高圧水洗浄による大型構造物縦とい部の除染方法

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b)Ⅱ大型構造物より

高圧水洗浄により縦といの内部を洗浄しました。屋根に降下した放射性物質は雨水によって雨水排水孔口の周辺に集まると考えられます。大型構造物の屋根の面積は大きいため，縦とい内には相当量の放射性物質が付着していると考えられます。縦とい内を洗浄するにあたっては特殊金具を用いました。除染に使用した水は，縦といの最下端の出口部にてバキューム吸引して回収しました。

広野町における実施結果（縦とい受け部（コンクリート））
	除染前	除染後	低減率(%)
表面線量率(1cm)(μSv/h)	0.5	0.5	-
表面汚染密度	1,340	680	49

※広野町では約6MPaで実施しました。

広野町における実施結果（縦とい受け部（砂利））
	除染前	除染後	低減率(%)
表面線量率(1cm)(μSv/h)	0.7	0.4	43
表面汚染密度	800	390	51

※広野町では約6MPaで実施しました。

広野町における実施結果（縦とい受け部（タイル））
	除染前	除染後	低減率(%)
表面線量率(1cm)(μSv/h)	0.3	0.4	-
表面汚染密度	1,400	400	71

※広野町では約6MPaで実施しました。

表土剥ぎ取りによる宅地庭部の除染（川内村）

高圧水洗浄による大型構造物縦とい部の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

大型構造物縦とい部における高圧水洗浄による除染作業の具体的な流れを以下に示します。

1.目的

大型構造物縦とい部の除染方法として，高圧水洗浄による洗浄手順を示します。

2.作業項目

使用機材点検
洗浄
洗浄水の回収
運搬

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また，安全対策が十分であることを確認します。

(2)洗浄
特殊金具の付いた高圧水洗浄機を屋上側から縦樋内に差し入れ洗浄します。

(3)洗浄水の回収
洗浄に使用した水はバキューム車で回収します。

(4)運搬
回収した水を水処理設備まで運搬します。

4.使用機材

保護具（保護メガネ，半面マスク，ゴム手袋等），高圧水洗浄機（特殊金具付き），バキューム車

5.留意事項等

(1)高圧水洗浄機のノズル先を人に向けないことです。

(2)上部から下部に向かって洗浄することが重要です。

高圧水洗浄を用いた大型構造物縦とい部の除染の歩掛例

大型構造物縦とい部において“高圧水洗浄”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

内容：高圧水洗浄，洗浄水回収，運搬（大型構造物，縦樋）
歩掛表

（110m ²当り）
名称・項目	仕様	単位	数量
【労務費】
土木一般世話役		人日	0.38
普通作業員		人日	1.00
運転手（特殊）		人日	1.00
特殊作業員		人日	0.50
【機械損料】
発動発電機　ディーゼルエンジン駆動19kW	定格容量　20kVA　（供）	台日	0.50
発動発電機　ディーゼルエンジン駆動19kW	定格容量　20kVA　（運）	台日	0.50
トラック　クレーン装置付132kW	積載質量　4ｔ積　2.0ｔ吊（運）	台時	3.00
トラック　クレーン装置付132kW	積載質量　4ｔ積　2.0ｔ吊（供）	台日	1.00
排水管清掃車　154kW	タンク容量2.2 m³圧力54MPa（運）	台時	3.00
排水管清掃車　154kW	タンク容量m³圧力54MPa（供）	台日	0.50
バキュームカー	容量3m³（運）	台時	3.00
バキュームカー	容量3m³（供）	台日	0.50
【諸雑費】		式	1.00

高圧水洗浄による大型構造物縦とい部の除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

高圧水洗浄の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号	大-3
大分類	大型構造物
中分類	縦樋
小分類
除染手法	高圧水洗浄（E）
内容	高圧水洗浄，洗浄水回収，運搬
除染方法	＜除染手順＞縦樋内洗浄：　→洗浄水回収・運搬（除染箇所の水処理設備まで）：高圧水洗浄機（特殊金具付き）バキューム車＜除染概要＞排出口（屋上側）から高圧水洗浄用（特殊先端金具付）を差し入れて，縦樋内を洗浄します。洗浄水は縦樋を通して地上の側溝に一時的に溜めてバキューム車で吸引回収し，除染箇所の水処理設備に運搬します(運搬距離100m)。
	主要機械仕様	高圧水洗浄機（最大50MPa)，バキューム車
環境条件	適用環境条件	除染効果に影響する環境条件は見当たらない。
	施工制約条件	特になし。
評価	除去物	施工スピード（作業員数）	110m／日　（3人）
		除去物発生量	ほとんど無し
		除去物内容	汚泥
	水処理方法	使用水量	2～3m³/100m程度
		汚染水回収方法	流末部でのバキューム吸引
		回収率	100%（コンクリート吸水分を除く）
	除染係数の目安	DF	1.1～3.3
		低減率	10～70%
	コスト（直接工事費＞1,000m²）		860円／ｍ
施工上の留意点改善点	・流入口の汚染が激しい場合は，流入口に特殊先端金具（上記写真参照）を取り付けて高圧水洗浄をします（除染効果の確保）。