超高圧水洗浄によるコンクリート・モルタル部の除染方法

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅰ宅地より

宅地におけるコンクリート・モルタル部の除染方法としては,大型構造物周辺と比べ狭小なスペースでの作業となることから,大型機械を用いない工法が主となりました。

超高圧水洗浄機を用いて除染を行いました。超高圧水洗浄機は,超高圧水(120MPa程度)を放射することにより,コンクリート表面を切削することができます。切削に用いた水は,同機器の機能で拡散させずに回収することが可能です。

超高圧水洗浄による除染状況
超高圧水洗浄による除染状況
大熊町夫沢地区における実施結果(対象:土間(コンクリート))
  除染前 除染後 低減率(%)
表面線量率(1cm)(μSv/h) 15.9 14.2 11
表面汚染密度 17,600 11,000 37
広野町では約200MPaで実施しました。

超高圧水洗浄によるアスファルト舗装面の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

アスファルト舗装面の超高圧水洗浄を用いた除染作業の具体的流れを以下に示します。

1.目的

アスファルト舗装面の除染方法として,超高圧水洗浄による表面切削の手順を示します。

2.作業項目

  • 使用機材点検
  • 表面切削
  • 洗浄水の回収
  • 運搬

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。

(2)表面切削
超高圧水洗浄機を用いアスファルト舗装面を切削します。

(3)洗浄水の回収
洗浄に使用した水はバキューム車で回収します。

(4)運搬
回収した水を水処理設備まで運搬します。

4.使用機材

保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等),超高圧水洗浄機,バキューム車

5.留意事項等

(1)高圧水洗浄機のノズル先を人に向けないようにします。

(2)他の切削と異なり除去物発生量は多くありませんが,水処理が必要となります。

(3)コンクリート面深くまで汚染が進行している場合には,高圧での洗浄もしくは複数回の施工が必要となることから,事前に圧力,回数の違いによる除染効果の違いを把握し,仕様を決定することが重要です(低減効果の測定にあたっては,除染水による遮へい効果を除くため,乾燥した後に測定することが重要です)。

(4)中型の超高圧水洗浄機では縁石近くに数センチ幅の未除染部が残るため,ハンディ型のものを併用する必要があります(除染効果の確保)。

(5)対象がアスファルト舗装の場合,切削厚さによってはオーバーレイ(ストレートアスファルトのみ)が必要となります。

超高圧水洗浄によるコンクリート・モルタル部の除染の歩掛例

コンクリート・モルタル部 の“超高圧洗浄”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

  • 内容:コンクリート面・アスファルト舗装面切削(超高圧水洗浄機),洗浄水回収,運搬(宅地・大型構造物,たたき・犬走り・舗装などのコンクリート面・アスファルト舗装面)
  • 歩掛表
(330m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.60

普通作業員

 

人日

1.60

運転手(特殊)

 

人日

0.20

特殊作業員

 

人日

1.90

【 材 料 費 】

 

 

 

大型土嚢

耐候性(3年)

0.50

【 機械損料 】

 

 

 

超高圧水洗浄機

(供・運) 

ノズル・ホース含む

台日

0.90

強力吸引車

(運)6m3 

台時

5.60

強力吸引車

(供)6m3

台日

0.90

発動発電機 

ディーゼルエンジン駆動 3.4kW 

定格容量 3kVA (運)    

台日

0.90

発動発電機 

ディーゼルエンジン駆動 3.4kW 

定格容量 3kVA (供)    

台日

0.90

空気圧縮機 

可搬式・ロータリーベーン 25kW 

エンジン掛サイレンサー

吐出量3.7m3(運)  

台日

0.90

空気圧縮機 

可搬式・ロータリーベーン 25kW 

エンジン掛サイレンサー

吐出量3.7m3(供)  

台日

0.90

トラック 

クレーン装置付   132kW     

積載質量 4t積 

2.0t吊 (運)      

台時

5.60

トラック 

クレーン装置付   132kW     

積載質量 4t積 

2.0t吊 (供)      

台日

0.90

給水車 118kW               

タンク容量 3,800L (運)         

台時

5.60

給水車 118kW               

タンク容量 3,800L (供)         

台日

0.90

【 諸雑費 】

 

1.00

超高圧水洗浄によるコンクリート・モルタル部の除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

超高圧水洗浄によるコンクリート・モルタル部の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号

宅-12

大分類

宅地,大型構造物

中分類

たたき(土間),犬走り,屋上,階段,ベランダ,舗装

小分類

コンクリート面,アスファルト舗装面

除染手法

表面切削(B)

内容

コンクリート面,アスファルト舗装面切削(超高圧水洗浄機),洗浄水回収,運搬

除染方法

<除染手順>
コンクリート面,アスファルト舗装切削:→洗浄水回収:→運搬(除染箇所の水処理設備まで):
超高圧水洗浄機(最大240MPa) バキューム車 バキューム車

<除染概要>
超高圧水洗浄機(最大240MPa)で,コンクリート面,アスファルト(特にストレートアスファルト)舗装面を薄削します。切削に使った水はバキューム車で吸引回収し,除染箇所の水処理設備へ運搬します(運搬距離100m)。

主要機械仕様

超高圧水洗浄機(最大240MPa),バキューム車

環境条件

適用環境条件

除染効果に影響する環境条件は見当たらない。

施工制約条件

特になし。

評価

除去物

施工スピード
(作業員数)

330m2/日(中型1往復) (4人)

除去物発生量

30袋/ha程度

除去物内容

切削屑

水処理方法

使用水量

4~5m3/100m2程度

汚染水回収方法

バキューム吸引

回収率

100%

除染係数の目安

DF

5程度

低減率

80%程度

コスト(直接工事費>1,000m2

1,150円/m2

施工上の留意点
改善点

・事前に圧力,回数の違いによる除染効果の違いを把握し,仕様を決定することが重要です(除染効果の確保)。なお,低減効果の測定では,除染水の遮へい効果を除くため,乾燥状態で測定する必要があります。
・中型の超高圧水洗浄機では縁石近くに数センチ幅の未除染部が残るため,ハンディ型のものを併用する必要があります(除染効果の確保)。
・その他,アスファルト舗装の場合,切削厚さによってはオーバーレイ(ストレートアスファルトのみ)が必要となります。