放射性物質の動き-河川水系Radioactivity Dynamics in River System

(2017年 更新)

河川にはどこから、どれくらい放射性セシウムが流出してくるのですか。【解析事例】

河川に流出する放射性セシウムの多くは、河川近傍や沢沿いでの土壌侵食に伴うことがわかってきました。

図1に示す川内村荻ダム流域を対象に、計算モデルGETFLOWSを用いて詳細な解析を行いました。

3次元地質構造モデル(荻ノ沢流域)

図1 3次元地質構造モデル(荻ノ沢流域)

図2は2011年5月から2015年12月までの期間における土壌侵食・堆積量を、図3は2015年12月時点の残存セシウム137(137Cs)割合を示しています。

  • 河川や沢沿いで土壌侵食量が大きく(図2、青色)、137Csの残存率が低い(137Csの移動量が多い、図3、青色)
  • 森林ではほとんど侵食されておらず(図2、緑色)、137Csの残存率が高い(137Csの移動量が少ない、図3、赤色)
  • これは、河川に流出する放射性セシウムの多くは、河川近傍や沢沿いでの土壌侵食に伴うことを意味しています


2011年5月から2015年12月の期間の土壌の侵食・堆積量の分布

図2 2011年5月から2015年12月の期間の土壌侵食・堆積量の分布

残存137Csの割合の分布

図3 残存137Csの割合の分布

参考文献

  1. Sakuma et al. (2017): J. Environ. Radioact. 169-170, 137-150