樹木の枝打ちによる森林の除染方法

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2(1)①(b) “Ⅴ森林”より

森林の除染として，樹木の枝打ちを行いました。当該除染方法は，主に線量の高い地区で行いました。

樹幹除染は，富岡町夜の森公園において実施しました。常緑樹（松）および落葉樹（カエデ，ケヤキ，桜）の樹幹に対する除染結果を示します。

枝打ちによる森林の除染

樹木の枝打ちによる森林の除染の具体的な流れ

【除染モデル実証事業編】報告書 2.4.2(1)②章“除染作業手順”より

森林における樹木の枝打ちによる除染作業の流れを以下に示します。

1.目的

森林の除染方法として，枝打ちの作業の手順を示します。

2.作業項目

使用機材点検
枝打ち・集積
細断・詰込み
運搬

3.作業手順

(1)使用機材点検
使用する機材が想定動作することを確認します。また，安全対策が十分であることを確認します。

(2)枝打ち・集積
チェーンソー・高枝バサミ等を用い人力で樹木の下半分の高さまでの枝を切り落とし集積します。高所の枝については，梯子・高所作業車を使用します。

(3)細断・詰込み
切り落とした枝葉を人力でフレキシブルコンテナに詰込みます。枝葉は細かく切断し減容化してからフレキシブルコンテナに詰込むようにします。

(4)運搬
フレキシブルコンテナをトラッククレーン等で除染箇所の一時集積所まで運搬します（運搬距離100m程度）。

4.使用機材

保護具（半面マスク，ゴム手袋等），チェーンソー，高枝バサミ，鋸，鉈，梯子，高所作業車，トラッククレーン

5.留意事項等

(1)高所作業台車使用時には，飛来・落下等に対する安全対策に留意するようにします。

(2)作業者は，高所作業車の旋回範囲・死角には立入らないよう注意します。

(3)剪定する枝の直下に立入らないようにします。

(4)梯子を使用する際は梯子を樹木に固定してから行います。

樹木の枝打ちによる森林の除染の歩掛例

森林において“樹木の枝打ち”による除染の本事業における歩掛例を以下に示します。

内容：枝打ち，集積，詰込，運搬（森林常緑樹）
歩掛表

（150m²当り）
名称・項目	仕様	単位	数量
【労務費】
土木一般世話役		人日	0.38
普通作業員		人日	1.00
運転手（特殊）		人日	1.30
特殊作業員		人日	1.00
【材料費】
大型土のう	耐候性（3年）	袋	3.00
【機械損料】
高所作業車	10m（運）	台時	4.00
高所作業車	10m（供）	台日	1.00
チェーンソー	（運）	台日	1.00
チェーンソー	（供）	台日	1.00
トラッククレーン装置付　132kW	積載質量　4t積　2.9t吊（供）	台日	0.30
トラッククレーン装置付　132kW	積載質量　4t積　2.9t吊（運）	台時	0.30
【諸雑費】		式	1.00

留意事項: 上記は，樹高の下半分を切り落とした場合の森林・公園での作業歩掛りです。

樹木の枝打ちによる森林の除染の技術評価

【除染モデル実証事業編】報告書2.4.2 除染作業結果より

森林における樹木の枝打ちによる除染の手順や作業性の評価等を整理し以下に示します。

整理番号	森-4
大分類	森林
中分類	枝打ち
小分類	常緑樹
除染手法	枝打ち
内容	枝打ち，集積，詰込，運搬
除染方法	＜除染手順＞枝打ち：　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　→集積・詰込： →運搬（除染箇所の一時集積所まで）：人力（梯子，高所作業車，チェンソー，高枝バサミ）　人力トラッククレーン＜除染概要＞梯子，高所作業車で人力（チェンソー，高枝バサミ等）により樹高の下半分までの枝を切り落とし，人力で集積・細断してフレキシブルコンテナに詰込みます。トラッククレーンで除染箇所の一時集積所まで運搬します(運搬距離100m)。
	主要機械仕様	高所作業車，チェーンソー，トラッククレーン
環境条件	適用環境条件	常緑樹林が対象。除染効果に影響する環境条件は見当たらない。
	施工制約条件	高所作業車使用条件として樹間が広く，比較的平らな地形であること。
評価	除去物	施工スピード（作業員数）	150m²／日（4人）
		除去物発生量	2,700袋／ha程度（減容化しない場合）
		除去物内容	枝葉
	水処理方法	使用水量	―
		汚染水回収方法	―
		回収率	―
	除染係数の目安	DF	1.2～2.1
		低減率	14～53％
	コスト（直接工事費＞1,000m²）		580円／m²
施工上の留意点改善点	・除去した枝葉は嵩張るため，細かく切断してフレキシブルコンテナに袋詰めし，減容化に努めます（除去物量の低減）。・その他，高所作業となることから，高所作業車を使用するなど飛来・落下等に対する安全対策に留意するようにします。