1 計画策定
除染作業計画の策定にあたっては,作業員の安全・健康の確保及び放射線被ばくの低減を図るため,以下の内容に留意して作業計画を立案する必要があります。計画策定の際の策定項目について以下に抽出します。
<計画策定にあたり盛り込むべき事項>
1. 作業安全
- 監理員及び作業員の教育
- 作業手順の作成と周知
- 現地不安全設備の事前確認と災害防止措置の実施
2. 健康管理
- 作業員の健康管理
- 熱中症災害防止
3. 放射線管理 ・放射線管理の基本と体制
- 放射線管理における作業管理
- 除染作業における放射線防護装備
- 除染作業における物品の移動管理
2 仕様書作成
発注者が作業員の労働安全管理を依頼する場合は,労働安全衛生法,電離放射線障害防止規則,除染電離則及びその他関係法令の趣旨を尊重し,作業内容を十分に検討した上で作業員の安全・健康及び放射線被ばく低減対策を定める必要があります。仕様書に特に盛り込むべき事項について以下に整理するとともに,監理する上での注意点を記載します。
また,各除染作業現場において作業員の安全・健康を確保するため,既存の安全関係法令との関係が理解できるように安全管理のポイント確認を整備した作業安全チェックリストを表1に示します。
(1)作業安全
a. 監理員及び作業員の教育
初めて除染作業に携わる監理員,作業員に対する安全教育が重要です。安全管理面から除染作業はどのような点について注意して作業をするか,監理員,作業員に十分理解させる必要があります。
b. 作業手順の作成と周知
本除染モデル実証事業や過去の類似作業で発生した災害事例をもとに,現場実態を踏まえた作業手順や現場ルールを設定する必要があります。また,作業開始前までに作業手順を作業員に確実に周知することも重要となります。
c. 現地不安全設備の事前確認と災害防止措置の実施
作業開始前までに,作業場所における設備(道路,電線等)の不安全状態を確認し,事前に対応方法を決定しておくことが必要となります。また,除染作業中においては,他の作業員を監視すべき職長自身が作業をしていると,作業員に目が行き届かなくなるため,職長自身が作業しないで作業員を監視することが重要です。監視の具体例として,草刈機を使用する除染作業にあっては,作業員の間隔が近くならないように注意します。
除染モデル実証事業の現場で取り組んだ上空電線等の接触防止対策事例を図1~2に示します。
(2)健康管理
a. 作業員の健康管理
新規入場者教育時に,雇い入れ時健康診断の実施状況を確認するとともに,持病の有無等現在の健康状態を確認する必要があります。
また,作業開始前に作業員の体調(血圧・睡眠不足・風邪・下痢・二日酔い・朝食の未摂取等)を確認し,必要に応じて作業分担の変更や休ませることが必要となります。
除染モデル実証事業の現場における健康管理面での取り組み事例として,朝礼時のラジオ体操実施状況を図3に,また,スクリーニングポイント内の血圧測定器の設置状況を図4に示します。
b. 熱中症災害防止
モデル実証事業は冬期の作業でしたが,夏期の作業では,熱中症災害防止も大きな課題となります。
熱中症災害の防止には,①作業環境管理,②作業管理,③健康管理について予防対策を行う必要があります。
①作業環境管理
- 熱中症計,WBGT計(熱中症指数モニター)及び熱中症予防情報サイト(環境省)等における「暑さ指数予報」を活用した作業環境管理を実施する。熱中症計の例を図5に示します。また,WBGT計の例を図6に示します。
- 高温多湿作業場所の近傍に休憩場所を設けます。
②作業管理
- 作業の状況などに応じて作業時間の短縮やシフト,こまめな休憩(1時間程度に1回)および水分・塩分(スポーツドリンク・経口保水液・塩飴等)を摂取します。
- 保冷剤,首筋日よけ,クールベスト等,高体温化の予防対策を実施します。(図7参照)
③健康管理
- 十分な睡眠をとります。(睡眠時間は,5時間以上であることが望ましいです。)
- 朝食等,食事及び充分な水分を摂取します。
- 熱中症と因果関係の高い持病(糖尿病・高血圧症・腎不全・下痢等)のある作業員は,作業責任者へ持病がある旨を伝え,作業責任者は熱中症防止への配慮(作業場所または作業内容の変更,休憩頻度を多くして水分を摂らせる等)を実施します。
チェックポイント | 関係法令 | |
---|---|---|
作業員管理 | 新規入場者教育は実施されているか | - |
雇入時の健康診断が実施されているか | 安衛則43条 | |
特定業務の定期健康診断を実施しているか | 安衛則45条 | |
作業員の経験を確認しているか | - | |
経験,年齢に応じた作業員配置か | 安衛法62条 | |
送り出し教育を元請が確認しているか | - | |
朝礼で作業員の健康状態を確認しているか | - | |
予定外作業発生時の対応ルールが明確で,作業員まで周知されているか | - | |
安全管理体制 | TBM-KYを実施しているか,内容は適切か | - |
危険表示,注意標識等の提示は適切か | - | |
各工種の監視員の配置は適切か | - | |
各種作業主任者の選任,表示をしているか | 安衛則16,18条 | |
作業員の把握,健康管理をしているか | - | |
作業前に工具,機械類の点検をしているか | - | |
安全計画書他,関係書類が現場事務所に配備されているか | - | |
緊急連絡体制が作業員までわかるように現地に表示されているか | - | |
保護具等 | 作業員の服装は,作業に適しているか | - |
安全帽の着用,使用状態は良いか | - | |
防護マスク,防護服,防水措置等を行い,作業をしているか | - | |
作業通路等 | 作業区画,立入禁止柵の設置は適切か | - |
安全通路の確保,表示は良いか | 安衛則540条 | |
作業箇所,通路等の照度は十分か | 安衛則541条 | |
飛散防止対策は適切か | - | |
埋設物の調査・防護を実施しているか | - | |
資機材の整理・整頓がされているか | 安衛則544条 | |
作業区画内に関係者以外の人・車両が入っていないか | - | |
防火 | 火元取扱責任者を定めているか | - |
消火器の設置,表示は適切か | 安衛則291条 | |
引火性油脂,可燃性ガス等の取扱は適切か | 安衛則265条 | |
喫煙所の設置,表示は良いか | 安衛則279条 | |
ボンベの空・充填の表示はされているか | 安衛則263条 | |
足場,脚立,梯子 (墜落防止) |
高さ2m以上で墜落の危険のある場合は作業床を設置しているか | 安衛則518条 |
作業床の端部(開口部含む)には囲い,手摺,覆い等を設置しているか(困難な場合は防網を張り,安全帯を使用) | 安衛則519条 | |
高さ2m以上の場所では安全帯の取付設備を設置し,異常の有無を随時確認しているか | 安衛則521条 | |
スレート屋根の作業では歩み板を設け,防網を張っているか | 安衛則524条 | |
高さまたは深さが1.5mを超えるときは昇降設備を設置しているか | 安衛則526条 | |
移動梯子は転倒防止の措置をしているか | 安衛則527条 | |
脚立の構造,材質と開き止め金具は良いか | 安衛則528条 | |
仮設通路は,高さ85cm以上の手摺,中さん(35cm~50cm)を設置しているか | 安衛則552条 | |
鋼管足場の材料はJIS規格に適合しているか | 安衛則560条 | |
足場の構造と載荷荷重表示は良いか | 安衛則562条 | |
作業床の構造と床上の整理整頓は良いか(高さ2m以上では足場は3点支持,隙間3cm以下,重ね長20cm以上,幅40cm以上) | 安衛則563条 | |
足場の組立・解体に当たっては手順を作業員まで周知しているか(立入り禁止措置) | 安衛則564条 | |
高さ5m以上の足場の設置では,作業主任者を配置しているか | 安衛則565条 | |
強風,大雨,大雪及び地震等の後に足場の点検を実施しているか | 安衛則567条 | |
鋼管足場では,ベース金具及び敷板,根がらみを的確に設置しているか | 安衛則570条 | |
掘削作業 (崩壊防止) |
掘削箇所の地山状況を確認しているか(地質,湧水,埋設物等) | 安衛則355条 |
掘削面の勾配は土質に応じた安全な勾配となっているか | 安衛則356条 | |
法面,法肩に亀裂がないか | 安衛則361条 | |
法肩付近に重量物を置いていないか | ||
土石落下・転落防止柵を設置してあるか | ||
作業前,大雨等の後,堀山周辺の点検を行っているか | 安衛則358条 | |
重機(運搬,掘削,積込機械)の運行経路を明確にし,作業員に周知しているか | 安衛則364条 | |
掘削機械が作業員の作業箇所に後進で接近するときや転落の恐れのあるときは,誘導員を配置しているか | 安衛則365条 | |
感電防止 | 充電部に接近・近接の箇所は,感電防止の囲いまたは絶縁覆いを設けているか | 安衛則329条 |
架空送電線等の近接作業では感電防止対策を実施しているか | 安衛則349条 | |
電気機械器具等は使用前点検を実施しているか | 安衛則352条 | |
溶接器に自動電撃防止措置があるか | 安衛則332条 | |
分電盤,使用機器にアースを取り付けているか | 安衛則333条 | |
車両系 建設機械 |
車両系建設機械の作業計画が作成されているか | 安衛則155条 |
作業計画は作業員まで周知されているか | ||
作業箇所における制限速度が定めているか(10km/h以下は除く) | 安衛則156条 | |
転倒または転落措置がとられているか | 安衛則157条 | |
立入り禁止,誘導員の配置等,接触防止措置がとられているか | 安衛則158条 | |
重機運転者と誘導員の合図が決められているか | 安衛則159条 | |
運転手が運転席から離れる場合の措置がとられているか(エンジンの停止,キーを抜く) | 安衛則160条 | |
作業開始前の点検を実施しているか | 安衛則170条 | |
充電部がある箇所では,重機に接地がされているか | 安衛則160条 | |
高所作業車 | 高所作業車の作業計画が作成されているか | 安衛則194条の9 |
作業計画は作業員まで周知されているか | ||
作業指揮者が定められているか | 安衛則194条の10 | |
転倒または転落措置がとられているか(アウトリガーの張出し,地盤の不同沈下防止) | 安衛則194条の11 | |
作業開始前の点検が実施されているか | 安衛則194条の27 | |
有資格者による操作 | 安衛令20条15 | |
バケットへの乗降経路上で,墜落防止措置を講じているか | - | |
バケット内で安全帯またはセーフティーロープを使用しているか | 安衛則194条の22 | |
作業車両を使用する際,輪止めが適切に設置されているか | - | |
運転手が運転席から離れる場合の措置がとられているか(エンジンの停止,ブレーキ) | 安衛則194条の13 | |
移動式 クレーン |
定格荷重が表示されているか | クレーン則70条の2 |
作業開始前の点検が実施されているか | クレーン則78条 | |
有資格者が操作しているか | クレーン則67条 | |
アウトリガーの張出し状況,設置位置は適切か(軟弱地盤での敷鉄板使用等) | クレーン則70条の5 | |
合図者及び運転の合図を定めているか | クレーン則71条 | |
作業範囲の立入り禁止措置が明示されているか | クレーン則74条 | |
強風時の作業中止基準は明確か(風速を計測しているか) | クレーン則74条の3 | |
運転手が運転席から離れる場合の措置がとられているか | クレーン則75条 | |
伐採 (チェーンソー) |
チェーンソーを用いる作業では,特別教育修了者が作業をしているか | 安衛則36条8号の2 |
振動工具管理責任者を定めているか | 作業指針 | |
作業開始前にチェーンソーの点検をしているか | 作業指針 | |
作業計画を作成しているか | 作業指針 | |
伐倒時の退避場所が明確になっているか | 安衛則477条 | |
伐木作業箇所の下方は立入り禁止となっているか | 安衛則481条 | |
伐倒時の合図を定め,作業員に周知しているか | 安衛則479条 | |
防振用の厚手の手袋等を使用しているか | 作業指針 | |
法面作業では,親綱,安全帯等を使用しているか | - | |
法面作業では,上下作業になっていないか | - | |
振動障害防止(作業時間等)措置は適切か(2時間以内または4時間以内) | 作業指針 | |
除草 (刈払機) |
振動工具管理責任者を定めているか | 作業指針 |
作業開始前に刈払機の点検をしているか | 作業指針 | |
作業範囲を明確にし,関係者以外の立入りを禁止しているか(5m以内立入り禁止) | 作業指針 | |
すね当てや防塵メガネを着用しているか | 作業指針 | |
防振用の厚手の手袋等を使用しているか | 作業指針 | |
移動時にはエンジンを停止しているか | 作業指針 | |
法面作業では,親綱,安全帯等を使用しているか | - | |
法面作業では,上下作業になっていないか | - | |
作業員に安全衛生教育を実施しているか | 作業指針 | |
一連続の作業時間は概ね30分以内で,5分以上の休憩を設けているか | 作業指針 | |
振動障害防止(作業時間等)措置は適切か(2時間以内) | 作業指針 | |
高圧洗浄 | 作業手順が明確になっているか | 管理指針 |
漏電遮断器が設置されているか | 安衛則333条 | |
ノズルマン,機械操作者が明確になっているか | 管理指針 | |
研削 | 研削砥石については,作業開始前に1分以上,取り替えたときには3分以上の試運転を実施しているか | 安衛則108条 |
特別教育を実施しているか(研削砥石の取替えまたは試運転) | 安衛則36条 | |
切削屑の飛散防止措置がされているか | 安衛則106条 | |
公衆・環境 | 歩行者,一般車両に対する配慮(区画等)は適切か | - |
交通整理員,専任監視員の配置は適切か | - | |
騒音・振動対策は適切か | - | |
排水処理は適切か | - | |
廃棄物処理は適切か | - | |
道路の清掃状況は良いか(粉塵の飛散防止) | 安衛則582条 |
(3)放射線管理
a. 放射線管理の基本と体制
放射線下での作業を進めるにあたり,関係法規および法令を遵守し,放射線管理に努めることを基本とし,除染電離則に従うものとします。作業及び放射線管理の総括責任者である現場代理人の下にスタッフとして放射線管理責任者(以下,「放管責任者」)を設け,放射線管理業務を統括します。さらに,放管責任者は作業班ごとに作業指揮者を指名し,効率的な放射線管理活動を実施します。放管責任者は,除染作業計画,および実施する作業に対して,被ばく低減,放射線防護措置等の観点から管理,指導します。外部被ばく線量管理として,作業エリアへ立入る者は,放射線個人被ばく管理に必要な測定器を着用します。内部被ばく管理として,作業前,およびその後定期(3ヶ月毎),退所時に,ホールボディカウンター(WBC)による測定を行います。
b. 放射線管理における作業管理
作業計画,放射線管理計画の充実と周知徹底として,計画段階で作業責任者と放管員等にて事前検討を行い,放射線被ばく低減対策諸事項について現場状況を踏まえた具体的検討を行います。放射線管理計画書等に基づき,関係者全員参加の事前検討会等にて,作業手順,方法とともに放射線被ばく低減対策上必要な計画事項,注意事項を全員に周知徹底します。
日々の作業管理の徹底として,日々のツールボックスミーティング(TBM)により,放射線被ばく低減対策事項の繰返し徹底を図ります。必要に応じて作業責任者による現場パトロールにより放射線被ばく低減対策実施状況を確認するとともに,改善指摘事項を翌日以降の作業へ反映させます。空気の乾燥等によりダスト濃度の上昇によって作業現場周辺の汚染が拡大し,環境線量率の上昇の恐れがある場合は湿式工法等の検討をすることにより,極力ダスト濃度の上昇を防ぐこととします。
また,ホットスポットの除去物の現場保管にあたっては,カラーコーンで囲い注意表示するなどの措置を行い,作業員が不用意に近づかないようにします。
c. 除染作業における放射線防護装備
体表面汚染及び内部被ばく防止のために,作業に応じて必要な防護装備を着用します。モニタリング及び除染作業実施時の基本装備としては,除染電離則において高濃度汚染土壌等(50万Bq/kg超)を取り扱うとした場合であって高濃度粉じん作業(10mg/m3超)である場合においては,身体にタイベックスーツ(雨天時はビニール),顔にゴーグルと半面マスク,手に綿手袋とゴム手袋,足に作業専用の靴(長靴),汚染状況により靴カバーを着用,防寒用や滑り止め用の手袋を着用する場合は,ゴム手袋の上から着用し,外す際はスクリーニングを行うといった対応が考えられます。これらは,休憩所の中には持ち込まないようにします。パトロール,監視業務等,直接作業をしない人で,作業をしている近傍に立ち入らない場合は,身体に作業服,顔にサージカルマスク,手に綿手袋,足に作業場所専用の靴または靴カバーを着用します。なお,除染電離則等において必要とされる環境の場合については,直接作業をしなくても,森林内を通行し,土壌,草木の飛散により作業服に汚染が付着する恐れがある場合はタイベックスーツを着用します。なお,防護装備の着用については,除染電離則等に従って,必要十分な装備を選択することとし,過度な装備の使用により廃棄物の発生量の増大を招かないようにします。
d. 除染作業における物品の移動管理
作業現場への物品の持ち込みは,予め指定されたものを除き,資材,道工具等の物品を作業現場内に持ち込む場合は必要に応じて事前に確認を行います。なお,梱包材等の不要品は持ち込まないようにし,大量使用物品は定期的に見直して,必要最小限だけ持ち込み,使用後作業現場外に搬出する予定の物品については必要に応じてシート,ビニール袋等で事前の養生を行います。なお,物品を作業現場外へ搬出する場合,表面汚染密度(必要に応じて線量率)を測定し,確認した上で行います。
3 作業監理
労働安全衛生法,除染電離則及びその他関係法令の趣旨を尊重し安全管理を進めるものであり,これにより労働安全及び放射線障害の防止のための放射線被ばく低減を図ることを可能とします。
a. 安全管理の基本方針
安全管理の基本方針は,人命尊重を基本とし「安全は全てに優先」を大前提に安全管理体制を確立し,「災害,トラブル《ゼロ》」を目標に全力を挙げて取り組むことであり,災害発生要因を是正するとともに,安全作業に徹し,無事故・無災害で除染作業を進めることにあります。
b. 安全衛生管理体制
災害防止責任者は,作業員の安全を確保するため,安全衛生教育,作業手順の作成等の指導,及び保護具の確実な使用による作業を徹底するよう,パトロール,日常の作業間連絡調整で管理,指導します。また,放射線管理責任者と一体になって作業員の線量管理を指導,確認します。
c. 緊急時連絡体制
作業現場内において緊急時に事故等が発生した場合は人命第一とし,緊急時には,別途さだめた要領で,関係部署に速やかに報告し,迅速な措置を行います。一方で,発生時点においては問題点の早期発見と対策を行い,再発防止対策を作成し類似災害の発生を防止します。
d. 健康管理
作業者の健康を管理するために,除染電離則,労働安全衛生法等にもとづき進めます。
e. 毎日の作業管理など
毎日,ツールボックスミーティング(TBM)により,安全対策事項の繰返し徹底を図ります。毎朝作業開始前に安全朝礼を行い,各作業長による当日の作業内容,安全対策事項を伝達,周知徹底を行い,また,朝礼にて作業長による伝達事項の終了後『ゼロ災コール』を行い,士気の高揚を図ります。
f. 作業環境
空間線量率をNaIシンチレーション線量計,電離箱,半導体式サーベイメータ等により測定し作業現場の線量率を把握します。GM計数管式サーベイメータにより作業現場及び作業に伴い発生した防護用被服等の表面汚染密度を測定し汚染確認を行います。ダストサンプラーにより作業中,作業後の空気を捕集しGM計数管式サーベイメータにより空気中の放射性物質による汚染状況を確認します。
g. 休憩所の利用
休憩所を設置し,作業員へ利用させるときは,喫煙及び飲食の可否,入室の際のスクリーニング,整理・整頓・清潔を徹底させます。また,休憩所内の空間線量率(必要に応じて表面汚染密度)の測定を定期的に行い,休憩所内の環境を常に把握しておく必要があります。
h. 安全衛生教育
作業員全員に対し途中新規に作業に加わるものも含め,放射線管理を含む安全管理上の基本的な遵守事項,当該作業の遵守事項,防護指示事項の厳守等の教育を行います。なお,具体的な教育項目は,現場における留意事項,安全衛生管理組織,緊急時の連絡体制,作業概要及び作業内容,作業に関する安全対策,作業手順を周知します。
i. 防火管理,救急体制,防災対策
所要の事態に備え必要な体制,対応準備を行います。特に怪我人が出た場合,①警戒区域から出る前のスクリーニングをどこで実施するか,②夏と冬では,道路の降雪,凍結状態により最速ルートが異なる,③放射性物質汚染の恐れがある場合は,受け入れ病院が限定される,といった点を考慮し,搬送ルート及び搬送先を予め決めておく必要があります。
j. 保険の適用
除染作業は,原則として建設業等の労災保険の適用がなされるため,労災保険に加入する必要性があります。
4 結果報告書
作業監理を通じて受託者から提出された資料や作業監理箇所で作成した資料,また書面で指示,協議した事項等について整理します。
5 情報管理
上記結果報告書の内,個人情報等公開に適さない情報については,情報管理書類として別添で整理します。