【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅰ宅地より
雨どいには落葉や土埃が堆積し,場所によっては苔生している場所もあります。ここに雨等により屋根から洗い流された放射性物質を吸着した土埃等が流入・付着しており,比較的高い線量を有しています。
雨どいの除染に際しては,これらの堆積物の除去を行ったうえで,雨どいに付着している放射性物質を吸着した土埃等を取り除くことが対策となります。なお,屋根と同様に高所作業になること,震災や津波による建物の損壊による構造物としての健全度への影響に留意が必要です。
拭き取りによる雨どいの除染に際しては,落葉等の堆積物や苔が雨どい上にある場合は,スコップ等によりこれを除去した後,ウエス等で雨どい表面に付着している泥や埃を拭き取りました。仕上げ時には,ウエス等での一拭きごとにその新しい面を用いました。
除染前 | 除染後 | 低減率(%) | |
---|---|---|---|
表面線量率(1cm)(μSv/h) | 32.13 | 3.12 | 90 |
表面汚染密度 | 19,000 | 1,400 | 93 |
拭き取りによる雨どいの除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
雨どいの拭き取りによる除染作業の具体的な流れを以下に示します。
1.目的
宅地における建物の雨どい部の除染方法として,拭き取りによる除染手順を示します。
2.作業項目
- 足場設置
- 使用機材点検
- ゴミ等の除去・集積
- ゴミ等の収納
- ゴミ等の運搬
- 洗浄(水拭き)・水の回収
- 水の運搬
- 足場撤去
3.作業手順
(1)足場設置
現場の状況に応じて,高所作業車を用いるかあるいは仮設足場を設置します。状況に応じのび馬を使用します。
(2)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(3)ゴミ等の除去・集積
雨どいに溜まった落葉・ゴミ等を人力により除去し集積します。
(4)ゴミ等の収納去
集積した落葉・ゴミ等をフレキシブルコンテナに収納します。
(5)ゴミ等の運搬
フレキシブルコンテナをトラック等で一時仮置き場まで運搬します。
(6)洗浄(高圧水洗浄機)・水の回収
高圧水洗浄機を用いて雨どいを洗浄します。洗浄に使用した水はバキューム車で回収します。
(7)水の運搬
回収した水を水処理設備まで運搬します。
(8)足場撤去
仮設足場を設置した場合はこれを撤去します。
4.使用機材
保護具(保護メガネ,半面マスク,ゴム手袋等,安全帯),タワシ,ウエス,バケツ,高所作業車,足場材,のび馬,トラック
5.留意事項等
(1)高所作業車使用時には,周囲に立入り禁止柵を設け作業エリアを明示します。また,旋回および移動時には,周囲をよく目視確認し,人や既設構造物への接触を防止します。
(2)高所作業時には,安全帯を使用します。
(3)作業者は,高所作業車の旋回範囲,死角には立ち入らないよう注意します。
(4)のび馬使用者は,可搬式作業台の使用についての安全講習受講者の中から選任します。また,使用に際しては,設置地盤及び作業台の水平状況を確認し足元は相番者が支えて使用します。
(5)昇降ではしごを使用する場合は上下を固定し,はしご上部を構造物端部から90cm以上突き出して使用します。
拭き取りによる雨どいの除染の歩掛例
建物の雨どい の“拭き取り(堆積物の除去含む)”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。
- 内容:作業足場設置,ゴミ等の除去,拭き取り,除去物の回収・詰込,洗浄水回収・運搬,作業足場撤去(宅地,雨樋)
- 歩掛表
名称・項目 |
仕様 |
単位 |
数量 |
【 労 務 費 】 |
|
|
|
土木一般世話役 |
|
人日 |
0.80 |
軽作業員 |
|
人日 |
1.30 |
運転手(特殊) |
|
人日 |
3.50 |
【 機械損料 】 |
|
|
|
高所作業車 トラック架装型 65kW |
ブーム型(直伸・屈伸式) 作業床高9m(供) |
台日 |
3.00 |
高所作業車 トラック架装型 65kW |
ブーム型(直伸・屈伸式) 作業床高9m(運) |
台時 |
18.00 |
トラック クレーン装置付 132kW |
積載質量 4t積 2.9t吊 (供) |
台日 |
0.50 |
トラック クレーン装置付 132kW |
積載質量 4t積 2.9t吊 (運) |
台時 |
1.50 |
型枠足場 |
枠組足場 8m>H |
掛m2 |
50.00 |
【 諸雑費 】 |
|
式 |
1.00 |
ブラッシングによる屋根の除染の技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
ブラッシングによる建物の屋根の除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。
整理番号 |
宅-2 |
|||
大分類 |
宅地 |
|||
中分類 |
雨樋 |
|||
小分類 |
||||
除染手法 |
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内容 |
作業足場設置,ゴミ等の除去,拭き取り,除去物の回収・詰込,洗浄水回収・運搬,作業足場撤去 |
|||
除染方法 |
<除染手順> |
|||
作業足場を使用しての拭き取り |
高所作業車を使用しての拭き取り |
|||
主要機械仕様 |
高所作業車または作業足場,トラッククレーン |
|||
環境条件 |
適用環境条件 |
錆びた金属雨樋は除染困難。 |
||
施工制約条件 |
特になし。 |
|||
評価 |
除去物 |
施工スピード |
140m/日 (6人) |
|
除去物発生量 |
少量 |
|||
除去物内容 |
落葉,汚泥 |
|||
水処理方法 |
使用水量 |
少量 |
||
汚染水回収方法 |
バケツ |
|||
回収率 |
100% |
|||
除染係数の目安 |
DF |
1.4~10 |
||
低減率 |
30~90% |
|||
コスト(直接工事費>1,000m2) |
1,100円/m |
|||
施工上の留意点 |
・特にありません。 |