【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅱ大型構造物より
ハンマーナイフモア及びスイーパーを用いてグラウンドの表土の剥ぎ取りを行いました。
スイーパーのみでは剥ぎ取り効率が悪いため,改造型のハンマーナイフモア(草刈り機の軸をずらすことにより表土のぼぐしを行えるよう改造したもの)を用いて事前にグラウンド表面をほぐし,その後,スイーパーによりほぐした土を収集しました。ハンマーナイフモアが一度に剥ぎ取る事のできる厚さは1cm程度であり,目標剥ぎ取り厚さとなるまでには複数回走行する必要があります(今回のモデル実証事業での走行回数は3回)。当該方法は,薄く剥ぎ取りができ,除去物の発生量を抑制するというメリットがありますが,施工スピードが遅いため,大面積への適用は適しません。
除染前 | 除染後 | 低減率(%) | |
---|---|---|---|
空間線量率(1m)(μSv/h) | 9.62 | 2.59 | 73 |
表面線量率(1cm)(μSv/h) | 12.9 | 1.30 | 90 |
表面汚染密度 | 7,860 | 520 | 93 |
ハンマーナイフモア及びスイーパーを用いたグラウンドの除染の具体的な流れ
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
グラウンドにおけるハンマーナイフモア及びスイーパーを用いた表土の剥ぎ取り作業の具体的な流れを以下に示します。
1.目的
グラウンドの除染方法として,改造型ハンマーナイフモア及びスイーパーを用いた表土薄層の剥ぎ取りの手順を示します。
2.作業項目
- 使用機材点検
- 表土のほぐし
- 集積
- 詰込み
- 運搬
3.作業手順
(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また,安全対策が十分であることを確認します。
(2)表土のほぐし
改造型ハンマーナイフモアを用いて表土をほぐします。
(3)集積
スイーパーを用いてほぐした表土を取り残しなく集積します。
(4)詰込み
集積した表土をバックホウまたは人力でフレキシブルコンテナに収納します。
(5)運搬
フレキシブルコンテナをトラッククレーン等で一時仮置場まで運搬します。
4.使用機材
保護具(半面マスク,ゴム手袋等),改造型ハンマーナイフモア,スイーパー,バックホウ,トラッククレーン
5.留意事項等
(1)重機の旋回範囲,死角には立ち入りできないようカラーコーン等で作業エリアを明示します。
(2)本施工に先立ち,予め剥ぎ取り深さと除染効果の関係を把握し,必要剥ぎ取り深さを決定することが重要です。
(3)また,1回の走行による剥ぎ取り深度を確認し(実績は6mm程度),走行回数(モデル実証事業では3回)を決定することが重要です(除染効果の確保,除去物量の適正化)。
ハンマーナイフモア及びスイーパーを用いたグラウンドの除染の歩掛例
グラウンドに おいて“薄層土壌剥ぎ取り機(ハンマーナイフモア)及びスイーパー”を用いた除染の本事業における歩掛例を以下に示します。
- 内容:表土ほぐし(ハンマーナイフモア),集積(スイーパー),搬送,詰込,運搬(大型構造物,グラウンド)
- 歩掛表
名称・項目 |
仕様 |
単位 |
数量 |
【 労 務 費 】 |
|
|
|
土木一般世話役 |
|
人日 |
0.57 |
特殊作業員 |
|
人日 |
0.30 |
普通作業員 |
|
人日 |
0.30 |
運転手(特殊) |
|
人日 |
3.20 |
【 材 料 費 】 |
|
|
|
大型土嚢 |
耐候性(3年) |
袋 |
9.00 |
【 機械損料 】 |
|
|
|
ハンマーナイフモア(レンタル) |
|
台日 |
1.00 |
スイーパー アルマジロ(レンタル) |
|
台日 |
2.00 |
小型バックホウ(ミニホウ) クローラ型 18kW |
排出ガス対策型 0.06m3 (運) |
台日 |
0.30 |
小型バックホウ(ミニホウ) クローラ型 18kW |
排出ガス対策型 0.06m3 (供) |
台日 |
0.30 |
トラック クレーン装置付132kW |
積載質量 4t積 2.9t吊(運) |
台時 |
1.00 |
トラック クレーン装置付132kW |
積載質量 4t積 2.9t吊(供) |
台日 |
0.30 |
【 諸雑費 】 |
|
式 |
1.00 |
ハンマーナイフ及びスイーパーを用いたグラウンドの除染の技術評価
【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より
ハンマーナイフモア及びスイーパーを用いたグラウンドの剥ぎ取りの手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。
整理番号 |
大-4 |
|||
大分類 |
大型構造物 |
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中分類 |
グラウンド |
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小分類 |
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除染手法 |
薄層表土剥ぎ取り(E) |
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内容 |
表土ほぐし(ハンマーナイフモア),集積(スイーパー),搬送,詰込,運搬 |
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除染方法 |
<除染手順> 表土のほぐし: →集積: →運搬・詰込: ハンマーナイフモア スイーパー 人力,バックホウ →運搬(除染箇所の一時集積所まで): トラッククレーン <除染概要> ハンマーナイフモアで表土をほぐし,スイーパーで集積して,バックホウ,人力でフレキシブルコンテナに詰め込みます。トラックレーンで除染箇所の一時集積まで運搬します(運搬距離100m)。 |
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主要機械仕様 |
ハンマーナイフモア,スイーパー(金ブラシ入り),バックホウ,トラックレーン |
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環境条件 |
適用環境条件 |
深部(概ね深さ2cm以上)まで汚染が進展しているグラウンドでは適用困難。 |
||
施工制約条件 |
凹凸が激しいグラウンド,及び含水比が高く施工機械の地耐力が確保できないグラウンドでは施工困難。 |
|||
評価 |
除去物 |
施工スピード (作業員数) |
270m2/日 (4人) |
|
除去物発生量 |
200袋/ha程度(剥ぎ取り厚さ2cm程度) |
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除去物内容 |
汚泥 |
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水処理方法 |
使用水量 |
- |
||
汚染水回収方法 |
- |
|||
回収率 |
- |
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除染係数の目安 |
DF |
10程度 |
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低減率 |
90%程度 |
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コスト(直接工事費,>1,000m2) |
710円/m2 |
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施工上の留意点 |
・放射能濃度の深度分布を把握するとともに,排水層の深度を確認し,剥ぎ取り深さを決定することが重要です(除染効果の確保,除去物量の適正化)。 ・また,1回の走行による剥ぎ取り深度を確認し(実績は6mm程度),走行回数(モデル実証事業では3回)を決定することが重要です(除染効果の確保,除去物量の適正化)。 ・ハンマーナイフでほぐした土壌を,スイーパーで取り残しなく集積することが重要です(除染効果の確保)。 |