高圧水洗浄及びブラッシング(金ブラシ使用)によるコンクリート・モルタル部の除染方法

南相馬市における実施結果(対象:土間コンクリート)
  除染前 除染後 低減率(%)
空間線量率(1m) (μSv/h) 0.85 0.67 21
表面線量率(1cm)(μSv/h) 1.70 0.99 42
表面汚染密度 2,910 1,160 60

 

ブラッシングと高圧水洗浄によるコンクリート擁壁の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

コンクリート擁壁のブラッシング高圧水洗浄を用いた除染作業の具体的流れを以下に示します。

1.目的

コンクリート擁壁部の除染方法として,ブラッシングと高圧水洗浄による洗浄手順を示します。

2.作業項目

  • 使用機材点検
  • ブラッシング
  • 洗浄
  • 洗浄水の回収
  • 運搬

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。

(2)ブラッシング
擁壁表面を金属ブラシにより人力でブラッシングします。金属ブラシで除去したコケや土砂の取り残しに注意します。

(3)洗浄
高圧水洗浄機を用いコンクリート擁壁表面を洗浄します。

(4)洗浄水の回収
洗浄に使用した水はバキューム車で回収します。

(5)運搬
回収した水を水処理設備まで運搬します。

4.使用機材

保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等),金属ブラシ,高圧水洗浄機,バキューム車

5.留意事項等

(1)高圧水洗浄機のノズル先を人に向けないようにします。

(2)コンクリート表面が濃緑色に変色している場合など,金属ブラシによりコケや土砂などの付着物を削りとることにより除染を行うが,削り取った研磨屑や浮き上がった土砂等を高圧水で洗浄することにより,さらに除染効果を向上させることができます。

(3)周辺土壌が二次汚染しないように,除染水の飛散浸透防止策を講じることが重要です。

(4)高圧水を面に直角に,噴射口と除染対象との離隔を20㎝以下に維持することが重要です。

高圧水洗浄及びブラッシング(金ブラシ使用)によるコンクリート・モルタル部の除染の歩掛例

コンクリート・モルタル部 の“高圧水洗浄及びブラッシング(金ブラシ使用)”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

  • 内容:表面ブラッシング(金ブラシ),高圧水洗浄,洗浄水回収,運搬(宅地・大型構造物,擁壁・犬走りなどのコンクリート面)
  • 歩掛表
(1m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

ブラッシング

 

m2

1.00

高圧水洗浄

 

m2

1.00

ブラッシング(80m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.30

普通作業員

 

人日

2.00

【 諸雑費 】

 

1.00

高圧水洗浄(390m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.60

普通作業員

 

人日

2.00

運転手(特殊)

 

人日

1.00

運転手(普通)

 

人日

1.00

【 機械損料 】

 

 

 

給水車 118kW

タンク容量 3,800L(供)

台日

1.00

給水車 118kW

タンク容量 3,800L(運)

台時

6.00

工事用高圧洗浄機 

モーター駆動 3.7kW

吐出量30.1L/min 

圧力 4.9MPa (供)

台日

1.00

工事用高圧洗浄機 

モーター駆動 3.7kW

吐出量30.1L/min 

圧力 4.9MPa (運)

台日

1.00

発動発電機 

ディーゼルエンジン駆動3.4kW 

定格容量 3kVA (供)

台日

1.00

発動発電機 

ディーゼルエンジン駆動 3.4kW 

定格容量 3kVA (運)

台日

1.00

側溝清掃車 

ブロア式 105kW

ホッパ容量3.1m3 

風量20m3/min (供)

台日

1.00

側溝清掃車 

ブロア式 105kW

ホッパ容量3.1m3

風量20m3/min (運)

台時

6.00

水槽(一般工事用)鋼板製簡易水槽

容量5m3(供)

台日

1.00

【 諸雑費 】

1.00

留意事項: 上記は,ブラッシングと高圧水洗浄の2段階作業となります。

高圧水洗浄及びブラッシング(金ブラシ使用)によるコンクリート・モルタル部の除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

高圧水洗浄及びブラッシング(金ブラシ使用)によるコンクリート・モルタル部の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号

宅-14

大分類

宅地,大型構造物

中分類

擁壁,犬走り

小分類

コンクリート面

除染手法

表面ブラッシング+高圧水洗浄(A)

内容

表面ブラッシング(金ブラシ),高圧水洗浄,洗浄水回収 ,運搬

除染方法

<除染手順>
表面ブラッシング: →洗浄: →洗浄水回収・運搬(除染箇所の水処理設備まで):
人力(金ブラシ) 高圧水洗浄機 バキューム車
<除染概要>
大型構造物のコンクリート擁壁,犬走りなどの表面汚れを予め金ブラシでブラッシングして除去し,高圧水洗浄機(10~20MPa)で洗浄します。洗浄に使った水はバキューム車で吸引回収し,除染箇所の水処理設備に運搬します(運搬距離100m)。

金ブラシによるブラッシング

擁壁の高圧水洗浄

主要機械仕様

高圧水洗浄機(最大50MPa),バキューム車

環境条件

適用環境条件

汚染の激しいコンクリート擁壁では,汚染物質が深部まで付着し,ブラッシングや高圧水洗浄では除染が困難。

施工制約条件

特になし。

評価

除去物

施工スピード
(作業員数)

100m2/日 (2人)

除去物発生量

ほとんど無し

除去物内容

汚泥

水処理方法

使用水量

3~4m3/100m2程度

汚染水回収方法

側溝流末部でのバキューム吸引

回収率

100%(コンクリート吸水分を除く)

除染係数の目安

DF

1.3~3.3

低減率

20~70%

コスト(直接工事費>1,000m2

960円/m2

施工上の留意点
改善点

・高圧水を除染面に直角に噴射するとともに,噴射口と除染面との離隔を20㎝以下に維持することが重要です(除染効果の確保)。
・金ブラシで除去したコケや土砂などの取り残しを無くすことが重要です(除染効果の確保)。
・除染水が飛散し,周辺土壌が二次汚染しないように飛散防止策を講じることが重要です(汚染の拡大防止による除染効果の確保)。