作業者の外部被ばく管理方法と結果

 作業期間中,全ての作業員にポケット線量計と積算型の線量計(ガラス線量計又はOSL線量計)着用させることによって,除染エリア,仮置場,除染エリアから仮置場までの運搬経路における外部被ばく量の管理を実施しました。

 ポケット線量計は作業日毎の管理用とし,作業日の作業開始時に配布・着用,作業終了時に回収しました。積算型の線量計は評価用とし,除染作業従事期間の開始時に配布・着用,作業従事期間終了時に回収しました。ポケット線量計及び積算型の線量計の使用方法及び特徴は,放射線管理の有資格者が作業員に対し教育を行い,これらの測定器を適切に使用しました。

 作業期間はモニタリング及び除染作業を合わせて最大2ヶ月程度であるため,積算型線量計による作業員の外部被ばく実効線量は,当該作業員の除染作業従事期間終了後に算定しました。除染作業期間中の累積被ばく線量は,ポケット線量計による外部被ばく線量で管理しました。ポケット線量計及び積算型線量計による外部被ばく線量測定を確実に実施するため,各除染作業エリアの休憩所等において以下の事項を行いました。除染作業における一例を以下に示します。

a) 除染作業における外部被ばく測定(管理)方法の例

1) 作業従事開始日

i. 各作業員が作業従事する作業開始時に積算型の線量計を貸与しました。

2) 一日の作業開始時

i. ポケット線量計の受渡し場所において,各作業員は,個人線量計貸出管理記録簿に会社名,氏名,作業内容,作業エリア,線量計No,貸出時間等を記入しました。

ii. 各作業員はポケット線量計を受け取り,各作業員はポケット線量計の電源を入れて作動確認を行い,確実に測定できる状態であること(指示値が0であることなど)を確認したのち,ポケット線量計を着装しました。

iii. 作業員が2人1組となり,お互いのポケット線量計及び積算型の線量計の着装を指差し確認しました。

iv. 各作業員は装着場所で所定の放射線防護装備を着用しました。

3) 作業終了時

i. 各作業員は各除染作業エリアのスクリーニング場所で,放射線管理員が行うGM管式サーベイメータによる身体表面の汚染検査を受け,頭部,手,足及び衣服に汚染のないことを確認しました。なお,汚染があった場合は,脱装エリアで放射線防護装備を脱装し,再度スクリーニングを受けました。

ii. 身体表面に汚染があった場合は,除染エリアで濡れキムタオル,ウェットティッシュ等を用いて除染することとしました。

iii. 各作業員はポケット線量計受渡し場所で,ポケット線量計に示された作業当日の累積被ばく線量と記入時の時刻を個人線量計貸出管理記録の各自の欄に記入しポケット線量計を返却しました。

4) 作業従事終了日

i. 各作業員の作業従事終了日の作業終了時に積算型の線量計を返却しました。

5)個人線量計の管理

i. ポケット線量計及び積算型の線量計には,ナンバリングを行い台帳で確実に管理しました。

b) 測定結果の記録・管理

 外部被ばく線量の測定結果は,作業員ごとに被ばく線量台帳に記録しました。被ばく線量台帳はすべて電子データ化して保存・管理し,各作業員に対して結果を通知しました。
 外部被ばくの測定結果は,下表のとおりでした。

  • 除染対象地区ごとに作業員の外部被ばく線量を比較すると,除染前の作業場所の空間線量率が高いところで被ばく線量が高くなる傾向にあります。
  • 適切な放射線管理を行うことにより,線量限度の範囲内に管理できました。
外部被ばくの結果
除染実施地域 年間積算線量
(mSv)*1
作業期間
(日)
作業員数
(人)
平均線量
(mSv)
個人最大線量
(mSv)
広野町 3 116 367 0.16*2 0.77*2
田村市 4 52 237 0.02 0.12
楢葉町
(南工業団地)
4 118 331 0.11 0.83
南相馬市 5 78 336 0.12 0.36
葛尾村 8 61 343 0.05 0.25
楢葉町
(上繁岡地区)
11 90 206 0.12 1.3
川俣町 15 89 307 0.21 0.99
飯舘村 19 80 617 0.33 1.24
川内村 20 110 249 0.39 1.8
浪江町
(権現堂地区)
26 54 302 0.41 1.15
富岡町
(富岡第二中学校)
32 78 627 0.33 1.56
富岡町
(夜の森公園)
43
浪江町
(津島地区)
48 40 188 0.52 1.41
大熊町
(町役場周辺)
65 130 223 1.56 8.52
大熊町
(夫沢地区)
344 108 304 2.43 11.6
*1 除染実施区域の事前モニタリングによって測定した空間線量率から個別に試算した値。
*2 ガラス線量計により評価した積算線量で,他の地区のようなポケット線量計による作業時間内の線量のみを積算したものとは評価方法が異なる。