【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅰ宅地より
宅地における比較的狭いスペースにある芝部の除染は,小型のソッドカッターを用いたサッチ層までの刈り取り(表面から約3㎝まで深刈りする)及び,鍬,スコップ,ジョレン等を用いた人力,もしくは小型バックホウを用いて,サッチ層に加えて表土を2~5㎝剥ぎ取る除染を行いました。前者は芝の根が残ることから実施後でも芝の再生が可能であり,表土までの剥ぎ取りよりも除去物の発生量を抑制することができます。一方,後者は芝の根も大部分除去することから機能回復措置の必要性について検討する必要があります。
除染前 | 除染後 | 低減率(%) | |
---|---|---|---|
表面線量率(1cm)(μSv/h) | 3.72 | 1.03 | 72 |
表面汚染密度 | 1,650 | 530 | 68 |
芝の剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
宅地庭部芝地において芝の剥ぎ取りによる除染作業の具体的な流れを以下に示します。
1.目的
芝地の除染方法として,ソッドカッターを用いた芝の剥ぎ取りの手順を示します。
2.作業項目
- 使用機材点検
- 除草
- 芝の剥ぎ取り
- 集積・詰込み
- 運搬
3.作業手順
(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(2)除草
除染対象エリアの落葉を除去し,エンジン式草刈機を用いて除草します。
(3)芝の剥ぎ取り
ソッドカッターを用いて芝のサッチ層を3㎝の深さで切断します。
(4)集積・詰込み
切断した芝を人力で巻き取りフレキシブルコンテナに収納します。残渣は,熊手・鋤簾等を用いて収集します。
(5)運搬
フレキシブルコンテナをトラッククレーン等で一時仮置き場まで運搬します。
4.使用機材
保護具(半面マスク,ゴム手袋等),エンジン式草刈機,ソッドカッター,スコップ,熊手,鋤簾,トラッククレーン
5.留意事項等
(1)除染対象エリアはソッドカッターの走行できる必要幅以上です。また,植栽およびその根がないようにします。
(2)重機(トラッククレーン)の死角には立ち入りできないようカラーコーン等で作業エリアを明示します。
(3)本施工に先立ち,予め剥ぎ取り深さと除染効果の関係を把握し,必要剥ぎ取り深さを決定することが重要です。
芝の剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の歩掛例
宅地の庭部芝地において,芝の剥ぎ取りによる除染の本事業における歩掛例を以下に示します。
- 内容:草刈り芝剥ぎ取り(ソッドカッター),集積,搬送,詰込,運搬(宅地,庭)
- 歩掛表
名称・項目 |
仕様 |
単位 |
数量 |
【 労 務 費 】 |
|
|
|
土木一般世話役 |
|
人日 |
0.80 |
普通作業員 |
|
人日 |
2.50 |
運転手(特殊) |
|
人日 |
2.00 |
運転手(普通) |
|
人日 |
1.00 |
【 材 料 費 】 |
|
|
|
大型土嚢 |
耐候性(3年) |
袋 |
8.50 |
【 機械損料 】 |
|
|
|
草刈機 肩掛け式 1.3kW |
カッター径255mm(供) |
台日 |
1.00 |
草刈機 肩掛け式 1.3kW |
カッター径255mm(運) |
台日 |
1.00 |
トラック クレーン装置付 132kW |
積載質量 4t積 2.9t 吊 (供) |
台日 |
1.00 |
トラック クレーン装置付 132kW |
積載質量 4t積 2.9t 吊 (運) |
台時 |
6.00 |
ソッドカッター |
3㎝ (供) |
台日 |
1.00 |
【 諸雑費 】 |
|
式 |
1.00 |
芝剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
芝剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。
整理番号 |
宅-9 |
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大分類 |
宅地 |
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中分類 |
庭 |
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小分類 |
芝地 |
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除染手法 |
芝剥ぎ取り(A) |
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内容 |
草刈り,芝剥ぎ取り(ソッドカッタ-),集積,搬送,詰込,運搬 |
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除染方法 |
<除染手順> |
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主要機械仕様 |
肩掛け式草刈機,ソッドカッター,トラッククレーン |
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環境条件 |
適用環境条件 |
園庭,公園などの平坦な芝生が対象。除染効果に影響するような環境条件は見当たらない。 |
||
施工制約条件 |
植栽が近くにあると,その根のために施工が困難な場合がある。 |
|||
評価 |
除去物 |
施工スピード |
100m2/日 (6人) |
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除去物発生量 |
200~500袋/ha (剥ぎ取り厚2~5cm) |
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除去物内容 |
芝草,土壌 |
|||
水処理方法 |
使用水量 |
― |
||
汚染水回収方法 |
― |
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回収率 |
― |
|||
除染係数の目安 |
DF |
5程度(試験施工) |
||
低減率 |
80%程度(試験施工) |
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コスト(直接工事費>1,000m2) |
1,500円/m2 (ただし,試験施工) |
|||
施工上の留意点 |
・放射能濃度の深度分布を把握し,剥ぎ取り深さを決定することが重要です(除染効果の確保,除去物量の適正化)。 |