ショットブラストによるコンクリート・モルタル部の除染方法

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅰ宅地より

宅地におけるコンクリート・モルタル部を,ショットブラスト機を用いて除染しました。ショットブラストは,鉄球や砂などの研磨材を高速で発射することによりコンクリート表面を切削することができます。ショットブラスト機はかなり大型のため,宅地での使用はほとんどの場合不向きです。比較的大きな宅地や道路沿いのコンクリートたたき部には使用が可能です。

ショットブラストによる除染状況
ショットブラストによる除染状況
富岡町における実施結果(対象:土間コンクリート,ショットブラスト)
  除染前 除染後 低減率(%)
空間線量率(1m) (μSv/h) 6.44 3.14 51
表面線量率(1cm)(μSv/h) 9.84 2.52 74
表面汚染密度 15,280 1,640 89

 

ショットブラストによるコンクリート・モルタル部の除染(富岡町)

切削機によるアスファルト舗装面の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

アスファルト舗装面の切削機(ショットブラスト)を用いた除染作業の具体的流れを以下に示します。

1.目的

アスファルト舗装面の除染方法として,切削機による表面切削の手順を示します。

2.作業項目

  • 使用機材点検
  • 表面切削
  • 詰込み・運搬

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。

(2)表面切削
切削機を用いアスファルト舗装表面を切削します。

(3)詰込み・運搬
切削屑をフレキシブルコンテナに収容し一時仮置き場まで運搬します。

4.使用機材

保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等),切削機,トラック

5.留意事項等

(1)コンクリート面に残った切削屑をスイーパーで回収しているが,粒子の細かい屑は飛散しやすいので吸引等により回収することが重要です。また,コンクリート面に残った鉄球を100%回収することが重要です。

(2)ブラスト面の中央部と端部で切削深度に違いがあるため,ブラスト面の幅の半分程度のラップが必要となります。

(3)投影密度と走行回数(スピード)によっても切削深さが異なるので,事前に試験区間を設け,それらの要因と低減率の関係を把握し,施工の仕様を決定することが重要です。

(4)対象がアスファルト舗装の場合,切削厚さによってはオーバーレイ(ストレートアスファルトのみ)が必要となります。

ショットブラストによるコンクリート・モルタル部の除染の歩掛例

コンクリート・モルタル部 の“ショットブラスト”を用いた除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

  • 内容:コンクリート面・アスファルト舗装面切削(切削機(ショットブラスト,幅700mm)),詰込,運搬(宅地・大型構造物,たたき・犬走り・舗装などのコンクリート面・アスファルト舗装面)
  • 歩掛表
(530m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.60

普通作業員

 

人日

1.20

運転手(特殊)

 

人日

0.90

特殊作業員

 

人日

1.90

【 材 料 費 】

 

 

 

大型土嚢

耐候性(3年)

0.80

【 機械損料 】

 

 

 

トラック 普通  186kW          

積載質量 8t積 (運)            

台時

5.60

トラック 普通  186kW          

積載質量 8t積 (供)            

台日

0.90

ショットブラスト

ダストコレクタなど含む(運)

台時

5.60

ショットブラスト

ダストコレクタなど含む(供)

台日

0.90

発動発電機 

ディーゼルエンジン駆動 117kW 

(超低騒音)排ガス対策容量

125kVA(運)2次

台日

0.90

発動発電機 

ディーゼルエンジン駆動 117kW 

(超低騒音)排ガス対策容量

125kVA(供)2次

台日

0.90

 小 計 

 

 

 

【 諸雑費 】

 

1.00

ショットブラストによるコンクリート・モルタル部の除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

ショットブラストによるコンクリート・モルタル部の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号

宅-13

大分類

宅地,大型構造物

中分類

たたき(土間),犬走り,舗装

小分類

コンクリート面,アスファルト舗装面

除染手法

表面切削(C)

内容

コンクリート,アスファルト舗装面切削(切削機(ショットブラスト)),詰込,運搬

除染方法

<除染手順>

コンクリート面,アスファルト舗装切削:  →フレキシブルコンテナ詰込: →運搬(除染箇所の一時集積所まで):

切削機(ショットブラスト) 人力 トラック

<除染概要>

切削機(ショットブラスト)でコンクリート面,アスファルト舗装面を切削します。人力で切削屑をコンテナに詰込み,トラックで除染箇所の一時集積所に運搬します(運搬距離100m)。

主要機械仕様

切削機(ショットブラスト,切削幅70cm,投射量125kg/min,投射速度75m/s),トラック

環境条件

適用環境条件

降雨時は投射材(鉄球)の回収が困難なため,施工不可。

施工制約条件

特になし。

評価

除去物

施工スピード(作業員数)

540m2/日(中型1往復),850m2/日(大型1走行) (5人)

除去物発生量

30袋/ha程度

除去物内容

切削屑,投射材

水処理方法

使用水量

汚染水回収方法

回収率

除染係数の目安

DF

10程度

低減率

90%

コスト(直接工事費>1,000m2

570円/m2

施工上の留意点改善点

・除染後に切削面に残った切削屑は確実に収集除去するとともに,切削に用いた鉄球はスイーパーで確実に回収することが重要です(除染効果の確保)。

・ブラスト面の中央部と端部で切削深度が異なるため,除染幅の半分程度のラップが必要となります(除染効果の確保)。

・投射密度と走行回数(スピード)で切削深さが異なるので,事前にこれらの要因と低減率の関係を把握し,施工の仕様を決定することが重要です(除染効果の確保)。

・その他,アスファルト舗装の場合,切削厚さによってはオーバーレイが必要となります。