Topics福島

トピックスふくしま No.110

2022.7.6


研究紹介 CLADS 光ファイバー



 光の色から、放射線の位置を知る。


放射線を検出するための特殊な光ファイバー。



光ファイバーの意外な使い道


光ファイバーと聞いて何を思い浮かべますか?

真っ先に思い浮かぶのは、通信技術に用いられるケーブルや、クリスマスなどで用いられるイルミネーションでしょうか。

これらは放射線とは全然関係がないように見えますが、実は、光ファイバーは放射線の分野でも使うことができます。



放射線の位置を知りたい


東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所内の原子炉建屋など、放射線量が高い場所で作業を行う作業者を被ばくから守るためには、 放射性物質がどこに・どれだけ存在するか、正確に把握する必要があります。

しかし、放射線量が高い場所でこれを行うことは簡単ではありません。

そこで、光ファイバーを用いた放射線計測の出番です。



高いエネルギーで光る特殊な光ファイバー




青色に光輝くシンチレーション光ファイバー。実はこの色に意外な情報が含まれている。



放射線を測定する際には、シンチレーション光ファイバーという、放射線などの高エネルギー粒子が当たると発光する光ファイバーを使用します。

この光ファイバーは細く柔らかいため、目的に合わせて柔軟に使用できるほか、光ファイバーに沿って放射線を「線」状に測ることができます。

シンチレーション光ファイバーはこれまでも放射線位置検出器として用いられてきましたが、廃炉環境国際共同研究センターでは、光の色情報に着目したユニークな新手法について研究しています。



光の「色情報」から放射線の位置を知る -新方式波長分解分析法-




光の伝送距離の違いにより、光ファイバー端面で見える色が変化する様子。



放射線が当たると青色~緑色に広がった波長で光るシンチレーション光ファイバーで考えてみましょう。(a)では青色の光が、(b)では緑色の光がそれぞれ端面から出ていますが、 実はこの色に放射線の位置情報が含まれています

廃炉環境国際共同研究センターの寺阪祐太研究員は、光ファイバーの端面から出てくる光の色を詳細に分析することで放射線の入射位置を知る新しい手法を開発しました。 この手法は、「色(波長)」を「分解」して「分析」することから、「波長分解分析法」と開発者らにより名付けられています。

高い放射線量にさらされる場所では、光ファイバーを使っている普通の放射線位置検出器は機能しなくなるのですが、この方法であれば、数Gy/hという非常に高い放射線量の場所でも使うことができます。

さらに、複雑な電子機器が不要なため、安いという特徴があり、まさに画期的な手法といえるのです。




 廃炉環境国際共同研究センター 寺阪祐太

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