砕石剥ぎ取りによる宅地庭部の除染方法

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅰ宅地より

庭内の駐車スペースや雨だれ部等の砕石・玉砂利が敷設されたエリアにおいては,ミニバックホウ等の重機により砕石・玉砂利の剥ぎ取りを行いました。重機での作業ができない狭隘部では,鋤簾やシャベルを用いて手作業により砕石・玉砂利を除去しました。

砕石剥ぎ取り作業状況
砕石剥ぎ取り作業状況
大熊町役場周辺における実施結果(砕石除去
  除染前 除染後 低減率(%)
表面汚染密度 16.5 2.4 85

 

砕石洗浄による宅地庭部の除染(南相馬市)

砕石剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

宅地庭部における砕石剥ぎ取りによる除染作業の具体的な流れを以下に示します。。

1.目的

庭や駐車場等の砕石が敷設されたエリアの除染方法として,砕石の剥ぎ取りおよび清浄砕石の敷設の手順を示します。

2.作業項目

  • 使用機材点検
  • 現況確認
  • 砕石剥ぎ取り・集積
  • 詰込み
  • 運搬
  • 清浄砕石敷設による復旧

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。

(2)現況確認
表土の状況や作業エリアの埋設物を確認します。また,作業上障害物となる庭木などの位置を確認します。

(3)表土剥ぎ取り・集積
人力および可能であればバックホウを使用して表土を剥ぎ取ります。

(4)詰込み
剥ぎ取った砕石をフレキシブルコンテナに収納します。

(5)運搬
フレキシブルコンテナをトラック等で一時仮置き場まで運搬します。

(6)清浄砕石敷設による復旧
放射線に汚染されていない新規の砕石で敷設復旧します。

4.使用機材

保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等),スコップ,バックホウ,トラック

5.留意事項等

(1)重機の旋回範囲,死角には立ち入らないよう注意します。

(2)雨どいなどに堆積した堆積物は線量が比較的高いため速やかに処理します。

(3)本施工に先立ち,予め砕石の剥ぎ取り深さと除染効果の関係を把握し,必要剥ぎ取り深さを決定することが重要です。

砕石剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の歩掛例

宅地の庭 の“砕石剥ぎ取り”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

  • 内容:砕石剥ぎ取り(人力,ミニバックホウ),集積,詰込,運搬,新砕石搬入・敷設(宅地,庭)
  • 歩掛表
(1m2当たり)

名称・項目

仕様

単位

数量

砕石剥ぎ取り

人力,バックホウ

m2

1.00 

砕石敷設

人力,バックホウ

m2

1.00

(230m 2当り)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.68

普通作業員

 

人日

3.50

運転手(特殊)

 

人日

0.50

【 材 料 費 】

 

 

 

大型土嚢

耐候性(3年)

5.50

【 機械損料 】

 

 

 

小型バックホウ(ミニホウ)

クローラ型 25kW 

排出ガス対策型 0.10m3 (供)

2次基準値

台日

1.00

小型バックホウ(ミニホウ)

クローラ型 25kW 

排出ガス対策型 0.10m3(運) 

2次基準値

台日

1.00

バックホウ クローラ型 41kW        

平積容量 0.2m3(供)排対2次     

台日

1.00

バックホウ クローラ型 41kW        

平積容量 0.2m3(運)排対2次     

台時

1.00

トラック クレーン装置付132kW     

積載質量 4t積 2.9t吊(供)      

台日

1.00

トラック クレーン装置付132kW     

積載質量 4t積 2.9t吊(運)      

台時

1.00

【 諸雑費 】

 

1.00

(420m2当たり)

名称・項目

仕様

単位

数量

【 労 務 費 】

 

 

 

土木一般世話役

 

人日

0.50

特殊作業員

 

人日

0.30

普通作業員

 

人日

2.60

運転手(特殊)

 

人日

0.50

【 材 料 費 】

 

 

 

粒度調整砕石                  

40~0mm                  

m3

12.00

【 機械損料 】

 

 

 

ホイールローダ

(トラクタショベル) 21kW  

山積容量 0.4m3(供)排対2次

台日

1.00

ホイールローダ

(トラクタショベル) 21kW  

山積容量 0.4m3(運)排対2次      

台時

2.00

小型バックホウ(ミニホウ)

クローラ型 25kW 

排出ガス対策型 0.10m3 (供)

2次基準値

台日

1.00

小型バックホウ(ミニホウ)

クローラ型 25kW 

排出ガス対策型 0.10m3 (運)

2次基準値

台日

1.00

振動ローラー

ハンドガイド式3.0kW     

質量 0.5~0.6t (供)         

台日

1.00

振動ローラー

ハンドガイド式3.0kW     

質量 0.5~0.6t (運)         

台時

2.00

【 諸雑費 】

 

1.00

留意事項: 上記は,砕石を剥ぎ取り後,新砕石を敷設する作業歩掛です。

砕石剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

砕石剥ぎ取りによる宅地庭部の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号

宅-6

大分類

宅地

中分類

小分類

砕石敷き

除染手法

砕石剥ぎ取り

内容

砕石剥ぎ取り(人力,ミニバックホウ),集積,詰込,運搬,新砕石搬入・敷設

除染方法

<除染手順>
砕石剥ぎ取り:→集積・詰込: →運搬(除染箇所の一時集積場所まで):→新砕石搬入敷設,人力人力トラッククレーン人力
(鋤簾,スコップ)(鋤簾,スコップ)(鋤簾,スコップ)
ミニバックホウ ミニバックホウ ミニバックホウ 
<除染概要>
人力(鋤簾,スコップ等)やミニバックホウで砕石を剥ぎ取り,集積し,フレキシブルコンテナに詰込む。トラッククレーンで除染箇所の一時集積所まで運搬する。剥ぎ取り箇所に新しい砕石を搬入して敷設します(運搬距離100m)。

砕石剥ぎ取り

主要機械仕様

鋤簾,スコップ,ミニバックホウ,トラッククレーン

環境条件

適用環境条件

宅地の庭などが対象。除染効果に影響する環境条件は見当たらない。

施工制約条件

ミニバックホウが作業できる程度の広さが必要。

評価

除去物

施工スピード
(作業員数)

230m2/日 (7人)

除去物発生量

200~400袋/ha (剥ぎ取り厚2~3cm)

除去物内容

砕石,土壌

水処理方法

使用水量

汚染水回収方法

回収率

除染係数の目安

DF

1.3~6.7

低減率

20~85%

コスト(直接工事費>1,000m2

820円/m2

施工上の留意点
改善点

・砕石内および下部の土壌の放射能濃度の深度分布を把握し,剥ぎ取り深さを決定することが重要です(除染効果の確保,除去物量の適正化)。