スピード)で切削深さが異なるので,事前にこれらの要因と低減率の関係を把握し,仕様を決定することが重要です(除染効果の確保)。 ・その他,切削厚さによっては,オーバーレイが必要となります。 |