【除染モデル実証事業編】報告書 2.4.2(1)①(b) “Ⅳ道路”より
超高圧水洗浄機とは,極めて高圧の水を噴射することにより,道路を切削する機器です。
超高圧水洗浄機は,回転噴射装置(スピンジェット)から超高圧水(約120~240 MPa程度)を噴射することにより,道路表面のストレートアスファルト部分を切削します。切削したアスファルト屑及び使用した水は吸引回収し,これを除染水として水槽に溜めて,水処理等を行い分別しました。
超高圧水洗浄機(水圧約120~240MPa)を用いた除染による表面汚染密度の低減率は約40~95%であり,特に水圧約200MPa以上で実施した除染では約80~95%と高い除染効果が得られました。また,除染回数を増やすことで除染効果が高くなる傾向が認められました。
超高圧水洗浄機では,除染後もほぼ除染前と同様の状態でアスファルト舗装面の骨材は維持されますが,ストレートアスファルト部分は数mm切削され,ミクロで見ると路面上に凹凸ができた状態となります。
高圧水洗浄機や排水性機能回復車では,舗装面の表面や骨材間の間隙に付着した堆積物を除去するのに対し,超高圧水洗浄機では,付着した堆積物に加え,ストレートアスファルト部分を除去することができるため,高い除染効果が得られるものと考えられます。
除染前 | 除染後 | 低減率(%) | |
---|---|---|---|
表面線量率(1cm)(μSv/h) | 18.2 | 4.1 | 78 |
表面汚染密度 | 45,800 | 7,100 | 85 |
超高圧水洗浄機による道路除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
道路における排水性舗装機能回復車を用いた除染の流れを以下に示します。
1.目的
道路のアスファルト舗装の除染方法として,排水性舗装機能回復車による洗浄の手順を示します。
2.作業項目
- 使用機材点検
- 表面切削
- 洗浄水の回収
- 運搬
3.作業手順
(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(2)表面切削
超高圧水洗浄機を用いてアスファルト舗装面を切削します。
(3)洗浄水の回収
洗浄に使用した水はバキューム車で回収します。
(4)運搬
回収した水を水処理設備まで運搬します。
4.使用機材
保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等),超高圧水洗浄機,バキューム車
5.留意事項等
(1)高圧水洗浄機のノズル先を人に向けないようにします。
(2)他の切削と異なり除去物発生量が少ないですが,水処理が必要となります。
(3)コンクリート面深くまで汚染が進行している場合には,高圧での洗浄もしくは複数回の施工が必要となることから,事前に圧力,回数の違いによる除染効果の違いを把握し,仕様を決定することが重要です(低減効果の測定にあたっては,除染水による遮へい効果を除くため,乾燥した後に測定することが重要です)。
(4)中型の超高圧水洗浄機では縁石近くに数センチ幅の未除染部が残るため,ハンディ型のものを併用する必要があります(除染効果の確保)。
(5)対象がアスファルト舗装の場合,切削厚さによってはオーバーレイ(ストレートアスファルトのみ)が必要となります。
超高圧水洗浄によるコンクリート・モルタル部の除染の歩掛例
コンクリート・モルタル部 の“超高圧洗浄”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。
- 内容:コンクリート面・アスファルト舗装面切削(超高圧水洗浄機),洗浄水回収,運搬(宅地・大型構造物,たたき・犬走り・舗装などのコンクリート面・アスファルト舗装面)
- 歩掛表
名称・項目 |
仕様 |
単位 |
数量 |
【 労 務 費 】 |
|
|
|
土木一般世話役 |
|
人日 |
0.60 |
普通作業員 |
|
人日 |
1.60 |
運転手(特殊) |
|
人日 |
0.20 |
特殊作業員 |
|
人日 |
1.90 |
【 材 料 費 】 |
|
|
|
大型土嚢 |
耐候性(3年) |
袋 |
0.50 |
【 機械損料 】 |
|
|
|
超高圧水洗浄機 |
(供・運) |
台日 |
0.90 |
強力吸引車 |
(運)6m3 |
台時 |
5.60 |
強力吸引車 |
(供)6m3 |
台日 |
0.90 |
発動発電機 |
定格容量 3kVA (運) |
台日 |
0.90 |
発動発電機 |
定格容量 3kVA (供) |
台日 |
0.90 |
空気圧縮機 |
エンジン掛サイレンサー |
台日 |
0.90 |
空気圧縮機 |
エンジン掛サイレンサー |
台日 |
0.90 |
トラック |
積載質量 4t積 |
台時 |
5.60 |
トラック |
積載質量 4t積 |
台日 |
0.90 |
給水車 118kW |
タンク容量 3,800L (運) |
台時 |
5.60 |
給水車 118kW |
タンク容量 3,800L(供) |
台日 |
0.90 |
【 諸雑費 】 |
|
式 |
1.00 |
超高圧水洗浄機による道路の除染技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
超高圧水洗浄機による道路の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。
整理番号 |
道-7(宅-12と同じ) |
|||
大分類 |
道路 |
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中分類 |
舗装 |
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小分類 |
アスファルト舗装面 |
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除染手法 |
超高圧水洗浄機による切削 |
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内容 |
切削,回収,運搬 |
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除染方法 |
<除染手順> アスファルト舗装切削: →洗浄水回収: →運搬(除染箇所の水処理設備まで): 超高圧水洗浄機(最大240MPa) バキューム車 バキューム車 <施工概要> 超高圧水洗浄機(最大240MPa)で,アスファルト(特にストレートアスファルト)舗装面を薄削します。切削に使った水はバキューム車で吸引回収し,除染箇所の水処理設備へ運搬します(運搬距離100m)。 |
|||
主要機械仕様 |
超高圧水洗浄機(最大240MPa),バキューム車 |
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環境条件 |
適用環境条件 |
舗装面が凍結している場合や雪で覆われている場合には適用できない。 |
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施工制約条件 |
特になし。 |
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評価 |
除去物 |
施工スピード(作業員数) |
330m2/日(中型1往復)(4人) |
|
除去物発生量 |
30袋/ha程度 |
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除去物内容 |
切削屑 |
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水処理方法 |
使用水量 |
4~5m3/100m2程度 |
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汚染水回収方法 |
バキューム吸引 |
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回収率 |
100% |
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除染係数の目安 |
DF |
2~15 |
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低減率 |
40~95% |
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コスト(直接工事費>1,000m2) |
1,150円/m2 |
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施工上の留意点改善点 |
・事前に圧力,回数の違いによる除染効果の違いを把握し,仕様を決定することが重要です(除染効果の確保)。なお,低減効果の測定では,除染水の遮へい効果を除くため,乾燥状態で測定する必要があります。 ・中型の超高圧水洗浄機では縁石近くに数センチ幅の未除染部が残るため,ハンディー型のものを併用する必要があります(除染効果の確保)。 ・その他,切削厚さによっては,オーバーレイ(ストレートアスファルトのみ)が必要となります。 |