Topics福島
トピックスふくしま No.109
2022.5.23
「その場」で測定!燃料デブリ取り出し作業で発生する放射性物質
空気中のα粒子のリアルタイム・モニタリングによる業者の安全性向上へ 放射線の主な種類として、「α線」「β線」「γ線」「X線」「中性子線」があげられます。
放射線はものを通り抜ける力を持っていますが、種類によって、その能力は異なります。 α線を「今、その場で」測定する重要性 東京電力ホールディングス株式会社が福島第一原子力発電所で行っている、燃料デブリ(燃料が溶けて他のものと一緒に固まってしまったもの)取り出し作業においても、
α線には特に気を付けて作業を行う必要があります。 リアルタイム測定システム”IAAM” 今回原子力機構が開発したシステム”IAAM(in-situ alpha air monitor)”
は、空気中に浮遊するα線の放射能を「今、その場で」継続して測定することができます。
α線は質量が大きいため、紙1枚でさえぎることができますが、そのぶんたくさんのエネルギーを持っています。
だから、α線を放つ放射性物質を体内に取り込んでしまった場合、その物質がとても小さくても、内部被ばくの影響が大きくなってしまうのです。
燃料デブリ取り出しが本格化するにつれ、施設の中に入る機会が増えていきます。そして、放射性物質が外に広がらないように密封された施設の中の作業環境においては、
その場でα線を発する小さな粒子が空気中に浮遊することが想定されています。
原子炉内のような湿度が高く、放射線量が多い場所では今までの手法は使えず、放射性物質の発生場所から遠いところで測定せざるを得ません。
そのため、検出までのタイムラグが大きく、万が一が起こった際、現場作業者の内部被ばくにつながる可能性がありました。
それにより、作業の安全性が大幅に向上します。測定のタイムラグがないことで、現場作業者の内部被ばくを低減し、周囲への迅速な情報提供も可能になります。
IAAMは福島第一原子力発電所以外にも、これから廃止措置が本格化する日本国内の核燃料施設でも使用できるシステムです。
廃止措置現場の安全向上にも役立つよう、これからも機器の改良を進めていきます。