スクリーニング(汚染検査)結果

1) スクリーニングの実績

 各スクリーニングポイントにおけるスクリーニングの実績(3月31日現在)は,表1の通りです。

表1 スクリーニングの実績(3月31日現在)
拠点 北側 西側 南側
作業員等(人) 13,396 6,304
(15,232)
34,223
(25,295)
車両(台) 2,313 2,671 14,425

 このうち南側の実績が他の箇所よりかなり大きくなっていますが,これは本来,西側から入る作業員が作業事務所の設置場所の関係から,南側から出入りしたためであり,それらを分けた場合が,括弧内の人数となります。また,北側では馬事公苑内の駐車場を使用することによりコールドとホットの車両を使い分けたことがスクリーニングを行う車両台数の抑制につながったが,一方南側では,十分な駐車場を確保できなかったためコールドとホットを往来した車両が多くなったものと思われます。なお,これらの実績には,作業視察等による出入りも含まれます。

 スクリーニングの結果,作業員等や搬出物品においてスクリーニングレベル(13k cpm)を超えた事例はありませんでした。特に汚染の比較的高い大熊町などでは,防護服を二重にして作業を実施し,除染作業場所を離れる際には,上側をその場で廃棄する等により汚染拡大防止を図った結果と思われます。作業員のスクリーニングの一例を図1及び図2に示します。

身体スクリーニングの状況
図1 身体スクリーニングの状況(1)
身体スクリーニングの状況
図2 身体スクリーニングの状況(2)
スクリーニング(汚染検査)(大熊町)

 車両については,北側で3件,南側5件のスクリーニングレベル超えがあり,西側はありませんでした。これらについては,除染作業側による除染でスクリーニングレベル以下となったものや除染不可のものは廃棄を行いましたが,このうち南側についてはタイヤに汚染が固着しているため,除染してもスクリーニングレベル以下にすることができなかったことから,ホット側専用車両として運用しました。車両のスクリーニングの一例を図3及び図4に示します。

 このようにスクリーニングレベル超えの件数が少ない結果となったのは,除染作業現場におけるスクリーニングの徹底,並びにスクリーニングレベル超えが確認された場合の除染を徹底したためと思われます。

車両スクリーニングの状況
図3 車両スクリーニングの状況(1)
車両スクリーニングの状況
図4 車両スクリーニングの状況(2)

 なお,北側では主要道路からスクリーニングポイントまでの進入路が長いため,入り口や交差点に誘導員を常時配備しました。スクリーニングの測定作業が日々,多くなる場合は必要に応じて測定員の増員を図りました。また,南側では,本来西側から入る作業員の数が多くなったため,西側から測定員を補充して対応しました。

2) 放射線管理

 各スクリーニングポイントにおける放射線管理のうち,空間線量率,表面汚染密度,空気中放射性物質濃度については,定点測定箇所を設定して日々測定を行い,結果として大きな変化は見られなかったことから,除染作業による汚染の持ち込みは発生しなかったと考えられます。これらの測定結果についての概要を表2~4に示します。また,スクリーニングポイント周辺の環境測定も合わせて行っており,北側と西側について空間線量率,表面汚染密度の概要をそれぞれ表-5及び表6に示します。

 なお,南側については表4にスクリーニングポイント周辺の環境測定結果を含んでおり,脚注にも示していますが,12月23日より国道から駐車場への侵入道路について測定点を追加していることから,それが分かるように区別しました。

 北側と南側のテントハウスの外壁素材が鋼製であることもあり,テントハウス外と内では線量率等が半分以下となっています。また,空気中放射性物質濃度は,採取直後に天然核種の影響で検出限界値を超えていましたが,翌日の測定により天然核種の影響を排除したことから,検出限界値以下(10-6Bq/cm3のオーダー)でした。

表2 スクリーニングエリアにおける測定結果(北側)
項目 11/28~3/22
(テントハウス外)
12/22~3/17
(テントハウス内)
空間線量率(µSv/h) 1.0~1.6 0.4~0.65
表面汚染密度(cpm) 470~760 160~240
空気中放射性物質濃度(Bq/cm3) 検出限界値以下 同左
表3 スクリーニングエリアにおける測定結果(西側)
項目 11/28~3/23
空間線量率(µSv/h) 0.12~0.21
表面汚染密度(cpm) 70~120
空気中放射性物質濃度(Bq/cm3) 検出限界値以下
表4 スクリーニングエリア及びスクリーニングポイント周辺における測定結果(南側)
項目 12/2~3/26
(テントハウス外)
1/9~3/12
(テントハウス内)
空間線量率(µSv/h) 0.99~1.35 0.35~0.54
表面汚染密度(cpm) 750~1,700*1
1,300~2,700*2
170~390
*1 観測対象として追加分(12月23日より道路側の測定点を追加)を含まない測定値
*2 観測対象として追加した分の測定値
表5 スクリーニングポイント周辺の測定結果(北側)
項目 作業中(1/4,2/16~2/24) 作業後(2/25~3/22)
空間線量率(µSv/h) 0.5~2.42 0.34~2.3
表面汚染密度(cpm) 230~6,000 150~5,700
表6 スクリーニングポイント周辺の測定結果(西側)
項目 作業開始前(11/24,25) 作業中・後(12/12~3/23)
空間線量率(µSv/h) 0.22~0.76 0.25~0.33
表面汚染密度(cpm) 210~1,800*1
3,200~3,300*2
280~500*1
*1 作業車両,作業者が使用するエリアを対象とした測定ポイント
*2 作業車両,作業者は直接干渉しないが,参考のため側溝などの測定値

 また,スクリーニングポイント運営員の被ばく管理として,運営員は個人線量計を装着するとともに,スクリーニングの業務を行う際には,必要な防護装備(タイベック,帽子,手袋,マスク,靴カバー)を装着した。線量実績は,各スクリーニングポイントにおいて表7の通りであり,管理値を超える外部被ばくはなかった。なお,内部被ばくについては,前述のように空気中放射性物質濃度が検出限界値以下であった。

表7 スクリーニングポイント運営員の線量実績(3月31日現在)
拠点 北側 西側 南側
集積最大(mSv) 0.520 0.215 0.536
個人最大(日)(mSv) 0.014 0.021 0.018

 除染作業箇所における放射線管理の確認のため,必要に応じて除染作業箇所での空間線量率等を測定し,各JVが実施した測定結果との比較を行ったが,両者の測定結果はほぼ同等であった。なお,除染作業箇所によってはNaIシンチレーションサーベイメータの測定範囲(30µSv/h)を超える箇所もあるため,その場合は,電離箱式サーベイメータを用いて測定を行った。

3) 廃棄物管理

 日々発生する防護服などの廃棄物について,表8に示すような種類(可燃,難燃,不燃)別及び作業場所(市町村)別に区別し,袋に詰めて屋外のコンテナで保管管理(施錠管理)を行ったが,北側では廃棄物の一時保管ができないため,翌日に除染現場へ戻したことから,保管用のコンテナは設置しなかった。南側においては,廃棄物量が想定より多くなり保管用コンテナが多数となったため,途中から北側と同様に除染現場へ戻す運用を行った。

 なお,市町村別の区別は,発生場所に廃棄物を戻す必要があるためで,スクリーニングポイントの運営で生じた廃棄物については,各除染作業場所の除去物として扱った。また,廃棄物の集積により空間線量が上昇するため,保管用のコンテナ表面に注意喚起用の線量率表示を行った。

表8 主な廃棄物の区分
可燃 難燃 不燃
タイベック,綿手,サージカルマスク,防塵マスク,帽子,靴カバー,紙ウエス ゴム手,ゴム長靴,防塵メガネ,難燃シート,アノラック,雨合羽 全面マスク,半面マスク,マスクのフィルター

 各スクリーニングポイントで発生した廃棄物の内訳は表9の通りである。このうち,南側のみ不燃物が発生しているが,これは比較的汚染の高い大熊町の除染作業において全面マスクを使用したためである。また,西側の発生量は全体的に少ないが,これは除染作業で発生した廃棄物を現場で廃棄しスクリーニングポイントに持ち込まなかったためである。南側では,比較的汚染の高い場所では防護服を二重に使用したため廃棄物の発生量が多くなっている。

 なお,各スクリーニングポイントで使用している廃棄物を入れる袋の容量が異なるため,総容量に換算(収納袋容量×袋数)したものを各欄の下段に示す。

表9 廃棄物発生量(3月31日現在)
拠点 北側 西側 南側
種類 可燃 難燃 不燃 可燃 難燃 不燃 可燃 難燃 不燃

(数)
742 140 0 74 17 0 2,802
(2,690)
440
(396)
169
(143)
容量
(m3)
66.4 6.3 0 6.6 1.6 0 98.1 15.4 6.0
※ 本来西側から入る予定であった富岡町分を除いた量