研究開発成果

日本保健物理学会「優秀口頭発表賞」「優秀ポスター賞」を受賞

CLADS の坪田陽一 研究主幹が、2025年12月に開催された「日本保健物理学会 第58回研究発表会」において、「優秀口頭発表賞」および「優秀ポスター賞」を同時受賞しました。

本賞は、日本保健物理学会の研究発表会において、保健物理学の進歩・発展に寄与する優れた発表を行った若手・中堅研究者等を表彰するものです。
今回は、口頭発表部門とポスター発表部門の両部門における同時受賞となり、坪田研究主幹の研究成果が高く評価されました。
受賞対象となった講演および発表内容は以下の通りです。

1. 優秀口頭発表賞 対象講演:

飛跡情報の機械学習をもとにした高線量環境用の軽量α/β線ダストモニタの開発と現場実証

本講演では、福島第一原子力発電所(1F)のような高線量環境下でのダストモニタリングにおいて、従来必須とされていた重厚な鉛遮へいを撤廃し、「ソフトウェア遮へい」という新規概念を用いた測定技術「DICAS」について報告しました。
最大の特徴は、半導体ピクセル検出器で捉えた放射線の飛跡形状(α線の太いスポット、β線の線状軌跡、γ線の点状飛跡)を機械学習により高精度に分類し、バックグラウンドとなるγ線成分のみをソフトウェア上で減算処理する点にあります。
これにより、物理的な遮へい体を用いずに、高バックグラウンド環境下(>10mSv/h)でも目的とするα/β線ダストの選択的な測定が可能となりました。
この「ソフトウェア遮へい」技術の確立により、システム全体の重量を300g未満まで軽量化することに成功し、四足歩行ロボット(SPOT)搭載による遠隔・高機動なモニタリングを世界で初めて実証しました。


2. 優秀ポスター賞 対象発表:

安価で使い捨て可能なエアロゾル分級器「μSPLIT」

本発表では、放射性エアロゾルの粒径分布測定(分級)における「機器汚染」と「高コスト」という課題を解決するため、3Dプリンターを用いて数百円程度で製造可能な使い捨て(ディスポーザブル)型分級器「μSPLIT(マイクロスプリット)」の開発について報告しました。
従来の金属製の分級機器では困難だった測定後の除染作業を不要とし、使用後はそのまま廃棄・保管が可能になることで、クロスコンタミネーションのリスクを根絶しました。
本技術は、吸入摂取時の内部被ばく評価に不可欠な「空気動力学径」ごとの放射能評価を、低コストかつ多点で行うことを可能にするものであり、廃炉環境だけでなく一般的な大気エアロゾル計測への応用も期待されています。

これら2件の研究成果は、燃料デブリ取り出し等の今後の廃炉作業における作業員の被ばく低減や、環境安全評価の高度化に大きく貢献するものです。


  

研究者情報「researchmap」

 ・坪田 陽一